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 歴史的分野では,その目標の(1)において,歴史的分野の学習の中心が「歴史の大きな流れ」を,「各時代の特色を踏まえて理解すること」と,また,目標の(2)において「歴史に関わる事象の意味や意義」,「特色」や「相互の関連」などを多面的・多角的に考察したり,「歴史に見られる課題を把握し複数の立場や意見を踏まえて公正に選択・判断したりする力」を養うことと示している。

 歴史的分野の目標を踏まえた授業の構成について,目標の(1)に示された「歴史の大きな流れ」は,各時代の出来事を個別・詳細に教えさえすれば,自(おの)ずと理解できるというものではない。

 89ページに示した図は,内容のB「近世までの日本とアジア」の中項目「(3)近世の日本」の一部を例とした「歴史的分野の学習内容と学習の過程の構造化図」である。

 中項目「(3)近世の日本」に示された,「知識及び技能」についてのアの「(イ)江戸幕府の成立と対外関係」の事項と,「思考力,判断力,表現力等」についてのイの(ア)の事項は以下のとおりである。

(3)近世の日本

ア 次のような知識を身に付けること。

 課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

(イ) 江戸幕府の成立と対外関係江戸幕府の成立と大名統制,身分制と農村の様子,鎖国などの幕府の対外政策と対外関係など<A>を基に,
幕府と藩による支配が確立したこと<B>を理解すること。

イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 交易の広がりとその影響,統一政権の諸政策の目的,産業の発達と文化の担い手の変化,社会の変化と幕府の政策の変化など<C>に着目して,
事象を相互に関連付けるなどして,
アの(ア)から(エ)までについて
近世の社会の変化の様子<D>を
多面的・多角的に考察し,表現すること。

 例えば,この事項を指導する際には,
アの(イ)の事項に

<A>と示した
「江戸幕府の成立と大名統制」,
「身分制と農村の様子」,
「鎖国などの幕府の対外政策と対外関係」
などの歴史に関わる事象を基に,

イの(ア)の事項<C>のうち,
「交易の広がりとその影響,統一政権の諸政策の目的」
などに着目して,

<D>の
「事象を相互に関連付けるなどして,
 近世の社会の変化の様子」
などを多面的・多角的に考察し,
表現する学習を行うことで,

アの(イ)の事項の<B>
「幕府と藩による支配が確立したこと」
の理解に至る学習の過程が考えられる。

 つまり,

「アの事項の<A>を基に,
 イの事項の<C>に着目して
 <D>を考察し表現することを行い,
 アの事項の<B>を理解する」

という構造を取っており,
このような点を踏まえた指導を
行うことにより,
アに示された各事項の学習のねらいを
実現することができると考えられる。

 また,ねらいを明確化した学習を実現するためには,授業などで扱う歴史に関わる諸事象の精選を図ることが必要であり,項目や事項に示されたねらいを踏まえて,事象を結ぶ問いを構成していくことが考えられる。

 ねらいを踏まえて扱う事象を焦点化して,
例えば,
「それは何か」,
「どのようなもの(こと)か」,
「なぜか」,
「それはどうなるか」,
「それはどのような意味があるのか」,
「諸事象の関係から見いだせる時代の特色は何か」,
「この時代とその前の時代とを比較して,どのような変化や継続を見いだせるか」
といった,

深い理解への段階を意識した課題(問い)
を設定し,

生徒が
各時代の特色と歴史の大きな流れを,
多面的・多角的に考察し,表現する
ことができるように
授業の展開過程を体系的に組み立てることが考えられる。

 このような
課題(問い)に基づく学習を踏まえ,
前述した学習内容と学習の過程の構造化
に留意した授業を構築することで,

生徒が
歴史に関わる事象を結び付けながら,
それらを概念的な知識として獲得し,
理解を深めるとともに,
学習の過程において,
「思考力,判断力,表現力等」の育成
が図られると考えられる。

歴史的分野の学習内容と学習の過程の構造化図 (部分例)

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