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 公民的分野における改訂の要点は,主に次の6点である。

 現代日本の社会に対する関心を高め,以後の学習のより一層の理解を図るため,現代社会の特色についての学習,伝統や文化に関する学習,宗教に関する一般的な教養について,次のような内容の改善を図った。

(ア) 内容のAの「(1)私たちが生きる現代社会と文化の特色」において,現代日本の社会の特色として少子高齢化,情報化,グローバル化などが見られること,これらが現在と将来の政治,経済,国際社会に与える影響について多面的・多角的に考察し,表現できるようにした。

 その際,情報化については,人工知能の急速な進化などによる産業や社会の構造的な変化などと関連付けたり,災害時における防災情報の発信・活用などの具体的事例を取り上げたりすることとした。

(イ) さらに同じ中項目において,現代社会における文化の意義や影響について理解できるようにするとともに,我が国の伝統と文化を扱い,文化の継承と創造の意義について多面的・多角的に考察し,表現できるようにした。

(ウ) 内容のDの「(1)世界平和と人類の福祉の増大」で,国際社会における文化や宗教の多様性について取り上げることとした。

 
 

 今回の学習指導要領改訂では,「社会的な見方・考え方」については分野の特質を踏まえてその名称などが整理され,公民的分野においては「現代社会の見方・考え方」と示された。

 内容のAの「(2)現代社会を捉える枠組み」で,従前に引き続き,現代社会を捉え,多面的・多角的に考察,構想する際に働かせる概念的な枠組みの基礎として,対立と合意,効率と公正などを取り上げ,現代社会を捉える枠組みを養う学習の一層の充実を図った。

 
 

内容のAの
「(2)現代社会を捉える枠組み」
を以後の大項目の学習に生かすとともに,

経済,政治,国際社会に関わる
現代の社会的事象について
考察,構想したり,

その過程や結果を
適切に表現したりする際に
働かせる視点(概念など)として,
「分業と交換,希少性など」,
「個人の尊重と法の支配,民主主義など」,
「協調,持続可能性など」
を新たに示し,

課題の特質に応じた視点(概念など)に
着目して考察したり,
よりよい社会の構築に向けて,
その課題の解決のための選択・判断
に資する概念などを
関連付けて構想したりするなど,

現代社会の見方・考え方を働かせる学習
の一層の充実を図った。

 
 

 社会に見られる課題を把握したり,その解決に向けて考察,構想したりする学習については次のように改善を図った。

(ア) 内容のAの「(2)現代社会を捉える枠組み」では,社会生活における物事の決定の仕方,契約を通した個人と社会との関係,きまりの役割について多面的・多角的に考察し,表現できるようにした。

(イ) 内容のBの「(1)市場の働きと経済」では,個人や企業の経済活動における役割と責任について多面的・多角的に考察し,表現できるようにした。

 その際,起業について触れるとともに,経済活動や起業などを支える金融などの働きについて取り扱うこととした。

 また,社会生活における職業の意義と役割について多面的・多角的に考察し,表現できるようにした。

 その際,仕事と生活の調和という観点から労働保護立法についても触れることとした。

(ウ) 内容のBの「(2)国民の生活と政府の役割」では,少子高齢社会における社会保障の意義について理解できるようにした。

 また,財政及び租税の役割について,財源の確保と配分という観点から,財政の状況や少子高齢社会など現代社会の特色を踏まえて財政の持続可能性と関連付けて多面的・多角的に考察し,表現できるようにした。

(エ) 内容のCの「(1)人間の尊重と日本国憲法の基本的原則」で,我が国の政治が日本国憲法に基づいて行われていることの意義について多面的・多角的に考察し,表現できるようにした。

(オ) 内容のCの「(2)民主政治と政治参加」で,民主政治の推進と,公正な世論の形成や選挙など国民の政治参加との関連について多面的・多角的に考察,構想し,表現できるようにした。

 
 

 内容のDの「(1)世界平和と人類の福祉の増大」で,世界平和の実現と人類の福祉の増大のためには,国際協調の観点から,国家間相互の主権の尊重と協力,各国民の相互理解と協力及び国際連合をはじめとする国際機構などの役割が大切であることを理解できるようにした。

 その際,領土(領海,領空を含む。)と国家主権を関連させて取り扱ったり,国際連合における持続可能な開発のための取組についても触れたりして,基本的な事項を理解できるようにした。

 
 

 内容のDの「(2)よりよい社会を目指して」で,持続可能な社会を形成することに向けて,社会的な見方・考え方を働かせて課題を探究し,自分の考えを説明,論述できるようにした。

 この中項目は,従前に引き続き社会科のまとめという位置付けとし,公民的分野はもとより,地理的分野,歴史的分野などの学習の成果を生かし,これからのよりよい社会の形成に主体的に参画する態度を養うこととした。

また,
この中項目における学習活動も含め,
分野全体を通して,
課題の解決に向けて習得した知識を
活用して,

事実を基に
多面的・多角的に考察,構想したことを
説明したり,

論拠を基に
自分の意見を
説明,論述したりすることにより,

「思考力,判断力,表現力等」
を養うこととし,
言語活動に関わる学習を
一層重視した。

 
 
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