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 この大項目は,国際社会に対する理解を深めることができるようにし,国際社会における我が国の役割について多面的・多角的に考察,構想し,表現できるようにするとともに,人類の一員としてよりよい社会を築いていくために解決しなければならない様々な課題について探究し,自分の考えを説明,論述できるようにすることを主なねらいとしている。

 その際,世界平和を確立するための熱意と協力の態度を育成するとともに,人類の福祉の増大を図り,現在及び将来の人類がよりよい社会を築いていくために解決すべき課題について考え続けていく態度を育成することが大切である。

 特に,国際政治に関する内容の学習においては,単なる国際機構名などの知識の習得に終わることなく,なぜ現在このような国際機構が設立され活動しているのか,どのような目的をもって活動しているかなどを理解できるようにすることが大切である。

 また,国際社会における我が国の役割を多面的・多角的に考察,構想し,表現したり,課題を探究し,自分の考えを説明,論述したりする際には,内容のAの「(2)現代社会を捉える枠組み」の学習の成果を生かし,国際社会に関する様々な事象や課題を捉え,考察,構想する際の概念的な枠組みとして対立と合意,効率と公正,協調,持続可能性などに着目したり関連付けたりして,国際社会に関する様々な事象などを理解できるようにしたり,合意形成や社会参画を視野に入れながら,国際社会に関する課題の解決に向けて多面的・多角的に考察,構想できるようにする。

 さらに,理解した内容や考察,構想した過程や結果について,その妥当性や効果,実現可能性などを踏まえて表現できるように指導することを主なねらいとしている。

 以上のねらいに基づき,この大項目における二つの中項目は,次のような観点から内容が構成されている。

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「(1)世界平和と人類の福祉の増大」では,

世界平和の実現と
人類の福祉の増大のためには,

国家間の相互の主権の尊重と協力,
各国民の相互理解と協力及び
国際連合をはじめとする国際機構など
の役割が大切であること

を理解できるようにし,

日本国憲法の平和主義
についての理解を基に,

我が国の安全と防衛,
国際貢献を含む
国際社会における我が国の役割について
多面的・多角的に
考察,構想し,表現できるようにする

とともに,

世界平和を確立するための
熱意と協力の態度を育成するようにする。

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「(2)よりよい社会を目指して」では,

持続可能な社会を形成すること
に向けて課題を設定,探究し,
自分の考えを
説明,論述できるようにする。

なお,この中項目は,
社会科のまとめとして
位置付けられているため,

社会科の学習全体を通して習得した
「知識及び技能」を活用するとともに,

社会的事象の地理的な見方・考え方,
社会的事象の歴史的な見方・考え方,
現代社会の見方・考え方
などからなる
社会的な見方・考え方を働かせ,

課題の解決に向けて探究し,
自分の考えを
説明,論述できるようにすること

が大切である。

 また,その際,適切かつ十分な授業時数を配当することが必要である。

 以上のような大項目のねらいと内容構成の趣旨を踏まえ,現実の国際社会に対する関心を高め,身近で具体的な事例を取り上げて学習を展開し,将来人類の一員としてよりよい社会を築いていく意欲と態度を育成するように配慮することが大切である。

 その際,「分野の内容に関係する専門家や関係諸機関などと円滑な連携・協働を図り,社会との関わりを意識した課題を追究したり解決したりする活動を充実させること」(内容の取扱い)が大切である。

 
 

(1) 世界平和と人類の福祉の増大

 対立と合意,効率と公正,協調,持続可能性などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

ア 次のような知識を身に付けること。

(ア) 世界平和の実現と人類の福祉の増大のためには,国際協調の観点から,国家間の相互の主権の尊重と協力,各国民の相互理解と協力及び国際連合をはじめとする国際機構などの役割が大切であることを理解すること。

 その際,領土(領海,領空を含む。),国家主権,国際連合の働きなど基本的な事項について理解すること。

(イ) 地球環境,資源・エネルギー,貧困などの課題の解決のために経済的,技術的な協力などが大切であることを理解すること。

イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 日本国憲法の平和主義を基に,我が国の安全と防衛,国際貢献を含む国際社会における我が国の役割について多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。

