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4 生徒の数学的活動への取組を促し思考力,判断力,表現力等の育成を図るため,各領域の内容を総合したり日常の事象や他教科等での学習に関連付けたりするなどして見いだした問題を解決する学習を課題学習と言い,この実施に当たっては各学年で指導計画に適切に位置付けるものとする。

 課題学習については,今回の学習指導要領においても,そのねらいを踏まえ,生徒の実態等に応じて各学年の指導計画に適切に位置付けることとした。

 
 

 課題学習のねらいは,「A数と式」,「B図形」,「C関数」及び「Dデータの活用」の各領域の内容を総合したり日常の事象や他教科等での学習に関連付けたりするなどして見いだした問題を生徒が主体的に解決していくことを通して,数学的な見方・考え方を更に確かで豊かなものにしていくことである。

 このため,課題学習においては生徒の数学的活動への取組を促し,その楽しさを実感するとともに,思考力,判断力,表現力等を高めることが大切である。

 これらが重要であることは,通常の授業においても同様であるが,通常の授業では,主に領域ごとに指導が行われるため,取り上げる問題はその領域の内容を中心としたものが多い。

 このため,生徒は問題解決の場面で,直前に学習した内容をそのまま適用すれば解決できるだろうという見通しを立て,実行する傾向がある。

 それに対して課題学習では,上記のような問題を取り上げるため,それまでに学習した内容のうち,どれをどのように用いればよいか見通しがつきにくく,これまでの学習の振り返りを基に,生徒の思考力,判断力,表現力等が発揮されやすくなる。

 これまでの学習の積み重ねを基に構想を立て,実践し評価・改善する一連の過程を経験することは,生徒の思考力,判断力,表現力等を高め,問題解決能力を一層伸ばす上で大いに効果的であるとともに,数学のよさをより深く理解する機会となる。

 
 

 課題学習は,「実施に当たっては各学年で指導計画に適切に位置付けるものとする」とされている。

 実施に当たり,通常の授業では知識を一方的に教え込み,課題学習では主体的な学習を促すということでは,これまで述べてきたような課題学習の指導の実現は難しい。

 通常の授業においても生徒の「主体的・対話的で深い学び」として問題解決的な学習を定着,充実させていくことが求められており,課題学習では一層その実現を図る必要がある。

 つまり,問題解決的な学習と課題学習とは,互いに独立した学習ではない。

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 指導計画においては,通常の授業における各領域の内容に関する問題解決的な学習を継続し,各領域で学習した内容を総合したり日常の事象や他教科等での学習に関連付けたりするなどして見いだした問題を解決する学習として課題学習を位置付け,各領域の学習が一層深まりをもつように配慮することが大切である。

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 このような課題学習の指導は,教師にとって数学的活動の本質の理解を促し,教材研究や指導法の改善,カリキュラム・マネジメントの必要性を理解する上でよい機会になるとともに,他教科や異校種の教師,学校外の人材との連携を生かす機会になり得る。教師自身が課題学習の位置付けに一層主体的に取り組んでいくことが求められる。

 
 
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