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 中学校数学科の目標は,数学の指導全体を通して達成を目指すものであるから,一般的かつ包括的に述べている。

 この目標を実際の指導で達成するためには,更に具体的な目標が必要となる。

 これを,数学の内容の系統性と生徒の発達の段階に応じて学年ごとに明らかにしたものが,各学年の目標である。

 したがって各学年の目標はそれぞれの学年の枠だけで捉えるのではなく,その系統性や後述する「内容構成の考え方」を踏まえ,中学校の3年間で漸次達成していく目標として捉えておく必要がある。

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 学年の目標は,「数学科の目標」と同様に,各学年で育成を目指す資質・能力の三つの柱「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」に沿って整理し,それぞれを(1),(2),(3)として示した。

 また(1),(2)は,各学年で指導すべき主な「内容」に関するものである。

 (3)は学年や指導する内容に応じて大きく異なるものではないので「数学科の目標」の(3)と共通的に示しているが,生徒の発達段階を踏まえて,第1学年と第2,3学年ではやや異なるものとしている。

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 各学年で指導する内容は,

 A 数と式,
 B 図形,
 C 関数,
 D データの活用,
 〔数学的活動〕

に分けて示したが,それぞれの内容において育成を目指す資質・能力は,その領域のみのものではなく,相互に関連している。

 例えば,「A数と式」の領域における正の数と負の数の学習は,数の概念を豊かにし減法を加法の式でまとめることができるなど,式の機能を高めるものである。

 また,この正の数と負の数の学習は,「C 関数」の領域の比例定数や変域の理解を深め,関数の概念を豊かにし,その有用性を高めるものでもある。

 そしてこのような学習を通して,正の数・負の数を統一的に捉える力は,漸次育成されるものである。

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 このような趣旨から,常に,「数学科の目標」と「学年の目標」との関連,そして領域相互の関連を考え,「内容」の指導に当たっていくことが必要である。

 また,各学年の目標には柱書を示していないが,小・中・高等学校共通で算数科・数学科の目標の柱書に示した

「数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・能力の育成を目指す」ことは,

いずれの学年においても重要であり,指導に際しては常に留意することが大切である。

 
 

[第1学年]

 正の数と負の数,文字を用いた式と一元一次方程式,平面図形と空間図形,比例と反比例,データの分布と確率などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに,事象を数理的に捉えたり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。

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[第2学年]

 文字を用いた式と連立二元一次方程式,平面図形と数学的な推論,一次関数,データの分布と確率などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに,事象を数学化したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。

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[第3学年]

 数の平方根,多項式と二次方程式,図形の相似,円周角と中心角の関係,三平方の定理,関数 y=ax2,標本調査などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに,事象を数学化したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。

 
 

[第1学年]

 数の範囲を拡張し,数の性質や計算について考察したり,文字を用いて数量の関係や法則などを考察したりする力,

 図形の構成要素や構成の仕方に着目し,図形の性質や関係を直観的に捉え論理的に考察する力,

 数量の変化や対応に着目して関数関係を見いだし,その特徴を表,式,グラフなどで考察する力,

 データの分布に着目し,その傾向を読み取り批判的に考察して判断したり,不確定な事象の起こりやすさについて考察したりする力

 を養う。

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[第2学年]

 文字を用いて数量の関係や法則などを考察する力,

 数学的な推論の過程に着目し,図形の性質や関係を論理的に考察し表現する力,

 関数関係に着目し,その特徴を表,式,グラフを相互に関連付けて考察する力,

 複数の集団のデータの分布に着目し,その傾向を比較して読み取り批判的に考察して判断したり,不確定な事象の起こりやすさについて考察したりする力

 を養う。

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[第3学年]

 数の範囲に着目し,数の性質や計算について考察したり,文字を用いて数量の関係や法則などを考察したりする力,

 図形の構成要素の関係に着目し,図形の性質や計量について論理的に考察し表現する力,

 関数関係に着目し,その特徴を表,式,グラフを相互に関連付けて考察する力,

 標本と母集団の関係に着目し,母集団の傾向を推定し判断したり,調査の方法や結果を批判的に考察したりする力

 を養う。

 
 

[第1学年]

 数学的活動の楽しさや数学のよさに気付いて粘り強く考え,数学を生活や学習に生かそうとする態度,

 問題解決の過程を振り返って検討しようとする態度,

 多面的に捉え考えようとする態度

 を養う。

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[第2学年]

 数学的活動の楽しさや数学のよさを実感して粘り強く考え,数学を生活や学習に生かそうとする態度,

 問題解決の過程を振り返って評価・改善しようとする態度,

 多様な考えを認め,よりよく問題解決しようとする態度

 を養う。

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[第3学年]

 数学的活動の楽しさや数学のよさを実感して粘り強く考え,数学を生活や学習に生かそうとする態度,

 問題解決の過程を振り返って評価・改善しようとする態度,

 多様な考えを認め,よりよく問題解決しようとする態度

 を養う。

 
 
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