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 自然現象や社会現象などの考察においては,考察の対象とする事象の中にある対応関係や依存,因果などの関係に着目して,それらの諸関係を的確で簡潔な形で把握し表現することが有効である。

 中学校数学科においても,いろいろな事象の中に潜む関係や法則を数理的に捉え,数学的に考察し表現できるようにすることをねらいとする。

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 そのために,中学校数学科では,具体的な事象の中から二つの数量を取り出し,それらの変化や対応を調べることを通して,関数関係を見いだし考察し表現する力を3年間にわたって徐々に高めていくことが大切である。

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 中学校数学科の関数指導の意義については,次の二つの面が考えられる。

・ 身の回りの具体的な事象を考察したり理解したりするに当たって,事象の中にある二つの数量の依存関係に着目し,表,式,グラフを用いて考察することが有用であること。

・ 関数を用いて具体的な事象を捉え考察し表現することは,これまでの数学の学習の捉え直しやこれからの学習において重要な役割を果たすこと。

 
 

 中学校数学科では,小学校算数科における学習の上に立ち,数の範囲の拡張や文字を用いた式と関連付けて関数の概念を理解できるようにする。

 このことについて,中学校数学科においては,資質・能力として,主に次のア,イの育成を目指して指導が行われる。

 伴って変わる二つの数量の変化や対応を調べることを通して,比例,反比例,一次関数,関数 y=ax2 を文字を用いた式によって表し,グラフの特徴や変化の割合などの関数の性質を理解する。

 その際,関数に関連した基礎的な概念である座標や,変数と変域を理解できるようにする。

 関数の特徴を見いだす場合に,表,式,グラフが有効であることを理解するとともに,関数として捉えられる二つの数量の変化や対応の特徴を表,式,グラフによって適切に表現できるようにする。

 その際,表,式,グラフの数学的な表現としての特徴をそれぞれ踏まえながら,場面に応じて,適切な表現を選択できるようにすることも重要である。

 
 
 このことについて,中学校数学科においては,資質・能力として,主に次のア,イの育成を目指して指導が行われる。

 このことについては,次の二つが含まれる。第一は,表,式,グラフを用いて関数の特徴を考察し表現することである。

 具体的には,二つの数量の関係を表に表し,その表を基に変化の様子を調べ,対応のきまりを見いだし,それを式で表現する。

 また,式を基に表を作って変化の様子を調べたり,式から変化の割合を求めたりする。

 さらに,表や式を基にグラフをかき,変化の様子を調べる。このように,表,式,グラフを単独で用いるのではなく,相互に関連付けて関数の特徴を考察する力を伸ばすことが重要になる。

 表,式,グラフを用いた関数の考察の方法は,様々な関数の学習に共通するものである。

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 第二は,既習の数学の内容を関数として見直すことである。

 変わるものの中で変わらない性質を見抜き,それを他者に説明することによって,既習の数学の内容の理解や関数の理解が一層深まる。

 これは,主に日常生活や社会の事象などの具体的な場面に関数を活用することである。

 関数は,自然現象や社会現象を能率的に記述し考察するために生まれてきたものであり,表,式,グラフを用いて表現し明らかになった事柄を他者に説明することによって,その理解は一層深められる。

 このことを踏まえ,中学校数学科では,関数を用いて具体的な事象を捉え考察するとともに,その考察の過程や結果を表,式,グラフを用いて説明することができるようにする。

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 また,日常の事象や社会の事象に関数を活用する場合には,事象を理想化したり単純化したりして,事象にある関係を関数とみなして捉えること,すなわち,事象の中にある数量の関係を既習の関数とみなして処理し,導かれた結果を事象に即して判断し説明することが重要になる。

 その際,導かれた結果は仮定が妥当な範囲においてのみ適用できることに注意する必要がある。

 
 
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