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 歴史的分野における改訂の要点は,主に次の5点である。

 各中項目のイの(ア)に「社会的事象の歴史的な見方・考え方」を踏まえた課題(問い)の設定などに結び付く着目する学習の視点を示し,類似や差異を明確にし,因果関係などで関連付ける等の方法により考察したり,表現したりする学習について示した。

 また,各中項目のイの(イ)に,「各時代を大観して,時代の特色を多面的・多角的に考察し,表現」する学習を明示した。

 平成20年改訂では内容の(1)「歴史のとらえ方」の中項目ウにおいて,「学習した内容を活用してその時代を大観し表現する活動を通して,各時代の特色をとらえさせる」と示されてきた。

 今回の改訂では,中項目ごとにこれらを示し,「まとめ」としての学習を行うことを一層明確にしたものである。

 
 

 (1),(2)…の中項目内のアに示した「知識及び技能を身に付ける」学習と,イに示した「思考力,判断力,表現力等を身に付ける」学習との関係や,それらの各事項に示した歴史に関わる個別的な事象同士の関係を明確にするために,学習内容と学習の過程を構造的に示した。

 歴史的分野における「理解」については,平成20年改訂においても「思考や表現の過程などを踏まえて学習内容を十分に分かりながら身に付けること」と示されてきたが,
今回の改訂ではこの趣旨を一層明確にするために,各中項目のイの(ア)に,「理解」に向かう学習の過程における考察や表現等を示したものである。

 従前も学習内容の構造化や焦点化については示してきたところであるが,
今回の改訂では,学習の過程を含めて構造的に示すことによって,大項目,中項目及び各事項のねらいに基づいた学習が展開し,アに示す「知識及び技能を身に付ける」学習と,イに示す「思考力,判断力,表現力等を身に付ける」学習を有機的に結び付けて,課題追究的な学習の実現を図った。

 また,学習の構造化と学習のねらいを明確にすることによって,学習の際に扱うべき歴史に関わる諸事象の精選を図ることとしたものである。

 
 

グローバル化が進展する社会の中で,
我が国の歴史の大きな流れを
理解するために,
世界の歴史の扱いについて,
一層の充実を図った。

平成20年改訂においても,
我が国の歴史に関わる事象に
影響を与えた世界の動きについては
一層の関連付けを図って
学習するように示してきたが,

今回の改訂では,
高等学校地理歴史科に
「歴史総合」が設置されることを受け,
我が国の歴史に間接的な影響を与えた
世界の歴史についても充実させた。

 例えば,元寇(げんこう)をユーラシアの変化の中で捉える学習や,ムスリム商人などの役割と世界の結び付きに気付かせる学習など,広い視野から背景を理解できるよう工夫したものである。

 
 

 民主政治の来歴や,現代につながる政治制度や人権思想の広がりについての学習の充実を図った。

 例えば,古代の文明の学習では民主政治の来歴を,近代の学習では政治体制の変化や人権思想の発達や広がりを,現代の学習では,男女普通選挙の確立や日本国憲法の制定などを取り扱うこととした。

 
 

 我が国の様々な伝統や文化について学ぶことは,これまでも歴史的分野で重視されてきたねらいの一つである。

 今回の改訂においても,歴史的分野の目標の(2)で,「伝統と文化の特色」などを考察すること,目標の(3)で「国家及び社会並びに文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産を尊重しようとすることの大切さについての自覚などを深め」ることが示されている。

 内容のAの「(2)身近な地域の歴史」において,具体的な事柄を通して受け継がれてきた伝統や文化への関心を高めることや,各中項目における伝統や文化の特色の理解につながる学習とともに,
新たに内容のBの(2)や(3)において,「琉球(りゅうきゅう)の文化」や「アイヌの文化」についても触れることとし,学習内容の一層の充実を図った。

 
 
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