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 具体的な課題等を設定し,コミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じて,情報を整理しながら考えなどを形成し,これらを表現することを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

 外国語教育における学習過程では,児童が,

@ 設定されたコミュニケーションの目的や場面,状況等を理解する,

A 目的に応じて情報や意見などを発信するまでの方向性を決定し,コミュニケーションの見通しを立てる,

B 目的達成のため,具体的なコミュニケーションを行う,

C 言語面・内容面で自ら学習のまとめと振り返りを行う

というプロセスを経ることで,学んだことの意味付けを行ったり,既得の知識や経験と,新たに得られた知識を言語活動へつなげ,「思考力,判断力,表現力等」を高めたりすることが大切になる。

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 小学校の外国語科では,外国語教育において育成を目指す三つの資質・能力を児童が身に付けることができるように指導する際,中学校で学ぶ内容を前倒しするのではなく,身近なことに関する基本的な表現によって各領域の言語活動を行うこととしている。

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 「思考力,判断力,表現力等」としては,外国語を通じて,身近で簡単な事柄について,音声で十分に慣れ親しんだ外国語の語彙や基本的な表現を推測しながら読んだり,語順を意識しながら書いたりするとともに,聞いたり話したりして自分の考えや気持ちなどを伝え合う基礎的な力を養うことが求められる。

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 そのためには,具体的な課題を設定し,コミュニケーションを行う目的や場面,状況等に応じて,既得の知識や経験と,他者から聞き取ったり,掲示やポスター等から読み取ったりした情報を整理しながら自分の考えなどを形成することが必要である。

 このようにして形成された考えなどを表現することを通して,次のア及びイの事項を身に付けることができるように指導する。

 
 

ア 身近で簡単な事柄について,伝えようとする内容を整理した上で,簡単な語句や基本的な表現を用いて,自分の考えや気持ちなどを伝え合うこと。

 この指導事項は,「聞くこと」,「話すこと[やり取り]」,「話すこと[発表]」の領域に関するものである。

 自分のこと,友達や家族,学校生活など身近で簡単な事柄について,コミュニケーションの目的や場面,状況等に応じて内容を整理した上で,簡単な語句や基本的な表現の中から適切なものを選び,自分の考えや気持ちなどを伝え合うことを示している。

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 ここで重要なことは,コミュニケーションを行う際,英語で伝え合うだけでなく,自分の考えと,コミュニケーションする相手の考えを比較したり,新たな考えを知識として取り入れたりしながら,自分の考えを再構築することである。

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 また,こうした言語活動の質の高まりによる自分の考えの変容について,自ら学習のまとめを行ったり,振り返りを行ったりすることで,「思考力,判断力,表現力等」を高める必要がある。

 
 

イ 身近で簡単な事柄について,音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を推測しながら読んだり,語順を意識しながら書いたりすること。

 この指導事項は,「読むこと」,「書くこと」の領域に関するものであり,自分のこと,友達や家族,日常生活について,絵や写真等,言語外情報を伴って示された簡単な語句や基本的な表現を推測しながら読んだり,語順を意識しながら書いたりすることを示している。

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 その際,
 単に絵や写真と結び付けて
 英語の意味を推測して読むこと
 を目的とするのではなく,

 例えば,

 外国の友達の日課について
 送られてきた
 写真を伴う英文のメールを読み,
 自分の日課との共通点と相違点を捉え,
 返事をどのように書くのかを考えながら
 絵や写真と結び付けて
 英語の意味を推測して読むこと
 だけでなく,

 音声で十分慣れ親しんだ語句が
 文字のみで示された場合,
 文字の音を頼りに,
 その語句の読み方を推測して
 読むなど,

 児童が
 「思考力,判断力,表現力等」
 を働かせて
 コミュニケーションを行う
 ことができるような
 目的や場面,状況等
 を明確に設定する必要がある。

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 また,「語順を意識しながら」とは,文を書く際に,どのように語を並べると自分の伝えたいことが適切に伝わるかを考えることが重要であることを示している。

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 英語では意味の伝達において
 語順が重要な役割を担っており,
 例えば,

 “Sakura pushed Taku.”を,
  “Taku pushed Sakura.”と
 語の順序を替えれば,
 意味が大きく異なってしまう。

 そのため,児童に
 英語の文構造を理解させるために,
 語の配列等の特徴を
 日本語との比較の中で捉えて
 指導を行う
 などの工夫も考えられる。

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 また,単に,語順を意識して英語を書くだけでなく,例えば,外国の姉妹校の同年代の児童とメールや手紙で「将来の夢」について伝え合い,自分たちの夢との共通点や相違点を知ることで,多様な考え方や価値観に触れ,様々な国の人々とのコミュニケーションへの意欲を高めるなど,主体的な学びにつながる学習活動を展開する必要がある。

 
 
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