(内容の取扱い)

(5) 内容のDについては,次のとおり取り扱うものとする。

ア (1)については,次のとおり取り扱うものとすること。

(ア) アの(ア)の「国家間の相互の主権の尊重と協力」との関連で,国旗及び国歌の意義並びにそれらを相互に尊重することが国際的な儀礼であることの理解を通して,それらを尊重する態度を養うように配慮すること。

 また,「領土(領海,領空を含む。),国家主権」については関連させて取り扱い,我が国が,固有の領土である竹島や北方領土に関し残されている問題の平和的な手段による解決に向けて努力していることや,尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題は存在していないことなどを取り上げること。

 「国際連合をはじめとする国際機構などの役割」については,国際連合における持続可能な開発のための取組についても触れること。

(イ) イの(ア)の「国際社会における我が国の役割」に関連させて,核兵器などの脅威に触れ,戦争を防止し,世界平和を確立するための熱意と協力の態度を育成するように配慮すること。また,国際社会における文化や宗教の多様性について取り上げること。

 この中項目は,

国際社会において
国家が互いに尊重し協力し合うために
大切なものは何か,

世界平和と人類の福祉の増大のために,
世界の国々では
どのような協力が行われているのか,

我が国は
どのような協力を行っているのか,

地球上にはどのような問題が存在し,
その解決に向けて
国際社会はどのような取組を
行っているのか,

今後どのようなことができるか,

といった
現実の国際社会などに関する理解
を基に
考察,構想し,表現することができる
適切な問いを設け,

それらの課題を
追究したり解決したりする活動を通して,
世界の平和と
人類の福祉の増大のために
熱意と協力の態度を育成すること

を主なねらいとしている。

 アは,この中項目で身に付ける「知識」に関わる事項である。

 アの(ア)の世界平和の実現と人類の福祉の増大のためには,国際協調の観点から,国家間の相互の主権の尊重と協力,各国民の相互理解と協力及び国際連合をはじめとする国際機構などの役割が大切であることを理解すること。その際,領土(領海,領空を含む。),国家主権,国際連合の働きなど基本的な事項について理解することについては,

国際政治は国際協調の観点に基づいて国家間の対立の克服が試みられていることを,「領土(領海,領空を含む。),国家主権,国際連合の働きなど基本的な事項」を踏まえて理解できるようにすることを意味している。

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 領土(領海,領空を含む。),国家主権,国際連合の働きなど基本的な事項について理解することとは,

固有の領土(領海,領空を含む。)をもち,
対外的に独立を守る権利(主権)をもつ国家は,
国際社会において,
原則的に平等の地位を与えられており,
全ての国家の主権が相互に尊重されなければならないこと

を理解できるようにすること,

そして,
我が国と国際社会との関わり
についての理解を基に,

国際的な相互依存関係の深まり
の中において,

国際連合の総会,安全保障理事会など
主要な組織の目的や働きの概要
に触れながら,

「誰一人取り残さない」との理念の下,
自然環境や資源の有限性,
貧困,
イノベーション
などに関わる
17のゴール(目標)・169のターゲット
からなる持続可能な開発目標(SDGs)
を設定し,
持続可能な開発のための取組を
各国の国家主権を前提に進めている
国際連合をはじめとする国際機構
の役割が大切になってきている現状

を理解できるようにするとともに,

国際社会において,
国家や国際機構以外の組織が
活動していること

を理解できるようにすることを
意味している。

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 その際,領土(領海,領空を含む。)については,

地理的分野における
「領域の範囲や変化とその特色」,
歴史的分野における「領土の画定」
などの学習の成果を踏まえ,

国家間の問題として,
我が国においても,
固有の領土である
竹島や
北方領土
(歯舞(はぼまい)群島,
 色丹(しこたん)島,
 国後(くなしり)島,
 択捉(えとろふ)島)

