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中学校 学習指導要領 【解説】 |
総則編 |
第3章 教育課程の編成及び実施 |
第1節 中学校教育の基本と教育課程の役割 |
3 育成を目指す資質・能力 (→第1章第1の3) |
中学校 学習指導要領 【本文】 |
第1章第1の3 (育成を目指す資質・能力) |
3 2の(1)から(3)までに掲げる事項の実現を図り,豊かな創造性を備え持続可能な社会の創り手となることが期待される生徒に,生きる力を育むことを目指すに当たっては,学校教育全体並びに各教科,道徳科,総合的な学習の時間及び特別活動(以下「各教科等」という。 ただし,第2の3の(2)のア及びウにおいて,特別活動については学級活動(学校給食に係るものを除く。)に限る。)の指導を通してどのような資質・能力の育成を目指すのかを明確にしながら,教育活動の充実を図るものとする。 その際,生徒の発達の段階や特性等を踏まえつつ,次に掲げることが偏りなく実現できるようにするものとする。 (1)知識及び技能が習得されるようにすること。 (2)思考力,判断力,表現力等を育成すること。 (3)学びに向かう力,人間性等を涵養すること。 |
中学校 学習指導要領 【解説】 |
本項は,生徒に知・徳・体のバランスのとれた「生きる力」を育むことを目指すに当たっては,各教科等の指導を通してどのような資質・能力の育成を目指すのかを明確にしながら教育活動の充実を図ること,その際には生徒の発達の段階や特性等を踏まえ,「知識及び技能」の習得と「思考力,判断力,表現力等」の育成,「学びに向かう力,人間性等」の涵(かん)養という,資質・能力の三つの柱の育成がバランスよく実現できるよう留意することを示している。
今回の改訂は,「生きる力」の育成という教育の目標が各学校の特色を生かした教育課程の編成により具体化され,教育課程に基づく個々の教育活動が,生徒一人一人に,社会の変化に受け身で対応するのではなく,主体的に向き合って関わり合い,自らの可能性を発揮し多様な他者と協働しながら,よりよい社会と幸福な人生を切り拓(ひら)き,未来の創り手となるために必要な力を育むことに効果的につながっていくようにすることを目指している。 そのためには,「何を学ぶか」という教育の内容を重視しつつ,生徒がその内容を既得の知識及び技能と関連付けながら深く理解し,他の学習や生活の場面でも活用できる生きて働く知識となることを含め,その内容を学ぶことで生徒が「何ができるようになるか」を併せて重視する必要があり,生徒に対してどのような資質・能力の育成を目指すのかを指導のねらいとして設定していくことがますます重要となる。 このため,学習指導要領においては,各教科等の指導を通して育成する資質・能力を明確にすることの重要性を本項で示すとともに,第2章以降において各教科等の目標や内容を,資質・能力の観点から再整理して示している。 これは各教科等の指導に当たって,指導のねらいを明確にするための手掛かりとして学習指導要領が活用されやすいようにしたものである。 中央教育審議会答申において指摘されているように,国内外の分析によれば,資質・能力に共通する要素は,知識に関するもの,思考や判断,表現等に関わる力に関するもの,情意や態度等に関するものの三つに大きく分類できる。 本項が示す資質・能力の三つの柱は,こうした分析を踏まえ,生きる力や各教科等の学習を通して育まれる資質・能力,学習の基盤となる資質・能力(第1章総則第2の2(1)),現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力(第1章総則第2の2(2))といった,あらゆる資質・能力に共通する要素を資質・能力の三つの柱として整理したものである。 生徒に育成を目指す資質・能力を三つの柱で整理することは,これまで積み重ねられてきた一人一人の生徒に必要な力を育む学校教育の実践において,各教科等の指導を通して育成してきた資質・能力を再整理し,教育課程の全体として明らかにしたものである。 そのことにより,経験年数の短い教師であっても,各教科等の指導を通して育成を目指す資質・能力を確実に捉えられるようにするとともに,教科等横断的な視点で教育課程を編成・実施できるようにすること,さらには,学校教育を通してどのような力を育むのかということを社会と共有することを目指すものである。 これらの三つの柱は,学習の過程を通して相互に関係し合いながら育成されるものであることに留意が必要である。 生徒は学ぶことに興味を向けて取り組んでいく中で,新しい知識や技能を得て,それらの知識や技能を活用して思考することを通して,知識や技能をより確かなものとして習得するとともに,思考力,判断力,表現力等を養い,新たな学びに向かったり,学びを人生や社会に生かそうとしたりする力を高めていくことができる。 なお,資質や能力という言葉は,教育課程に関する法令にも規定があるところであり,例えば,教育基本法第5条第2項においては,義務教育の目的として「各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い,また,国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うこと」を規定している。 この「資質」については,教育を通して先天的な資質を更に向上させることと,一定の資質を後天的に身に付けさせるという両方の観点をもつものとされていることから,教育を通して育まれるもののどれが資質でどれが能力かを分けて捉えることは困難である。 これまでも学習指導要領やその解説においては,資質と能力を一体的に扱うことが多かったところでもあり,今回の改訂においては,資質と能力を一体的に捉え「資質・能力」と表記することとしている。 また,確かな学力については,第1章総則第1の2(1)においてそれを支える重要な要素が明記されているが,豊かな心の涵(かん)養や健やかな体の育成も,それを支えているのは「知識及び技能」の習得と「思考力,判断力,表現力等」の育成,「学びに向かう力,人間性等」の涵(かん)養という,資質・能力の三つの柱である。 すなわち,資質・能力の三つの柱は,学校教育法第30条第2項や第1章総則第1の2(1)に示された要素と大きく共通するとともに,確かな学力に限らず,知・徳・体にわたる「生きる力」全体を捉えて,共通する重要な要素を示したものである。 |
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