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 内容の(1)は,学習過程に沿って,
次のように構成している。

○話題の設定,情報の収集,内容の検討

○構成の検討,考えの形成(話すこと)

○表現,共有(話すこと)

○構造と内容の把握,精査・解釈,考えの形成,共有(聞くこと)

○話合いの進め方の検討,考えの形成,共有(話し合うこと)

「A 話すこと・聞くこと」領域の構成

 上表のとおり,今回の改訂では,学習過程を一層明確にし,各指導事項を位置付けた。

 なお,ここに示す学習過程は指導の順序性を示すものではないため,アからオまでの指導事項を必ずしも順番に指導する必要はない。

 また,「話題の設定,情報の収集,内容の検討」に関する指導事項は,「話すこと」,「聞くこと」,「話し合うこと」に共通する指導事項である。

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 なお,「A 話すこと・聞くこと」の学習は,話し手と聞き手との関わりの下で成立する学習であるため,「話すこと」,「聞くこと」,「話し合うこと」の各指導事項は相互に密接な関連がある。

 
 

 目的や場面に応じて話題を決め,話したり聞いたり話し合ったりするための材料を収集・整理し,伝え合う内容を検討することを示している。

 「話すこと」,「聞くこと」,「話し合うこと」に共通し,また,その他の指導事項と密接に関わるものである。

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 話題の設定については,

第1学年では,
小学校との接続を考慮して
日常生活の中から

第2学年及び第3学年では,
社会生活の中から

集めることを示し,発達の段階に応じて話題を決める範囲を広げている。

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 情報の収集及び内容の検討については,材料を集める観点を,

第2学年では,
異なる立場や考えを想定しながら

第3学年では,
多様な考えを想定しながら

伝え合う内容を検討することを示している。

[第1学年]

ア 目的や場面に応じて,日常生活の中から話題を決め,集めた材料を整理し,伝え合う内容を検討すること。

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[第2学年]

ア 目的や場面に応じて,社会生活の中から話題を決め,異なる立場や考えを想定しながら集めた材料を整理し,伝え合う内容を検討すること。

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[第3学年]

ア 目的や場面に応じて,社会生活の中から話題を決め,多様な考えを想定しながら材料を整理し,伝え合う内容を検討すること。

 
 

 自分の立場や考えが明確になるように話の構成を考えることを通して,自分の考えを形成することを示している。

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 自分の立場や考え,根拠が明確になるように,

第1学年では,
話の中心的な部分と付加的な部分,
事実と意見との関係
などに注意して

第2学年では,
根拠の適切さや論理の展開
などに注意して

第3学年では,
論理の展開などを考えて

話の構成を
考えたり工夫したりすること
を示している。

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 なお,構成を考えながら改めて材料を収集・整理するなど,必要に応じて柔軟に学習を展開することが重要である。

[第1学年]

イ 自分の考えや根拠が明確になるように,話の中心的な部分と付加的な部分,事実と意見との関係などに注意して,話の構成を考えること。

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[第2学年]

イ 自分の立場や考えが明確になるように,根拠の適切さや論理の展開などに注意して,話の構成を工夫すること。

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[第3学年]

イ 自分の立場や考えを明確にし,相手を説得できるように論理の展開などを考えて,話の構成を工夫すること。

 
 

 聞き手に分かりやすく伝わるように
表現を工夫すること
を示している。

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第1学年では,
相手の反応を踏まえながら

第2学年では,
資料や機器を用いるなどして

第3学年では,
場の状況に応じて言葉を選ぶなどして

自分の考えが分かりやすく伝わるように
表現を工夫すること
を示している。

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 音声表現は,
そのままでは形に残らないもの
であるため,
表現を工夫することが重要である。

[第1学年]

ウ 相手の反応を踏まえながら,自分の考えが分かりやすく伝わるように表現を工夫すること。

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[第2学年]

ウ 資料や機器を用いるなどして,自分の考えが分かりやすく伝わるように表現を工夫すること。

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[第3学年]