に関し
未解決の問題が残されていること,

領土問題の発生から
現在に至る経緯,

及び

渡航や漁業,海洋資源開発などが
制限されたり,
船舶の拿捕(だほ),船員の抑留
が行われたり,

その中で過去には
日本側に死傷者が出たりするなど
不法占拠のために発生している問題
についての理解を基に,

我が国の立場が
歴史的にも国際法上も正当であること,
我が国が
平和的な手段による解決に向けて
努力していることを,

国家主権と関連付けて
理解できるようにする。

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 なお,
我が国の固有の領土である尖閣諸島
をめぐる情勢については,

現在に至る経緯,
我が国の立場が
歴史的にも国際法上も正当であること
についての理解を基に,

尖閣諸島をめぐり
解決すべき領有権の問題は
存在していないこと

を理解できるようにする。

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 また,国家主権に関連して,
基本的人権の保障が
国境を越えた人類共通の課題であること
の理解を基に,

北朝鮮による日本人拉致問題
などについて,

対立と合意,協調などに着目して
課題を的確に捉え,
我が国がその解決に向けて,
国際社会の明確な理解と支持を受けて
努力していること

を理解できるようにすることも
必要である。

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 さらに,

国家間の相互の主権の尊重と協力
関連して,
国際理解と国際協力に対して
積極的に取り組む意欲を高めるとともに,

小学校における学習の上に立って,

国旗及び国歌が
それぞれの国の象徴であること,

国旗及び国歌は
国によって定められ方が様々であり

我が国においては
法律によって「日章旗」が国旗であり
「君が代」が国歌であること
が定められていること,

国家間において
相互に主権を尊重し協力し合っていく上で
それらを相互に尊重することが
大切であること

を理解できるようにする。

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 また,

国旗及び国歌が取り扱われる
具体的な場面を取り上げること
などを通して,
それらを相互に尊重することが
国際的な儀礼であること
を理解できるようにするとともに,

これらの指導を通じ,
我が国のみならず
諸外国の国旗及び国歌を尊重する態度
を養うように
配慮する必要がある。

 アの(イ)の地球環境,資源・エネルギー,貧困などの課題の解決のために経済的,技術的な協力などが大切であることを理解することとは,

地球環境に関わっては,
内容のBの
「(2)国民の生活と政府の役割」の
アの(ア)の
「公害の防止など環境の保全」
の学習との関連を図りながら,

環境汚染や自然破壊が,
地域や国家の問題であるとともに,
地球規模の問題となり,
国際協力の重要性の高まりの中で,
我が国の貢献が期待されていること,

資源・エネルギーに関わっては,
有限である資源・エネルギーが
不足してきていること,

一層の省資源,省エネルギー及び
リサイクル
などの必要性が求められていること,

新しい資源・エネルギーの
開発やその利用が必要であること,

貧困に関わっては,
先進国と発展途上国との関係や
経済的な格差ばかりではなく,
発展途上国間においても
経済的な格差が広がっていること

とともに,

貧困の背景には
発展途上国においては
人口の急増があること

などを理解できるようにし,

それらの課題を解決し,
人類の福祉の増大を図るためには,

例えば,

政府開発援助(ODA)をはじめとする
我が国の国際貢献を取り上げ,

経済的,技術的な協力などが
大切であることや,

貧困の解消に向けての
取組を行っていること

などを具体的に理解できるようにする
ことを意味している。

 イは,この中項目で身に付ける「思考力,判断力,表現力等」に関わる事項である。

 イの(ア)の日本国憲法の平和主義を基に,我が国の安全と防衛,国際貢献を含む国際社会における我が国の役割について多面的・多角的に考察,構想し,表現することとは,

「戦争を防止し,
世界平和を確立するための
熱意と協力の態度
を育成するように配慮すること」
(内容の取扱い)
と示されているように,

戦争や地域紛争を防止し,
世界平和を確立するための
熱意と協力の態度
を育成するように指導し,

人間の生命の尊さ,平和の尊さを
自覚できるようにすることに向けて
多面的・多角的に考察,構想し,
表現できるようにすること

を意味している。

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 日本国憲法の平和主義を基にとは,

内容のCの
「(1)人間の尊重と
 日本国憲法の基本的原則」
における平和主義の原則についての
学習との関連を図り,

日本国民が,
第二次世界大戦その他過去の戦争
