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(2) B 学習・指導の改善充実や教育環境の充実等

@)「主体的・対話的で深い学び」の実現

(「主体的な学び」の視点)

・主体的な学びについては,児童生徒が学習課題を把握しその解決への見通しを持つことが必要である。

 そのためには,単元等を通した学習過程の中で動機付けや方向付けを重視するとともに,学習内容・活動に応じた振り返りの場面を設定し,児童生徒の表現を促すようにすることなどが重要である。

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(「対話的な学び」の視点)

・対話的な学びについては,例えば,実社会で働く人々が連携・協働して社会に見られる課題を解決している姿を調べたり,実社会の人々の話を聞いたりする活動の一層の充実が期待される。

 しかしながら,話合いの指導が十分に行われずグループによる活動が優先し内容が深まらないといった課題が指摘されるところであり,深い学びとの関わりに留意し,その改善を図ることが求められる。

・また,主体的・対話的な学びの過程で,ICTを活用することも効果的である。

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(「深い学び」の視点)

・これらのことを踏まえるとともに,深い学びの実現のためには,「社会的な見方・考え方」を用いた考察,構想や,説明,議論等の学習活動が組み込まれた,課題を追究したり解決したりする活動が不可欠である。

 具体的には,

教科・科目及び分野の特質に根ざした追究の視点と,それを生かした課題(問い)の設定,

諸資料等を基にした多面的・多角的な考察,

社会に見られる課題の解決に向けた
広い視野からの構想(選択・判断),
論理的な説明,
合意形成や社会参画を
視野に入れながらの議論
などを通し,

主として用語・語句などを含めた
個別の事実等に関する知識のみならず,
主として社会的事象等の
特色や意味,理論などを含めた
社会の中で汎用的に使うことのできる概念等に関わる知識
を獲得するように
学習を設計することが求められる。

 このような観点から,例えば特に小・中学校における主権者教育の充実のため,モデル事業による指導法の改善や単元開発の実施,新しい教材の開発・活用など教育効果の高い指導上の工夫の普及などを図ることも重要である。

A)教材や教育環境の充実

○ 教育の改善・充実のためには,教材の在り方を次のように見直すことが求められる。

・小学校社会科においては,これまで第4学年から配布されていた「教科用図書地図」を第3学年から配布するようにし,グローバル化などへの対応を図っていくこと

・授業において,新聞や公的機関が発行する資料等を一層活用すること

・高等学校地理歴史科の歴史系科目では,教材で扱われる用語が膨大になっていることが指摘されていることから,
歴史用語について,研究者と教員との対話を通じ,「社会的事象の歴史的な見方・考え方」等も踏まえ,地理歴史科の科目のねらいを実現するために必要な概念等に関する知識を明確化するなどして整理すること

・地理系科目においては,地理情報システム(GIS)の指導に関わり,教育現場におけるGIS活用を普及するための環境整備や広報等とともに,活用可能なデータ情報の一元的整理・活用が求められること

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○ 教育環境の充実のために次のような条件整備が求められる。

・教科の内容に関係する専門家や関係諸機関等と円滑な連携・協働を図り,社会との関わりを意識して課題を追究したり解決したりする活動を充実させること

・博物館や資料館,図書館などの公共施設についても引き続き積極的に活用すること

・教員を対象にした研修の充実を進めること

・地理歴史科及び公民科科目と大学入学者選抜との関係について,高大接続システム改革会議の最終報告の趣旨を踏まえた出題の検討が望まれること

 
 

 「主体的・対話的で深い学び」については,方式化された授業の方法や技術ではなく,授業改善の考え方として捉えるべきことが議論されてきた。

 これまで言語活動の充実などの形で教科を超えて図られてきた学習活動の改善が,引き続き「社会的な見方・考え方」を働かせる中で,社会科ならではの「問い」として設定され,社会的事象に関わる課題を追究したり解決したりする活動が取り入れられることによって実現することが求められる。

 このことに関しては,「教材や教育環境の充実」として示された,「新聞や公的機関が発行する資料等」や「博物館や資料館,図書館などの公共施設」の活用の推進とともに,「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」の項において具体的に示すこととしており,各分野に共通する留意事項として位置付けることとした。

 これら(2)の@からCまでに示されたことを踏まえ,各分野の改訂の要点を整理すると,それぞれ次のとおりまとめられる。

 
 
→ 中学校社会編 目次
→ 小学校社会編 目次
→ 中学校学習指導要領(2017)目次
→ 学習指導要領ナビ
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