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 教科の目標は,次のとおりである。

 言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

(1)社会生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。

(2)社会生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,思考力や想像力を養う。

(3)言葉がもつ価値を認識するとともに,言語感覚を豊かにし,我が国の言語文化に関わり,国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。

 教科の目標では,まず,国語科において育成を目指す資質・能力を国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力とし,国語科が国語で理解し表現する言語能力を育成する教科であることを示している。

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 言語は,言語形式とそれによって表される言語内容とを併せもっている。

 平成20年告示の学習指導要領においては,

「国語を適切に使う能力と国語を使って内容や事柄を適切に表現する能力」,

「国語の使い方を正確に理解する能力と国語で表現された内容や事柄を正確に理解する能力」

の両方の内容を含んだものとして,「国語を適切に表現し正確に理解する能力」を示していたところである。

 今回の改訂において示す国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力とは,

国語で表現された内容や事柄を
正確に理解する資質・能力,
国語を使って
内容や事柄を適切に表現する資質・能力

であるが,

そのために必要となる国語の使い方を正確に理解する資質・能力,国語を適切に使う資質・能力を含んだものである。

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 正確に理解する資質・能力と,
 適切に表現する資質・能力とは,

連続的かつ同時的に機能するものであるが,
表現する内容となる自分の考えなどを形成するためには国語で表現された様々な事物,経験,思い,考え等を理解することが必要であることから,
今回の改訂では,「正確に理解」,「適切に表現」という順に示している。

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 言葉による見方・考え方を働かせるとは,

生徒が学習の中で,対象と言葉,言葉と言葉との関係を,言葉の意味,働き,使い方等に着目して捉えたり問い直したりして,言葉への自覚を高めることであると考えられる。

 様々な事象の内容を自然科学や社会科学等の視点から理解することを直接の学習目的としない国語科においては,言葉を通じた理解や表現及びそこで用いられる言葉そのものを学習対象としている。

 このため,「言葉による見方・考え方」を働かせることが,国語科において育成を目指す資質・能力をよりよく身に付けることにつながることとなる。

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 また,言語能力を育成する中心的な役割を担う国語科においては,言語活動を通して資質・能力を育成する。

 言語活動を通して,国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力を育成するとしているのは,この考え方を示したものである。

 今回の改訂では,他教科等と同様に,国語科において育成を目指す資質・能力を「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」の三つの柱で整理し,それぞれに整理された目標を(1),(2),(3)に位置付けている。
 
 

(1) 社会生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。

 (1)は,「知識及び技能」に関する目標を示したものである。

 日常生活から社会生活へと活動の場を広げる中学生が,社会生活において必要な国語の特質について理解し,それを適切に使うことができるようにすることを示している。

 具体的には,内容の〔知識及び技能〕に示されている言葉の特徴や使い方,話や文章に含まれている情報の扱い方,我が国の言語文化に関する「知識及び技能」のことである。

 こうした「知識及び技能」を,社会生活における様々な場面で,主体的に活用できる,生きて働く「知識及び技能」として習得することが重要となる。

 
 

(2) 社会生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,思考力や想像力を養う。

 (2)は,「思考力,判断力,表現力等」に関する目標を示したものである。

 社会生活における人と人との関わりの中で,思いや考えを伝え合う力を高め,思考力や想像力を養うことを示している。

 具体的には,内容の〔思考力,判断力,表現力等〕に示されている「A 話すこと・聞くこと」,「B 書くこと」,「C 読むこと」に関する「思考力,判断力,表現力等」のことである。

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 伝え合う力を高めるとは,

人間と人間との関係の中で,互いの立場や考えを尊重し,言語を通して正確に理解したり適切に表現したりする力を高めることである。

 思考力や想像力を養うとは,

言語を手掛かりとしながら論理的に思考する力や豊かに想像する力を養うことである。

 思考力や想像力などは認識力や判断力などと密接に関わりながら,新たな発想や思考を創造する原動力となる。

 こうした力を,未知の状況にも対応できる「思考力,判断力,表現力等」として育成することが重要となる。

 
 

(3) 言葉がもつ価値を認識するとともに,言語感覚を豊かにし,我が国の言語文化に関わり,国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。

 (3)は,「学びに向かう力,人間性等」に関する目標を示したものである。

 言葉がもつ価値を認識するとともに,言語感覚を豊かにし,我が国の言語文化に関わり,国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養うことを示している。

 言葉がもつ価値には,

言葉によって
自分の考えを形成したり
新しい考えを生み出したりすること,

言葉から様々なことを感じたり,
感じたことを言葉にしたりすることで

心を豊かにすること,

言葉を通じて
人や社会と関わり
自他の存在について
理解を深めること

などがある。

こうしたことを価値として認識すること
を示している。

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 言語感覚とは,

言語で理解したり表現したりする際の正誤・適否・美醜などについての感覚のことである。

 話したり聞いたり書いたり読んだりする具体的な言語活動の中で,相手,目的や意図,場面や状況などに応じて,どのような言葉を選んで表現するのが適切であるかを直観的に判断したり,話や文章を理解する場合に,そこで使われている言葉が醸し出す味わいを感覚的に捉えたりすることができることである。

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 言語感覚については,小学校では養うとしているものを,中学校では豊かにするとし,より高いものを求めている。

 言語に対する知的な認識を深めるだけでなく,言語感覚を豊かにすることは,一人一人の生徒の言語活動を充実させ,自分なりのものの見方や考え方を形成することに役立つ。

 こうした言語感覚の育成には,多様な場面や状況における学習の積み重ねや,継続的な読書などが必要であり,そのためには,国語科の学習を他教科等の学習や学校の教育活動全体と関連させていくカリキュラム・マネジメント上の工夫も大切である。

 さらに,生徒を取り巻く言語環境を整備することも,言語感覚の育成に極めて重要である。

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 我が国の言語文化に関わるとは,

我が国の歴史の中で創造され,継承されてきた文化的に高い価値をもつ言語そのもの,つまり,文化としての言語,また,それらを実際の生活で使用することによって形成されてきた文化的な言語生活,さらには,古代から現代までの各時代にわたって,表現し,受容されてきた多様な言語芸術や芸能などに関わることである。

 国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養うことを求めているのは,

我が国の歴史の中で育まれてきた国語が,人間としての知的な活動や文化的な活動の中枢をなし,一人一人の自己形成,社会生活の向上,文化の創造と継承などに欠かせないからである。

 国語に対する自覚や関心を高め,話したり聞いたり書いたり読んだりすることが,生徒一人一人の言語能力を更に向上させていく。

 その中で,国語を愛護し,国語を尊重して,国語そのものを一層優れたものに向上させていこうとする意識や態度も育っていくのである。

 
 
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