に対する反省と
第二次世界大戦の末期に受けた
原爆の被害などのいたましい経験から,

政府の行為によって
再び戦争の惨禍が起こること
のないように望み,

平和を愛する諸国民の
公正と信義に信頼して,
国の安全と生存を保持しようと願い,

国際紛争解決の手段としての戦争
を放棄し,
陸海空軍その他の戦力を保持しないこと
を決意したこと,

そして人類が,
ひとしく恐怖と欠乏から免れ,
平和のうちに生存することを
心より願っていること

について理解を深めることが
できるようにすることを
意味している。

--------------------------------

 その上で,

我が国の安全と防衛,国際貢献を含む国際社会における我が国の役割について多面的・多角的に考察,構想し,表現するとは,

各国が自国の防衛のために
努力を払っていること
に触れるとともに,

歴史的分野における
「現代の日本と世界」の学習
などとの関連を踏まえつつ,

国際情勢の変化の中,
自衛隊が
我が国の防衛や
国際社会の平和と安全の維持のために
果たしている役割,

日米安全保障条約
などにも触れながら,

平和主義を原則とする日本国憲法
の下において,
我が国の安全と
アジアひいては世界の平和を
いかにして実現すべきか,

また,さらに

我が国が行っている
世界の平和と人類の福祉に貢献している
様々な国際貢献
についての理解を基に,

国際社会における我が国の役割は
どのようなものか,

ということについて
多面的・多角的に考察,構想し,
表現できるようにすること

を意味している。

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 その際,

核兵器などの脅威に触れ,
戦争を防止し,世界平和を確立するための熱意と協力の態度を育成するように配慮すること
(内容の取扱い)とあるのは,

核兵器をはじめとする
様々な脅威の増大
に触れるとともに,

ひとたび戦争が起これば,
それは
人類を破滅させる危険があることや,

文化や宗教,民族などの違い,
経済格差
などの様々な要因によって発生する
地域紛争やテロリズム
の脅威にさらされている現状

の理解を基に,

日本国民は,
憲法の平和主義に基づいて,
戦争や地域紛争を防止し
平和を確立するために
率先して努めなければならない
使命をもっていること

について自覚できるようにすること

を意味している。

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 また,アの(ア)の
「国際連合をはじめとする国際機構などの役割」
の理解を基に,例えば,

持続可能な開発目標(SDGs)
に触れながら,

対立と合意,持続可能性
などに着目して
具体的な課題を捉え,

我が国でもその解決を目指し,

持続可能で強靱,
そして誰一人取り残さない,
経済,社会,環境の統合的向上
が実現された未来

への先駆者を目指すことを
ビジョンとして掲げて
取組を進めていること

と関連付けて,

我が国が抱える課題と
国際社会全体に関わる課題
の解決に向けて
多面的,多角的に考察,構想し,
表現できるようにすること

も考えられる。

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 さらに,地理的分野における
「世界各地の人々の生活と環境」など
学習の成果を基に,

「国際社会における
 文化や宗教の多様性
 について取り上げ」
(内容の取扱い)
ながら,

国家間の相互の協力や
各国民の相互理解と協力が
世界平和の実現と人類の福祉の増大
にとって大切であること

について理解できるようにすることが
大切である。

 
 

(2)よりよい社会を目指して

 持続可能な社会を形成することに向けて,社会的な見方・考え方を働かせ,課題を探究する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

ア 私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を多面的・多角的に考察,構想し,自分の考えを説明,論述すること。

(内容の取扱い)

イ (2)については,身近な地域や我が国の取組との関連性に着目させ,世界的な視野と地域的な視点に立って探究させること。

 また,社会科のまとめとして位置付け,適切かつ十分な授業時数を配当すること。

 この中項目は,
私たちが
よりよい社会を築いていくためには
どうしたらよいのかについて,

持続可能な社会を形成する
という観点から,
課題を設けて探究し,
自分の考えを説明,論述し,

これから社会参画をしていくための
手掛かりを得ること

を主なねらいとしている。

--------------------------------

 この中項目に
「持続可能な社会を形成することに向けて」とあるのは,
国際連合の決議にも示されているように,
社会の持続可能な発展のためには
教育の果たす役割が重要である
からである。

