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中学校 学習指導要領 【解説】 |
数学編 |
第2章 数学科の目標及び内容 |
第2節 数学科の内容 |
2 各領域の内容の概観 |
D データの活用 |
(2) 指導内容の概観 |
小学校算数科における取扱い |
小学校算数科では,「データの活用」に関係する内容として,データを分類整理することや,表やグラフに表すこと,相対度数や確率の基になる割合を学習している。 また,それらを活用して,日常生活の具体的な事象を考察し,その特徴を捉えたり,問題解決したりすることに取り組んでいる。その主な内容は次のとおりである。 |
ア (小)第4学年まで |
ア 第4学年までに,目的に応じてデータを集めて分類整理し,表やグラフを用いて分かりやすく表すことや,棒グラフや折れ線グラフの読み方やかき方について学習している。 さらに,目的に応じてデータを収集し,データの特徴や傾向に着目して表やグラフに的確に表現し,それらを用いて問題解決したり,解決の過程や結果を多面的に捉え考察したりする力を養っている。 |
イ (小)第5学年 |
イ 第5学年では,測定値の平均や百分率について理解する。 また,統計的な問題解決の方法を知るとともに,目的に応じてデータを集めて分類整理し,円グラフや帯グラフを用いて表したり,特徴を調べたりしている。 さらに,第4学年と同様に,目的に応じてデータを収集し,データの特徴や傾向に着目して表やグラフに的確に表現し,それらを用いて問題解決したり,解決の過程や結果を多面的に捉え考察したりする力を養っている。 |
ウ (小)第6学年 |
ウ 第6学年では,データの平均値,中央値,最頻値などの代表値や度数分布を表す表やドットプロットなどのグラフ,具体的な事柄について,起こり得る場合を順序よく整理して調べることを学習している。 さらに,身の回りの事象から設定した問題について,目的に応じてデータを収集し,データの特徴や傾向に着目して適切な手法を選択して分析を行い,それらを用いて問題解決したり,解決の過程や結果を批判的に考察したりする力を養っている。 |
中学校 学習指導要領 【解説】 |
D データの活用 |
(2) 指導内容の概観 |
中学校数学科における取扱い |
中学校数学科では,小学校算数科における学習の上に立ち,確率と統計について次の内容を取り扱う。 |
ア (中)第1学年 |
第1学年では,データの分布に着目し,その傾向を読み取り批判的に考察して判断したり,不確定な事象の起こりやすさについて考察したりする力を養う。 具体的には,目的に応じてデータを収集し,コンピュータを用いるなどしてデータを表やグラフに整理し,データの分布の傾向を読み取り,批判的に考察できるようにする。 また,多数回の観察や試行に基づいて,不確定な事象の起こりやすさを表現できるようにする。 -------------------------------- この学年では,小学校算数科におけるデータの代表値や散らばりを調べ,統計的に考察したり表現したりする学習を受けて,ヒストグラムや相対度数などの必要性と意味を理解し,それらを用いてデータの傾向を捉え説明することを学習する。 ヒストグラムの学習は小学校算数科と同じ内容を繰り返し指導しているようにも見えるが,中学校数学科では,取り扱うデータの範囲が身近なものから社会一般的なものへ広がったり,扱うデータも大量になったりする。 また,そうしたデータを整理し処理するための統計的な手法について理解し,代表値の適切な用い方や階級の取り方によってヒストグラムの形が変わる場合があることなどについても学習し,批判的に考察できるようにする。 ここでは,統計的な手法を用いてデータの傾向を捉え説明することを重視し,ヒストグラムを作ったり相対度数や累積度数を求めたりすることだけが学習の目標にならないように配慮する。 -------------------------------- また,小学校算数科における割合などの学習を受けて,不確定な事象についての観察や実験などの活動を通して,多数の観察や多数回の試行によって得られる確率について理解する。 さらに,日常生活においては,ある程度多くの観察や実験を基に得られた結果の相対度数を用いて,不確定な事象を捉え説明する場合が多くあることを理解できるようにする。 データの収集方法については,改めて第3学年の標本調査において学習する。 -------------------------------- ヒストグラムや相対度数などを手作業で作成したり求めたりすることは,その必要性と意味を理解するために有効であるが,作業の効率化を図り,処理した結果を基にデータの傾向を読み取ることを中心とする学習においては,コンピュータなどを積極的に利用するようにする。 |
