理科における「見方(様々な事象等を捉える各教科等ならではの視点)」については,理科を構成する領域ごとの特徴を見いだすことが可能であり,
「エネルギー」を柱とする領域では,自然の事物・現象を主として量的・関係的な視点で捉えることが,
「粒子」を柱とする領域では,自然の事物・現象を主として質的・実体的な視点で捉えることが,
「生命」を柱とする領域では,生命に関する自然の事物・現象を主として共通性・多様性の視点で捉えることが,
「地球」を柱とする領域では,地球や宇宙に関する自然の事物・現象を主として時間的・空間的な視点で捉えることが,
それぞれの領域における特徴的な視点として整理することができる。
--------------------------------
ただし,これらの特徴的な視点はそれぞれの領域固有のものではなく,その強弱はあるものの他の領域において用いられる視点でもあり,また,これら以外の視点もあることについて留意することが必要である。
また,探究の過程において,これらの視点を必要に応じて組み合わせて用いることも大切である。
--------------------------------
理科における「考え方」については,図1(9ページ)で示した探究の過程を通した学習活動の中で,例えば,比較したり,関係付けたりするなどの科学的に探究する方法を用いて考えることとして整理することができる。
なお,この「考え方」は,物事をどのように考えていくのかということであり,資質・能力としての思考力や態度とは異なることに留意が必要である。
--------------------------------
以上を踏まえ,中学校における「理科の見方・考え方」については,「自然の事物・現象を,質的・量的な関係や時間的・空間的な関係などの科学的な視点で捉え,比較したり,関係付けたりするなどの科学的に探究する方法を用いて考えること」と整理することができる。
--------------------------------
例えば,比較することで問題を見いだしたり,既習の内容などと関係付けて根拠を示すことで課題の解決につなげたり,原因と結果の関係といった観点から探究の過程を振り返ったりすることなどが考えられる。
そして,このような探究の過程全体を生徒が主体的に遂行できるようにすることを目指すとともに,生徒が常に知的好奇心をもって身の回りの自然の事物・現象に関わるようになることや,その中で得た気付きから課題を設定することができるようになることを重視すべきである。
--------------------------------
理科の学習においては,「理科の見方・考え方」を働かせながら,知識及び技能を習得したり,思考,判断,表現したりしていくものであると同時に,学習を通して,「理科の見方・考え方」が豊かで確かなものとなっていくと考えられる。
なお,「見方・考え方」は,まず「見方」があって,次に「考え方」があるといった順序性のあるものではない。 |