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2 内容

〔知識及び技能〕

(1) 英語の特徴等に関する事項

 実際に英語を用いた言語活動を通して,次の事項を体験的に身に付けることができるよう指導する。

 前述のように,小学校中学年では,外国語活動において身に付けるべき資質・能力として,コミュニケーションを図る素地を育成することを目標としており,「知識及び技能」に関わるものとして,「外国語を通して,言語や文化について体験的に理解を深め,日本語と外国語との音声の違い等に気付くとともに,外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しむようにする」としている。

 これらについては,いずれも言語活動を通して行われることが大切であり,言語活動と切り離して解説等を通して行われるものではないことに留意する必要がある。

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 「知識及び技能」の内容は,コミュニケーションに関する事項と,言語や文化に関する事項とで構成している。

 これは,外国語活動における「知識及び技能」に関わる目標を達成するためには,相手と主体的にコミュニケーションを図ることの楽しさや大切さを知るとともに,日本と外国の言語や文化について理解することが大切なことからである。

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 一方,高学年では,外国語科において身に付けるべき資質・能力として,コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を育成することを目標としており,「知識及び技能」に関わるものとして,「外国語の音声や文字,語彙,表現,文構造,言語の働きなどについて,日本語と外国語との違いに気付き,これらの知識を理解するとともに,読むこと,書くことに慣れ親しみ,聞くこと,読むこと,話すこと,書くことによる実際のコミュニケーションにおいて活用できる基礎的な技能を身に付けるようにする」としている。

 そのため,英語の特徴やきまりに関する事項として,言語材料を示している。

 中学年の外国語活動においては,これらの言語材料のうち,中学年の外国語活動の目標を達成するのに適切なものを適宜選択して扱うことが大切である。

 また,その選択に際しては,中学年の児童の発達の段階に合うよう留意する必要がある。

 中学年の外国語活動において「言語を用いて主体的にコミュニケ―ションを図ることの楽しさや大切さを知ること」,「日本と外国の言語や文化について理解すること」の事項に分けて示されている「知識及び技能」を体験的に身に付けることが,高学年の外国語科で英語の特徴やきまりに関する事項を身に付けることにつながる。

 
 

ア 言語を用いて主体的にコミュニケーションを図ることの楽しさや大切さを知ること。

 外国語活動では,児童がこれまでに慣れ親しんできた英語を駆使し,様々な相手と互いの考えや気持ちを伝え合い,コミュニケーションを図ることの楽しさを実際に体験することが大切である。

 そこで,言葉を使って伝え合う体験を通して,相手に対する理解を深めたり,自分の思いを伝えたりして,英語で伝え合えた満足感や達成感を味わうことができるようにすることが大切である。

 また,「主体的にコミュニケーションを図る」とは,伝えたい相手に,伝えたい内容を,伝え合う必然性のある場面において,自ら発話したり,相手の伝えたい内容を受け止めようとして聞いたりすることである。

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 例えば,水に慣れる遊び,水に浮いたりもぐったりする遊び等,実際の体験を通して,水に慣れ親しみながら水遊びの楽しさを知ることは,後の水泳の学習への動機付けとなっていく。

 このように,英語を用いて実際のコミュニケーションを体験することを通して,英語を用いて相手とやり取りをすることの面白さを知ることが,高学年以降の外国語学習への動機付けを高めていくことにつながる。

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 さらに,情報化,グローバル化が加速化し,変化の激しい予測困難な未来社会の中で生きていく子供たちは,現在以上に自国以外の人々との関わりが求められようになる。

 このような社会においては,言語を用いて他者とコミュニケーションを図っていくことが大切である。

 児童のもっている語彙や表現は限られるが,相手と豊かな人間関係を築くために,ジェスチャーや動作等の非言語手段を用いながら,言語を使って相手と分かり合える良さを知ることで言語によるコミュニケーションの大切さを実感させることが重要である。

 
 

イ 日本と外国の言語や文化について理解すること。

(ア) 英語の音声やリズムなどに慣れ親しむとともに,日本語との違いを知り,言葉の面白さや豊かさに気付くこと。

 外国語活動においては,多くの表現を覚えたり,細かい文構造などに関する抽象的な概念について理解したりすることを目標としていない。

 一方,音声面に関しては,児童の柔軟な適応力を十分生かすことが可能である。

 そこで,外国語活動では,英語の音声やリズムなどに慣れ親しませることが大切になる。

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 例えば,日本語のミルク(mi-ru-ku)は3音節であるが,英語のmilk は1音節である。これを日本語のようなリズムで発音すると,英語に聞こえず,意味も伝わらない。

 そこで,実際に英語で歌ったりチャンツをしたりすることを通して,英語特有のリズムやイントネーションを体得することにより,児童が日本語と英語との音声面等の違いに気付くことになる。

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 また,例えば,狐(動物)を表すfox という単語を繰り返し聞いたり,発音したりすることにより,児童は日本語にない/f/ や/ks/ の音に触れたり,慣れ親しんだりすることになる。

 さらに,日本語と英語では同じ動物でも鳴き声の表し方が似ているものもあれば全く異なるものがあることに気付いていく。

 このような体験を通して,日本語との違いを知ることで,言葉の面白さや豊かさに気付かせることが大切である。

 
 

イ 日本と外国の言語や文化について理解すること。

(イ) 日本と外国との生活や習慣,行事などの違いを知り,多様な考え方があることに気付くこと。

 外国語活動では,外国の文化のみならず我が国の文化を含めた様々な国や地域の生活,習慣,行事などを積極的に取り上げていくことが期待される。

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 また,その際には,児童にとって身近な日常生活における食生活や遊び,地域の行事などを取り扱うことが適切である。

 外国語活動を通して,多様な文化の存在を知り,また,日本の文化と異文化との比較により,様々な考え方があることに気付くとともに,我が国の伝統文化についての理解を深め,英語によるコミュニケーションの中で我が国の文化を発信することにつながっていくことが期待される。

 これらの事項は,単なる知識として指導するのではなく,体験的な活動を通して具体的に気付かせていくことが大切である。

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 例えば,日本の一日の生活を題材にした英語での絵本の読み聞かせを通して,「いただきます」という表現にうまく合致する表現が英語にはないことに気付かせたり,映像資料などを通して世界の遊びと日本の遊びには共通点や相違点があることに気付かせたりするよう,活動の工夫が求められる。

 
 

イ 日本と外国の言語や文化について理解すること。

(ウ) 異なる文化をもつ人々との交流などを体験し,文化等に対する理解を深めること。

 (イ)で触れたように,「日本と外国との生活や習慣,行事などの違いを知り,多様な考え方があることに気付くこと」は,外国語活動における大切な指導事項である。

 この事項は,体験的な活動を通して指導されるべきものである。

 そこで,ALTや留学生,地域に住む外国人など,異なる文化をもつ人々との交流などを通して,体験的に文化等の理解を深めることが大切になる。

 
 
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