ウ 場の状況に応じて言葉を選ぶなど,自分の考えが分かりやすく伝わるように表現を工夫すること。

 
 

 話の展開に注意しながら内容を聞き取り,互いの考えを比較したり,聞き取った内容や表現の仕方を評価したりして,自分の考えを形成することを示している。

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話を聞く際の視点としては,

第1学年では,
必要に応じて記録したり質問したりして

第2学年では,
論理の展開などに注意して

第3学年では,
話の展開を予測しながら

聞くことを示している。

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 その上で,

第1学年では,
聞き取った内容の
共通点や相違点などを踏まえて

第2学年では,
話し手の考えと比較しながら

第3学年では,
聞き取った内容や表現の仕方を評価して

自分の考えを
まとめたり
広げたり
深めたり
することを示している。

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 聞き取ったことを比較したり評価したりするためには,聞き手自身が話題に対して一定の立場や考えをもっていることが前提となる。

 そのため,「話題の設定,情報の収集」の段階から,聞き手としてどのような立場に立ち,何を聞こうとするのかを意識することなどが重要である。

[第1学年]

エ 必要に応じて記録したり質問したりしながら話の内容を捉え,共通点や相違点などを踏まえて,自分の考えをまとめること。

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[第2学年]

エ 論理の展開などに注意して聞き,話し手の考えと比較しながら,自分の考えをまとめること。

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[第3学年]

エ 話の展開を予測しながら聞き,聞き取った内容や表現の仕方を評価して,自分の考えを広げたり深めたりすること。

 
 

 話合いを効果的に進め,互いの発言を踏まえて,考えをまとめたり広げたり深めたりすることを示している。

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 話合いは,話すことと聞くこととが交互に行われる言語活動であり,それぞれの生徒が話し手でもあり聞き手でもある。

 話合いの過程では,「話すこと」と「聞くこと」に関する資質・能力が一体となって働くため,指導に当たっては,「話すこと」に関する指導事項と「聞くこと」に関する指導事項との関連を図ることが重要である。

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 話合いを効果的に進めることについては,

第1学年では,
話題や展開を捉えながら

第2学年では,
互いの立場や考えを尊重しながら

第3学年では,
進行の仕方を工夫したり互いの発言を生かしたりしながら,

話し合うことを示している。

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 また,考えを形成することについては,

第1学年では,
互いの発言を結び付けて

第2学年では,
結論を導くために

第3学年では,
合意形成に向けて

考えをまとめたり広げたり深めたりすることを示している。

[第1学年]

オ 話題や展開を捉えながら話し合い,互いの発言を結び付けて考えをまとめること。

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[第2学年]

オ 互いの立場や考えを尊重しながら話し合い,結論を導くために考えをまとめること。

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[第3学年]

オ 進行の仕方を工夫したり互いの発言を生かしたりしながら話し合い,合意形成に向けて考えを広げたり深めたりすること。

 
 

 内容の(2)には,(1)の指導事項を指導する際の言語活動を例示している。

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 各学年のアには,話し手がある程度まとまった話をし,それを聞いて,聞き手が質問や意見,助言,評価などを述べる言語活動を例示している。

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 各学年のイには,目的に沿って,互いの考えを伝え合ったり生かし合ったりする話合いや議論,討論などの言語活動を例示している。

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 各学年の言語活動例は,次のとおりである。

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 なお,これらの言語活動は例示であるため,これらの全てを行わなければならないものではなく,これ以外の言語活動を取り上げることも考えられる。

[第1学年]

ア 紹介や報告など伝えたいことを話したり,それらを聞いて質問したり意見などを述べたりする活動。

イ 互いの考えを伝えるなどして,少人数で話し合う活動。

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[第2学年]

ア 説明や提案など伝えたいことを話したり,それらを聞いて質問や助言などをしたりする活動。

イ それぞれの立場から考えを伝えるなどして,議論や討論をする活動。

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[第3学年]

ア 提案や主張など自分の考えを話したり,それらを聞いて質問したり評価などを述べたりする活動。

イ 互いの考えを生かしながら議論や討論をする活動。

 
 
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