 指導に当たっては,
公民的分野で学習してきた成果
の活用に加えて,

「地理的分野及び歴史的分野の学習の成果を活用するとともに,これらの分野で育成された資質・能力が,更に高まり発展するようにすること」(内容の取扱い(1)ア)

に留意することが必要である。

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 持続可能な社会を形成するについては,ここでは,
将来の世代のニーズを満たす
ようにしながら,
現在の世代のニーズを満たす
ような社会の形成
を意味している。

----------------

 すなわち,
持続可能な社会を形成するためには,

世代間の公平,
地域間の公平,
男女間の平等,
社会的寛容,
貧困削減,
環境の保全,
経済の開発,
社会の発展

を調和の下に進めていくことが
必要であること

を理解できるようにすることを

意味しており,

このことの理解を基に
探究できるようにすることが
大切である。

--------------------------------

 また,
社会的な見方・考え方を働かせとあるのは,
課題の探究に当たっては,
社会科のまとめとして
位置付けられている
この中項目の特質に応じ,

これまでの
地理的分野,歴史的分野及び
公民的分野
における課題を
追究したり解決したりする活動
において働かせてきた,

社会的事象の地理的な見方・考え方,
社会的事象の歴史的な見方・考え方,
及び
現代社会の見方・考え方

などを総合的に働かせること

を期待して,

これらの「見方・考え方」の総称である
「社会的な見方・考え方を働かせ」,
探究することとしているのである。

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 なお,この中項目は「社会科のまとめとして」(内容の取扱い)位置付けられており,指導に当たっては,「適切かつ十分な授業時数を配当すること」(内容の取扱い)が必要である。

 アは,この中項目で身に付ける「思考力,判断力,表現力等」に関わる事項である。

 課題を探究する活動で生徒が探究する,私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題の設定に関わっては,

「身近な地域や我が国の取組との関連性に着目させ」(内容の取扱い)る
などの工夫を行い,
生徒自ら課題を適切に設定できる
ようにすることが大切である。

 これらの点を踏まえた上で,よりよい社会の形成を視野に,課題を探究し,その解決に向けて,多面的・多角的に考察,構想した自分の考えの過程や結果を説明,論述することを求めているのである。

 したがって,今までに習得した「知識及び技能」に基づいて学習が展開されるため,他の中項目とは異なり,具体的な内容は示していない。

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 なお,課題の探究については,
一定の方法があるわけではないが,
一般に,
課題の設定,
資料の収集と読取り,
考察,
構想とまとめ,
といった手順が考えられる。

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 その際,例えば,
中間発表,
ディベート,
議論,
プレゼンテーションなどを行い,
最終的にはレポートとしてまとめること
が考えられる。

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 また,
科学的な探究の過程や思考の過程を
論理的に表現できるようにすること
も大切である。

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 レポートの作成については,
例えば,
「探究のテーマ」,
「テーマ設定の理由」,
「探究の方法」,
「探究の内容(調べて分かったこと)」,
「探究のまとめ
 (理解したこと,考察,構想したこと)」,
「参考資料」
などの項目を設けて記述するなどして,
一つのまとまったものに仕上げて
生徒が成就感をもつようにすること
が大切である。

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 さらに,「社会的事象は相互に関連し合っていることに留意し,特定の内容に偏ることなく,分野全体として見通しをもったまとまりのある学習が展開できるようにすること」(内容の取扱い(1)ア)が必要である。

 そして,これらの学習を通して,国や地方公共団体の取組,地球規模での努力や国際協力や国際協調などが大切であることを理解できるようにし,自らの生活を見直すとともに,現在及び将来の人類がよりよい社会を築いていくために解決すべきこととして,これらの課題を考え続けていく態度を養うことが必要である。

 
 
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