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(1)基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力等を育むとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実に努めること。

 その際,生徒の発達の段階を考慮して,生徒の言語活動など,学習の基盤をつくる活動を充実するとともに,家庭との連携を図りながら,生徒の学習習慣が確立するよう配慮すること。

 教育基本法第2条第1号は,教育の目的として「幅広い知識と教養を身に付け,真理を求める態度を養うこと」を規定し,学校教育法第49条の規定により中学校に準用される第0条第2項は,中学校教育の実施に当たって,「生涯にわたり学習する基盤が培われるよう,基礎的な知識及び技能を習得させるとともに,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力を育み,主体的に学習に取り組む態度を養うことに,特に意を用いなければならない」と規定している。

 本項は,こうした法令の規定を受け,生徒が確かな学力を身に付けることができるよう,基礎的・基本的な知識及び技能の習得と,思考力,判断力,表現力等の育成,主体的に学習に取り組む態度の涵(かん)養を目指す教育の充実に努めることを示している。

 加えて,変化が激しく予測困難な時代の中でも通用する確かな学力を身に付けるためには,自分のよさや可能性を認識して個性を生かしつつ,多様な他者を価値のある存在として尊重し,協働して様々な課題を解決していくことが重要であることから,学校教育法第30条第2項に規定された事項に加えて,「個性を生かし多様な人々との協働を促す」ことを示している。

 こうした知識及び技能の習得や,思考力,判断力,表現力等の育成,主体的に学習に取り組む態度,多様性や協働性の重視といった点は,第1章総則第1の3の(1)から(3)までに示す資質・能力の三つの柱とも重なり合うものであることから,その詳細や資質・能力の三つの柱との関係については,本解説第3章第1節の3において解説している。

 また,確かな学力の育成は,第1章総則第3の1に示すとおり,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通した,主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して実現が図られるものであり,そうした学習の過程の在り方については,本解説第3章第3節の1において解説している。

 本項においては,確かな学力の育成に当たって特に重要となる学習活動として,生徒の発達の段階を考慮して,まず「生徒の言語活動など,学習の基盤をつくる活動を充実する」ことを示しており,学習の基盤となる資質・能力の育成については第1章総則第2の2(1)において,言語活動の充実については第1章総則第3の1(2)においてそれぞれ規定されている。

 加えて本項では,「家庭との連携を図りながら,生徒の学習習慣が確立するよう配慮すること」の重要性を示している。

 小・中学校を通して学習習慣を確立することは,その後の生涯にわたる学習に影響する極めて重要な課題であることから,家庭との連携を図りながら,宿題や予習・復習など家庭での学習課題を適切に課したり,発達の段階に応じた学習計画の立て方や学び方を促したりするなど家庭学習も視野に入れた指導を行う必要がある。

 
 
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