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 物質やエネルギーに関する事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

 第1分野の目標は,教科の目標を受けて示しているものであり,第1分野の特質に即して,ねらいをより具体的に述べている。

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 第1分野の目標(1)は,教科の目標の「自然の事物・現象についての理解を深め,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする」を受けて,物質やエネルギーに関する観察,実験などを行い,それらの事物・現象について理解するとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるというねらいを示している。

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 目標(2)は,教科の目標の「観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う」を受けて,小学校で身に付けた問題を見いだす力や根拠のある予想や仮説を発想する力などを発展させ,物質やエネルギーに関する事物・現象について規則性を見いだしたり,課題を解決したりする方法を身に付け,思考力,判断力,表現力等を養うというねらいを示している。

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 目標(3)は,教科の目標の「自然の事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養う」を受けて,物質やエネルギーに関する事物・現象に進んで関わり,自然を科学的に探究する活動を行い,科学的に探究しようとする態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにするというねらいを示している。

 
 

(1) 物質やエネルギーに関する事物・現象についての観察,実験などを行い,身近な物理現象,電流とその利用,運動とエネルギー,身の回りの物質,化学変化と原子・分子,化学変化とイオンなどについて理解するとともに,科学技術の発展と人間生活との関わりについて認識を深めるようにする。

 また,それらを科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。

 この目標は,第1分野の学習の対象が,物質やエネルギーに関する事物・現象であることを示すとともに,物質やエネルギーに関する観察,実験などを行い,それらの事物・現象について理解するとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けることがねらいであることを示している。

 ここでは,「身近な物理現象」,「電流とその利用」,「運動とエネルギー」,「身の回りの物質」,「化学変化と原子・分子」,「化学変化とイオン」など,「エネルギー」や「粒子」についての科学の基本的な概念等を柱として内容を構成している。

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 「エネルギー」を柱とする領域では,エネルギーに関する事物・現象についての観察,実験などを行うことを通して,それらの事物・現象に対する基本的な知識を身に付けるとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けることがねらいである。

 ここでは,小学校での学習につなげて,力や運動,エネルギー,電流などの事物・現象に関して内容の系統性を重視し,科学的に探究する活動を通して,科学的な知識や基本的な概念が獲得されるようにしている。

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 「粒子」を柱とする領域では,物質に関する事物・現象についての観察,実験などを行うことを通して,それらの事物・現象に対する基本的な知識を身に付けるとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けることがねらいである。

 ここでは,小学校での学習につなげて,身の回りの物質,化学変化などの事物・現象に関して内容の系統性を重視し,目に見える物質の性質や反応を目に見えない原子,分子,イオンの概念を用いて統一的に考察させ,科学的に探究する活動を通して,科学的な知識や基本的な概念が獲得されるようにしている。

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 さらに,物質やエネルギーに関する事物・現象を調べる活動を行い,科学技術の発展が人間生活を豊かで便利にしていることや,エネルギー問題や環境問題などの様々な問題を解決するために科学技術が重要であることに気付かせ,科学技術の発展と人間生活とが密接に関わりをもっていることの認識を深めさせる。

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 なお,これらの学習に当たっては,規則性や原理などが日常生活や社会で活用されていることにも触れ,私たちの生活において極めて重要な役割を果たしていることに気付かせるようにすることが大切である。

 
 

(2) 物質やエネルギーに関する事物・現象に関わり,それらの中に問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し表現するなど,科学的に探究する活動を通して,規則性を見いだしたり課題を解決したりする力を養う。

 この目標は,物質やエネルギーに関する事物・現象に対して関わり,科学的に探究する活動を通して,規則性を見いだしたり課題を解決したりする力を養うことがねらいであることを示している。

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 第1分野の特徴は,観察,実験が比較的行いやすく,分析的な手法によって規則性を見いだしやすいことである。

 実際の指導に当たっては,生徒自身が問題を見いだし,自ら進んで探究する活動を行い,分析して解釈することを通して,規則性を見いだしたり,課題を解決したりするように方向付けることが大切である。

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 自然の事物・現象を科学的に探究する活動では,図1(9ページ)で示している学習過程の例などが考えられるが,これらは決して固定的なものではなく,問題の内容や性質,あるいは生徒の発達の段階に応じて,ある部分を重点的に扱ったり,適宜省略したりするといった工夫が必要である。

 その際,小学校で身に付けた問題を見いだす力や根拠のある予想や仮説を発想する力などを更に高めながら,観察,実験の結果を分析して解釈するなどの資質・能力の育成を図るようにする。

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 こうした第1分野の特徴も踏まえて,自然の事物・現象の規則性や関係性を見いだすことなど,思考力,判断力,表現力等を育成することが重要である。

 その際,表やグラフの作成,モデルの活用,コンピュータなどICTの活用,レポートの作成や発表を行うことなどが大切である。

 
 

(3) 物質やエネルギーに関する事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにする。

 この目標は,物質やエネルギーに関する事物・現象について進んで関わり,観察,実験などを行い,科学的に探究しようとする態度を養うとともに,日常生活や社会との関わりについて認識して,自然を総合的に見ることができるようにすることがねらいであることを示している。

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 物質やエネルギーに関する事物・現象について,生徒が進んで関わり,それらの事物・現象に対する気付きから問題を見いだして解決しようとする態度や,それらの事物・現象の理解が深まることによって新たな問題を見いだそうとする態度など,科学的に探究しようとする態度を養うことが大切である。

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 その際,理科の学習で得た知識及び技能を活用して,物質やエネルギーに関する自然の事物・現象を総合的に見たり考えたりしようとする態度を身に付けさせることが重要である。

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 このような学習を通して,自然と人間が調和した持続可能な社会をつくっていくために,科学的な根拠に基づいて意思決定ができるよう指導することが大切である。

 
 
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