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(2) 連立二元一次方程式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

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ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 二元一次方程式とその解の意味を理解すること。

(イ) 連立二元一次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解すること。

(ウ) 簡単な連立二元一次方程式を解くこと。

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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 一元一次方程式と関連付けて,連立二元一次方程式を解く方法を考察し表現すること。

(イ) 連立二元一次方程式を具体的な場面で活用すること。

 第1学年では,一元一次方程式について,その中の文字や解の意味を理解し,その解き方を考察することや具体的な場面で活用することについて学習している。

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 第2学年では,これらの学習の上に立って,二元一次方程式とその解の意味や二元一次方程式を連立させることの必要性と意味及び連立二元一次方程式の解の意味を理解し,解を求めることができるようにする。

 さらに,連立二元一次方程式を具体的な場面で活用することができるようにする。

 
 

 二元一次方程式の学習では,二元一次方程式を成り立たせる二つの文字x,y の値の組が,二元一次方程式の解であることを理解できるようにする。

 方程式の解の意味は,第1学年で学習した一元一次方程式と本質的に変わっていない。

 二元一次方程式の中の二つの文字はいずれも変数であり,これらの二つの文字に,その変域内の数値を代入して等式が成り立つとき,その値の組が二元一次方程式の解である。

 例えば,2x+y=7の解については,変数x,y の変域が自然数全体の集合であれば,その解は有限個であり,(1,5),(2,3),(3,1)である。

 また,変域が整数全体であれば解は無数にある。

 つまり,二元一次方程式の解は一つとは限らず,一元一次方程式の解が一つであったこととは異なる。

 このように,既習の一元一次方程式と対比させながら,二元一次方程式の解の意味を理解できるようにする。

 
 

 二元一次方程式を連立させることは,二元一次方程式によって二つの条件を表現することであり,連立させた方程式を解くことは,二つの方程式を同時に満たす値の組を求めることである。

 連立二元一次方程式とその解の意味を理解できるようにするためには,変域を仮に自然数の集合にして,連立させた二つの二元一次方程式のそれぞれの解を表などに整理し,二つの条件をともに満たす値の組を解として見いだす活動を設定することが考えられる。

 このようにして解を見いだすことは能率がよいとはいえないが,解の意味を理解する上では重要である。

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 なお,連立二元一次方程式の解の意味については,一次関数と二元一次方程式のグラフとを関連付けることによって一層理解を深めることができる。

 
 

 連立二元一次方程式を解くには,既に知っている一元一次方程式に帰着させて,二つの文字のうち一方の文字を消去すればよいことに気付き,加減法や代入法による解き方について考察し表現することができるようにする。

 この際,方程式を解くことについて,第1学年で学習した一元一次方程式と関連付け,学び直しの機会を設けることにも配慮する。

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 このように一元一次方程式に帰着させて連立二元一次方程式について考察することは,新たな問題解決において,その方法を既に知っている方法に帰着させるという考え方に基づいている。

 連立二元一次方程式が解けるようになることとともに,こうした考え方に生徒自らが気付くように工夫し,加減法や代入法による解き方を理解できるようにする。

 なお,連立二元一次方程式を解くことについては,具体的な問題の解決に必要な程度の方程式が解けるようにし,それを活用できるようにする。

 
 

 一元一次方程式を活用する場合には,事象の中の数量の関係を式に表現するとき,一つの変数しか用いることができなかった。

 しかし,具体的な場面においては,一つの変数よりは二つの変数を用いた方が式に表しやすい場合が多いため,連立二元一次方程式を活用することにより,問題解決が容易になることが多い。

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 連立二元一次方程式を活用するに当たっては,一元一次方程式の活用と同様,方程式を活用して問題を解決するための知識を身に付けるとともに,解決過程を振り返り,得られた結果を意味付けたり活用したりしようとする態度を養うことが大切である。

 特に立式の段階においては,数量の関係を捉えて,例えば,個数の関係,代金の関係,長さの関係,時間の関係,重さの関係など,ある特定の量に着目して式をつくるようにしたり,捉えた数量を表や線分図などで表してその関係を明らかにしたりすることも有効である。

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 また,方程式を用いて,具体的な問題を解決するに当たっては,着目する数量によって様々な方程式が立てられることや,変数の数と方程式の数が一致していることが方程式の解が一通りに定まるために必要であることなどに気付き,一元一次方程式や連立二元一次方程式を見通しをもって的確に活用することができるようにする。

 
 
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