第1章総則第2の3(1)アのとおり,学習指導要領第2章以下に示す各教科,道徳科及び特別活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱わなければならないものである。
別表第2に定めている授業時数は,学習指導要領で示している各教科等の内容を指導するのに要する時数を基礎とし,学校運営の実態などの条件も十分考慮しながら定めたものであり,各学校において年度当初の計画段階から別表第2に定めている授業時数を下回って教育課程を編成することは,上記のような学習指導要領の基準性の観点から適当とは考えられない。
しかしながら,このことは単に別表第2に示されている各教科等の授業時数を形式的に確保すればよいということを意味するものではない。
各学校において,この別表第2に示されている授業時数を踏まえ,生徒及び学校や地域の実態を考慮しつつ,さらには個に応じた指導などの指導方法・指導体制や,教材等の工夫改善など授業等の質的な改善を図りながら,学習指導要領に基づき教育課程を適切に実施し指導するために必要な時間を実質的に確保するという視点が重要である。
なお,その際,学校において適切に授業時数を配当する必要がある特別活動の生徒会活動及び学校行事や給食,休憩の時間等を含む教育課程全体のバランスを図ることが必要であるのは言うまでもない。
なお,学校教育法施行規則第73条において,別表第2に定めている授業時数が標準授業時数と規定されているのは,
@指導に必要な時間を実質的に確保するという考え方を踏まえ,各学校においては,生徒や地域の実態を十分に考慮して,生徒の負担過重にならない限度で別表第2に定めている授業時数を上回って教育課程を編成し,実際に上回った授業時数で指導することが可能であること,
A別表第2に定めている授業時数を踏まえて教育課程を編成したものの災害や流行性疾患による学級閉鎖等の不測の事態により当該授業時数を下回った場合,その確保に努力することは当然であるが,下回ったことのみをもって学校教育法施行規則第73条及び別表第2に反するものとはしない
といった趣旨を制度上明確にしたものである。
特に,@については,学習指導要領のねらいが十分実現されていないと判断される場合には,指導方法・指導体制の工夫改善を図りながら,標準を上回る適切な指導時間を確保するなど,指導内容の確実な定着を図ることに努めることが必要である。
その際,年間の行事予定や各教科等の年間指導計画,その実施,改善の状況等について,保護者をはじめ地域住民等に対して積極的に情報提供することも重要である。
なお,別表第2は,各教科等のそれぞれの授業時数だけでなく,各学年の総授業時数も標準として定めている。
したがって,個々の教科等の授業時数と同様に総授業時数についてもその確保を図ることが求められる。
各学校においては,このような考え方に立って,授業時数を適切に配当した教育課程を編成するとともに,その実施に当たっても,実際に必要な指導時間を確保するよう,学年や学期,月ごと等に授業時数の実績の管理や学習の状況の把握を行うなど,その状況等について自ら点検及び評価を行い,改善に努める必要がある。
このほか,授業時数の確保に当たっては,各学校において,教師が教材研究,指導の打合せ,地域との連絡調整等に充てる時間を可能な限り確保するため,会議等のもち方や時間割の工夫など時間の効果的・効率的な利用等に配慮することなどに留意することが求められる。 |