イ (中)第2学年 |
第2学年では,複数の集団のデータの分布に着目し,その傾向を比較して読み取り批判的に考察して判断したり,不確定な事象の起こりやすさについて考察したりする力を養う。 具体的には,目的に応じてデータを収集し,コンピュータを用いるなどして,データを整理したり,四分位範囲や箱ひげ図を用いてデータの分布を比較したりすることを通して,データの分布の傾向を読み取り,批判的に考察できるようにする。 また,同様に確からしいことに着目して,場合の数を基にして得られる確率を用いて,不確定な事象の起こりやすさを捉え考察し表現できるようにする。 -------------------------------- この学年では,第1学年でのヒストグラムや相対度数などを用いてデータの傾向を捉え説明する学習を受けて,四分位範囲や箱ひげ図を用いてデータの分布を比較する方法を学習し,データの傾向を読み取り,批判的に考察し判断することができるようにする。 指導に当たっては,四分位範囲や箱ひげ図を活用するだけではなく,必要に応じてこれまでに学習した代表値やヒストグラムなども活用して多面的に考察することも大切である。 -------------------------------- また,確率の学習においても第1学年での多数の観察や多数回の試行によって得られる確率などの学習を受けて,同様に確からしいことに着目することで,場合の数を基にして得られる確率を求めることができることを学習し,これら二つの確率の必要性や意味,それらの関係について理解する。 -------------------------------- また,箱ひげ図を作成したり,四分位範囲を求めたりすることや確率を求めることだけが学習の目標にならないようにし,不確定な事象を捉え説明したり,目的に応じて判断したりすることを重視する。 |
ウ (中)第3学年 |
第3学年では,標本と母集団の関係に着目し,母集団の傾向を推定し判断したり,調査の方法や結果を批判的に考察したりする力を養う。 具体的には,コンピュータを用いるなどして,母集団から標本を取り出し,標本の傾向を調べることで,母集団の傾向が読み取れることを理解できるようにし,実際に行った標本調査だけでなく,既に行われている標本調査の方法や結果についても批判的に考察し表現できるようにする。 -------------------------------- この学年では,標本調査の必要性と意味を理解し,簡単な場合について標本調査を行い,母集団の傾向を捉え説明する。 標本調査に伴う誤りの可能性を定量的に評価することまで取り扱う必要はなく,母集団からその一部を取り出して整理し処理することで,全体の傾向を推定できることや,標本の大きさを大きくすることで標本調査の結果の散らばりが小さくなることを経験的に理解できるようにすることが大切である。 その際には,ヒストグラムや箱ひげ図などのこれまでの学習で身に付けた知識や技能を活用することが考えられる。 また,標本を無作為に抽出することと関連して,第2学年までの学習内容を振り返ることで,確率の必要性と意味を学び直すことができる。 -------------------------------- 母集団から標本を抽出する際に必要な乱数を簡単に数多く求めることが必要な場合には,コンピュータなどを積極的に利用する。 また,インターネットなどの情報通信ネットワークを利用してデータを収集したり,様々な標本調査について調べたりすることも考えられる。 その際には,データの収集方法やそのまとめ方などについて,批判的に考察した上で,目的に応じて,それらの結果に基づいて判断することも大切である。 |
※指導事項における,前回の学習指導要領との相違点 |
第1学年においては,これまで取り扱っていた度数分布表の階級や中央値,最頻値といった代表値を小学校算数科で取り扱うこととし,第2学年の内容であった確率を多数の観察や多数回の試行によって得られる確率と場合の数を基にして得られる確率とに分けて,多数の観察や多数回の試行によって得られる確率をこの学年で取り扱うこととした。 また,内容の取扱いの中で述べられていた,誤差や近似値の意味,数をa×10n の形で表すことについては,第3学年の「A数と式」の(1)などに関連して取り扱うこととした。 -------------------------------- 第2学年においては,四分位範囲や箱ひげ図を取り扱うこととし,確率については場合の数を基にして得られる確率を中心に取り扱うこととした。 |
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