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 小学校算数科においても,数学的活動を通して指導することを重視している。

 中学校数学科ではこうした経験を基にして,生徒が数学的活動に主体的に取り組むことを一層重視していく。

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 数学的活動には,数学的な問題発見・解決の過程に位置付く「日常の事象や社会の事象」及び「数学の事象」を対象とした問題解決の活動がある。

 これらは,数学外の世界と数学を結び付け,数学を生かして考察したり,数や図形の性質などを見いだし,発展させたりする上で重要である。

 また,これらの活動がより洗練されたものに高められたり,そこで見いだされた問題意識や検討の成果を共有したりするためには,数学的な表現を用いて説明し伝え合う活動が必要不可欠である。

 したがって,数学的な表現を用いて説明し伝え合う活動は,上述の二つの活動と一体のものとして扱われる必要がある。

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 このような考えに基づいて,以下に示す@からBの活動を中学校数学科における数学的活動の典型例として内容に位置付け,各学年とも,これらに取り組む機会を設けるものとした。

 したがって,各学年の内容の指導に当たって,以下に示す@からBの活動のうち行われないものがないようにすることが必要である。

 〔数学的活動〕に取り組む際には,全体としての流れを大切にするとともに,単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で,どの活動に重点を置いて指導するのかを計画することも重要である。

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 なお,〔数学的活動〕の内容が第1学年と第2,3学年で異なるのは,生徒の発達の段階や学習の状況,各学年で指導する四つの領域の内容との関係を考慮し,その高まりや広がりを表したものである。

 
 

 日常生活や社会における事象を,数量や図形及びそれらの関係などに着目し,理想化したり単純化したりして数学の舞台にのせ,数学の世界で処理して,その結果の意味を日常生活や社会において解釈し,問題を解決する活動である。

 日常生活や社会のできごとを自ら数学と結び付けて考察したり処理したりする活動を通して,数学を利用することの意義を実感し,数学のよさを感得できる機会が生まれる。

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 なお,第1学年においては,「日常の事象」において数学を利用することを重視するとともに,第2,3学年においては,数学を利用する範囲を「社会の事象」にまで広げている。

 
 

 数学の事象から問題を見いだし,それを解決する活動は,発展的,創造的な活動である。

 見いだされる問題としては,概念,性質,定理など数学的な事実,アルゴリズムや手続きなど多様であり,帰納や類推,演繹(えき)などの数学的な推論もより適切さを増し洗練されていく。

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 なお,第1学年においては,数量や図形及びそれらの関係などに着目し,観察や操作,実験などを通して,問題を見いだす活動を重視するとともに,第2,3学年においては,数学の事象から問題を見いだし解決する際,「見通しをもつ」ことまでを視野に入れ,質的な高まりを期待している。

 
 

 言葉や数,式,図,表,グラフなどを適切に用いて,数量や図形などに関する事実や手続き,思考の過程や判断の根拠などを的確に表現したり,考えたことや工夫したことなどを数学的な表現を用いて伝え合い共有したり,見いだしたことや思考の過程,判断の根拠などを数学的に説明したりする活動である。

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 なお,第1学年においては,自分が納得し,相手に分かりやすく「筋道立てて説明し伝え合う」ことに重点を置き,第2,3学年においては,根拠を明らかにし「論理的に説明し伝え合う」ところまでを視野に入れ,質的な高まりを期待している。

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 また,多くの場合,Bの活動は,指導の過程において,前述した@,Aの活動と相互に関連し一体の活動として行われる。

 
 
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