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 小学校算数科では,児童の経験を基に,伴って変わる二つの数量の関係について学習している。

 その主な内容は次のとおりである。

ア 第4学年までに,伴って変わる二つの数量の関係を調べたり,変化の様子を折れ線グラフに表し,変化の特徴を読み取ったりすることや,身の回りから伴って変わる二つの数量を見いだし,数量の関係を表,式,グラフに表し調べること,ものの位置の表し方について学習している。

 また,伴って変わる二つの数量やそれらの関係に着目し,変化や対応の特徴を見いだして,二つの数量の関係を表や式を用いて考察する力が養われている。

イ 第5学年においては,簡単な場合について比例の関係があることを知ることを学習している。

 また,数量の関係を表す式についての理解を深めるとともに,二つの数量の対応や変わり方に着目し,簡単な式で表されている関係について考察する力が養われている。

ウ 第6学年においては,比例の関係の意味や性質について理解するとともに,伴って変わる二つの数量やそれらの関係に着目し,変化や対応の特徴を見いだして,二つの数量の関係を表や式,グラフを用いて考察する力が養われている。

 また,反比例についても学習している。

 以上の学習においては,伴って変わる二つの数量を見いだして,それらの関係に着目し,目的に応じて表,式,グラフを用いて,二つの数量の関係の変化や対応の特徴を考察することが重視されている。

 なお,今回の改訂において,小学校算数科では,領域の再編が図られた。

 この再編に伴い,第4〜6学年で指導される関数に関わる主な内容は,従来の「数量関係」の領域から新設の「C変化と関係」の領域において扱われることになった。

 
 

 中学校数学科では,
 具体的な事象を通して,
 関数関係を見いだし
 考察し表現すること

 を学習する。

 

 小学校算数科での学習との違いは,

 変域に負の数が含まれること,

 グラフを座標平面上にかくこと,

 文字を用いた式によって
 関数を表現し考察すること,

 学習の対象が
 一次関数や関数 y=ax2
 にまで拡張されることである。

 

 関数関係の意味については,
 中学校第1学年で扱われる。

 第1学年では,数量の変化や対応に着目して関数関係を見いだし,その特徴を表,式,グラフなどで考察する力を養う。

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 まず,「…は…の関数である」ことの意味を理解し,数量の関係の基本的なモデルとして小学校算数科で学習した比例,反比例を関数として捉え直す。

 そのために,一方の値が決まれば他方の値が一つ決まるという見方や,変数と変域,座標などの概念について学習する。

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 また,小学校算数科では,比例,反比例を考察するときの変域は,負でない数であったが,中学校数学科では,これを負の数を含む有理数まで拡張する。

 このことに伴い,小学校算数科において表,式,グラフのそれぞれで考察していた比例,反比例の特徴を,文字を用いた式 y=ax,y=a/x により定義し,式に基づき比例,反比例の性質を一般的に考察する。

 このように,中学校数学科では,関数関係の考察における文字を用いた式の有用性について理解する。

 なお,文字を用いて比例の関係を式で表すことについては,小学校算数科においても学習している。

 関数関係の表現や処理には,表,式,グラフが用いられる。

 表,式,グラフについては小学校算数科においてもある程度まで学習されているが,中学校数学科では,特に,表,式,グラフの関連に着目しながら,比例,反比例といった基本的な関数の特徴について理解を深める。

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 比例,反比例の活用については,比例,反比例を用いて具体的な事象を捉え説明する。

 そのために,具体的な事象を式で表現して,それらが比例,反比例であるかどうかを判断したり,具体的な事象を比例,反比例とみなすことによって問題を解決したりすることができるようにする。

 その際,判断の根拠や解法を他者に説明することができるようにする。

 第2学年においては,関数関係に着目し,その特徴を表,式,グラフを相互に関連付けて考察する力を養う。

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 この学年では,第1学年の比例の学習の発展として,一次関数を取り上げ,表,式,グラフを相互に関連付けながら,グラフの特徴や変化の割合など,関数の理解を深める。

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 一次関数の活用については,一次関数を用いて具体的な事象を捉え説明することが重要になる。

 そのために,具体的な事象を式で表現することによって,それが一次関数であると考えられるかどうかを判断したり,具体的な事象に関する観察や実験の結果を一次関数とみなすことによって,未知の状況を予測したりできるようにする。

 その際,判断の根拠や予測が可能である理由を他者に説明することができるようにする。

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 また,二元一次方程式 ax+by+c=0で,b≠0の場合は,変数x の値が一つ決まれば,y の値がただ一つ決まることから,二つの変数x とy の関数関係を表す式とみることができる。

 このような見方を通して,方程式と関数が統合的に理解できるように指導する。

 第3学年においても第2学年に引き続き,関数関係に着目し,その特徴を表,式,グラフを相互に関連付けて考察する力を養う。

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 この学年では,生徒が日常生活で経験する具体的な事象の中から,比例,反比例,一次関数以外の代表的なものとして,関数y=ax2 を取り扱う。

 その際,表,式,グラフを相互に関連付けながら,変化の割合やグラフの特徴など,関数の理解を一層深める。

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 関数 y=ax2 の活用については,関数 y=ax2 を用いて具体的な事象を捉え説明できるようにする。

 そのために,具体的な事象を式で表現することによって,それが関数 y=ax2 であると考えられるかどうかを判断したり,具体的な事象に関する観察や実験の結果を関数 y=ax2 とみなすことによって,未知の状況を予測したりすることが大切である。

 その際,判断の根拠や予測が可能である理由を他者に説明することができるようにする。

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 また,事象の中には既習の関数では捉えられない関数関係があることについて取り扱う。

 これらの学習を通して,一意対応としての関数の意味を明確にするとともに,後の学習の素地(そじ)となるようにする。

 
 
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