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(1)生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価し,学習したことの意義や価値を実感できるようにすること。

 また,各教科等の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点から,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら評価の場面や方法を工夫して,学習の過程や成果を評価し,指導の改善や学習意欲の向上を図り,資質・能力の育成に生かすようにすること。

 本項と次項は,学習評価の実施に当たっての配慮事項を示している。

 学習評価は,学校における教育活動に関し,生徒の学習状況を評価するものである。

 「生徒にどういった力が身に付いたか」という学習の成果を的確に捉え,教師が指導の改善を図るとともに,生徒自身が自らの学習を振り返って次の学習に向かうことができるようにするためにも,学習評価の在り方は重要であり,教育課程や学習・指導方法の改善と一貫性のある取組を進めることが求められる。

 評価に当たっては,いわゆる評価のための評価に終わることなく,教師が生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価し,生徒が学習したことの意義や価値を実感できるようにすることで,自分自身の目標や課題をもって学習を進めていけるように,評価を行うことが大切である。

 実際の評価においては,各教科等の目標の実現に向けた学習の状況を把握するために,指導内容や生徒の特性に応じて,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら評価の場面や方法を工夫し,学習の過程の適切な場面で評価を行う必要がある。

 その際には,学習の成果だけでなく,学習の過程を一層重視することが大切である。

 特に,他者との比較ではなく生徒一人一人のもつよい点や可能性などの多様な側面,進歩の様子などを把握し,学年や学期にわたって生徒がどれだけ成長したかという視点を大切にすることも重要である。

 また,教師による評価とともに,生徒による学習活動としての相互評価や自己評価などを工夫することも大切である。相互評価や自己評価は,生徒自身の学習意欲の向上にもつながることから重視する必要がある。

 
 

 今回の改訂では,各教科等の目標を資質・能力の三つの柱で再整理しており,平成28年12月の中央教育審議会答申において,目標に準拠した評価を推進するため,観点別評価について,「知識・技能」,「思考・判断・表現」,「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理することが提言されている。

 その際,ここでいう「知識」には,個別の事実的な知識のみではなく,それらが相互に関連付けられ,さらに社会の中で生きて働く知識となるものが含まれている点に留意が必要である。

 また,資質・能力の三つの柱の一つである「学びに向かう力,人間性等」には

@「主体的に学習に取り組む態度」として観点別評価(学習状況を分析的に捉える)を通じて見取ることができる部分と,

A観点別評価や評定にはなじまず,こうした評価では示しきれないことから個人内評価(個人のよい点や可能性,進歩の状況について評価する)を通じて見取る部分

があることにも留意する必要がある。

 このような資質・能力のバランスのとれた学習評価を行っていくためには,指導と評価の一体化を図る中で,論述やレポートの作成,発表,グループでの話合い,作品の制作等といった多様な活動を評価の対象とし,ペーパーテストの結果にとどまらない,多面的・多角的な評価を行っていくことが必要である。

 
 

(2)創意工夫の中で学習評価の妥当性や信頼性が高められるよう,組織的かつ計画的な取組を推進するとともに,学年や学校段階を越えて生徒の学習の成果が円滑に接続されるように工夫すること。

 学習評価の実施に当たっては,評価結果が評価の対象である生徒の資質・能力を適切に反映しているものであるという学習評価の妥当性や信頼性が確保されていることが重要である。

 また,学習評価は生徒の学習状況の把握を通して,指導の改善に生かしていくことが重要であり,学習評価を授業改善や組織運営の改善に向けた学校教育全体の取組に位置付けて組織的かつ計画的に取り組むことが必要である。

 このため,学習評価の妥当性や信頼性が高められるよう,例えば,評価規準や評価方法等について,事前に教師同士で検討するなどして明確にすること,評価に関する実践事例を蓄積し共有していくこと,評価結果についての検討を通じて評価に係る教師の力量の向上を図ることなどに,学校として組織的かつ計画的に取り組むことが大切である。

 さらに,学校が保護者に,評価に関する仕組みについて事前に説明したり,評価結果についてより丁寧に説明したりするなどして,評価に関する情報をより積極的に提供し保護者の理解を図ることも信頼性の向上の観点から重要である。

 また,学年や学校段階を越えて生徒の学習の成果が円滑に接続されるようにすることは,学習評価の結果をその後の指導に生かすことに加えて,生徒自身が成長や今後の課題を実感できるようにする観点からも重要なことである。

 このため,学年間で生徒の学習の成果が共有され円滑な接続につながるよう,指導要録への適切な記載や学校全体で一貫した方針の下で学習評価に取り組むことが大切である。

 さらに,今回の改訂は学校間の接続も重視しており,進学時に生徒の学習評価がより適切に引き継がれるよう努めていくことが重要である。

 例えば,法令の定めに基づく指導要録の写し等の適切な送付に加えて,今回の改訂では,特別活動の指導に当たり,学校,家庭及び地域における学習や生活の見通しを立て,学んだことを振り返りながら,新たな学習や生活への意欲につなげたり,将来の生き方を考えたりする活動を行うこととし,その際,生徒が活動を記録し蓄積する教材等を活用することとしており(第5章特別活動 第2〔学級活動〕の3(2)),そうした教材を学校段階を越えて活用することで生徒の学習の成果を円滑に接続させることが考えられる。

 
 
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