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2 学校の教育活動を進めるに当たっては,各学校において,第3の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して,創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で,次の(1)から(3)までに掲げる事項の実現を図り,生徒に生きる力を育むことを目指すものとする。

※(1) 確かな学力 (2) 豊かな心 (3) 健やかな体

 本項は,学校の教育活動を進めるに当たっては,後述するとおり,第1章総則第3の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して,創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で,知・徳・体のバランスのとれた「生きる力」の育成を目指すことを示している。

 「生きる力」とは,平成8年7月の中央教育審議会の答申において,基礎・基本を確実に身に付け,いかに社会が変化しようと,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力,自らを律しつつ,他人とともに協調し,他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性,たくましく生きるための健康や体力である旨,指摘されている。

 平成20年に行われた前回の改訂においては,新しい知識・情報・技術が社会のあらゆる領域で重要性を増す,いわゆる知識基盤社会において,確かな学力,豊かな心,健やかな体の調和を重視する「生きる力」を育むことがますます重要になっているという認識が示され,知・徳・体のバランスのとれた育成(教育基本法第2条第1号)や,基礎的な知識及び技能を習得させるとともに,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力を育み,主体的に学習に取り組む態度を養うこと(学校教育法第30条第2項)など,教育基本法や学校教育法の規定に基づき,生徒に「生きる力」を育むことが重視されたところである。

 平成28年12月の中央教育審議会答申を受け,今回の改訂においては,情報化やグローバル化といった社会的変化が,人間の予測を超えて加速度的に進展するようになってきていることを踏まえ,複雑で予測困難な時代の中でも,生徒一人一人が,社会の変化に受け身で対応するのではなく,主体的に向き合って関わり合い,自らの可能性を発揮し多様な他者と協働しながら,よりよい社会と幸福な人生を切り拓(ひら)き,未来の創り手となることができるよう,教育を通してそのために必要な力を育んでいくことを重視している。

 こうした力は,学校教育が長年その育成を目指してきた「生きる力」そのものであり,加速度的に変化する社会にあって「生きる力」の意義を改めて捉え直し,しっかりと発揮できるようにしていくことが重要となる。

 このため,本項において「生きる力」の育成を掲げ,各学校の創意工夫を生かした特色ある教育活動を通して,生徒に確かな学力,豊かな心,健やかな体を育むことを目指すことを示している。

 なお,本項では(1)から(3)までにわたって,それぞれが確かな学力,豊かな心,健やかな体に対応する中心的な事項を示す項目となっているが,これらは学校教育を通じて,相互に関連し合いながら一体的に実現されるものであることに留意が必要である。

 
 
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