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(2) 不確定な事象の起こりやすさについて,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

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ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 多数の観察や多数回の試行によって得られる確率の必要性と意味を理解すること。

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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 多数の観察や多数回の試行の結果を基にして,不確定な事象の起こりやすさの傾向を読み取り表現すること。

 小学校算数科では,第6学年で,具体的な事柄について起こり得る場合を順序よく整理して,落ちや重なりなく調べることを学習している。

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 中学校第1学年において,(1)では,相対度数は,全体(総度数)に対する部分(各階級の度数)の割合を示す値で,各階級の頻度とみなされることを学習する。

 ここでは,これまで確定した事象を表すのに用いられてきた数が,不確定な事象の起こりやすさの程度を表すためにも用いられることを知り,不確定な事象の起こりやすさの傾向を読み取り表現することができるようにする。

 
 

 数学の授業では,確定した事象を取り扱うことが多い。

 しかし実際には,日常生活や社会における不確定な事象も数学の考察の対象となり,その起こりやすさの程度を数値で表現し把握するために確率が必要になる。

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 ペットボトルのふたを投げる場合,表向き(ふたがかぶさる向き),裏向き,横向きのどれが出るかを予言することはできない。

 しかし,多数回の試行の結果を,それぞれの向きについて整理してみると,ある向きの出る相対度数には,ある安定した値をとるという傾向が見られる。

 例えば,あるペットボトルのふたを投げ,表向きが出る回数を調べる場合を考える。

 ふたを投げる回数n を大きくし,表向きが出る回数r を求めて,表向きの出る相対度数 r/n の値を計算してみる。

 n を次第に大きくしていくと,それに伴ってr も大きくなるが,r/n の値は次第にある値に近づいていく。

 この r/n が近づいていく一定の値を,ペットボトルのふたを投げて表向きが出る確率という。

 指導に当たっては,実際に多数回の試行をするなどの経験を通して,ある事柄の起こる相対度数が,一定の値に近づくことを実感を伴って理解できるようにする。

 
 

 日常生活や社会においては,偶然に左右される不確定な事象は数多くある。

 多数の観察や多数回の試行の結果を基にすることにより,不確定な事象の起こりやすさの傾向を読み取ることができる。

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 多数の観察や多数回の試行の結果を基に不確定な事象について考察する際には,相対度数を確率とみなして用いることが考えられる。

 例えば,あるボウリング場で,貸出し用の靴を全て買い替えることについて考える。

 「各サイズでどれくらいの数の靴を購入すればよいのだろうか」等の問題を見いだし,各サイズで貸し出した靴の状況は毎年ほぼ同じ傾向が見られることから,過去1年で貸し出した靴の回数のデータを基に靴を買い替える場合,各サイズの相対度数を求め,各サイズの購入足数を決定する際の参考にすることが考えられる。

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 ここで,過去1年のデータにおける相対度数は確率であるとはいえないが,過去のデータから起こりやすさの傾向を予測するために,相対度数を確率とみなしていることになる。

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 不確定な事象の起こりやすさの傾向を読み取り表現することを通して,「必ず〜になる」とは言い切れない事柄についても,数を用いて考察したり判断したりすることができることを知り,数学と日常生活や社会との関係を実感できるようにする。

 
 
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