学校における道徳教育は，道徳科を要として学校の教育活動全体を通じて行われる。

　各教科等でどのように道徳教育を行うかについては，学校の創意工夫によるところであるが，各教科等は，各教科等の目標に基づいてそれぞれに固有の指導を充実させる過程で，道徳性が育まれることを考え，見通しをもって指導することが重要である。

　各教科等の指導を通じて生徒の道徳性を養うためには，教師の用いる言葉や生徒への接し方，授業に望む姿勢や熱意といった教師の態度や行動による感化とともに，次のような視点が挙げられる。

ア　道徳教育と各教科等の目標，内容及び教材との関わり

　各教科等の目標や内容には，生徒の道徳性を養うことに関わりの深い事柄が含まれている。

　各教科等において道徳教育を適切に行うためには，まず，それぞれの特質に応じて道徳の内容に関わる事項を明確にする必要がある。

　それらに含まれる道徳的価値を意識しながら，学校独自の重点内容項目を踏まえて指導することにより，道徳教育の効果も一層高めることができる。

イ　学習活動や学習態度への配慮

　各教科等では，それぞれの授業を通して，学習態度や学習習慣が育てられていく。

　その視点から，生徒が学習に興味・関心をもち，積極的に取り組む工夫をすることや，相互に学び合う思いやりのある協力的な雰囲気や人間関係をつくるように配慮することは，学習効果を高めるとともに，望ましい道徳性を養うことにつながる。

　なお，道徳性を養うための指導方法の一つとして，道徳的習慣をはじめ道徳的行為に関する指導を行うことも重要である。

　例えば，学校教育の様々な場面において，具体的な道徳的習慣や道徳的行為についての指導を行うことがあるが，その際，最終的なねらいとしているのは，指導を通じてその意義を理解し，自らの判断により，進んで適切な実践ができる資質・能力を育てることである。