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 具体的な課題等を設定し,コミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じて,情報を整理しながら考えなどを形成し,これらを論理的に表現することを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

 中学校の外国語科において
 身に付けるべき資質・能力として,
 ここでは
 「思考力,判断力,表現力等」
 の内容を示している。

 「情報を整理しながら
  考えなどを形成し,
  英語で表現したり,
  伝え合ったりすること
  に関する事項」として,

 後述する

 「英語を聞いたり読んだりして
  必要な情報や考えなどを捉えること」,

 「英語を聞いたり読んだりして
  得られた情報や表現を,
  選択したり抽出したりするなどして
  活用し,
  話したり書いたりして
  事実や自分の考え,気持ちなどを
  表現すること」及び

 「伝える内容を整理し,
  英語で話したり書いたりして
  互いに
  事実や自分の考え,気持ちなどを
  伝え合うこと」

 の3点に整理している。

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 中央教育審議会答申では,「認識から思考へ」という過程の中で働く理解するための力や,「思考から表現へ」という過程の中で働く表現するための力がどこで重点的に働いているのかを踏まえて示すことが求められている。

 外国語科における「思考力,判断力,表現力等」を身に付けるためには,本解説第2章第1節(2)でも述べたとおり,外国語によるコミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じて,情報を捉え,それを整理したり吟味したりしながら思考を深めることで,自らの考えを形成したり深化させたり,さらに表現を選択したりして「論理的に表現」することを重視する。

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 「具体的な課題等」の解決に向け,実際に英語を用いた言語活動の中で思考・判断・表現することを繰り返すことを通じて知識及び技能が習得され,学習内容の理解が深まり,学習に対する意欲が高まるなど,三つの資質・能力が相互に関係し合いながら育成される必要がある。

 
 

ア 日常的な話題や社会的な話題について,英語を聞いたり読んだりして必要な情報や考えなどを捉えること。

 この指導事項では,主に英語使用の受容面に焦点を当てており,日頃身の回りで起こっていることや,各種メディア媒体から得られる社会情報などについて,英語で聞いたり読んだりした際に,その内容を的確に理解できる能力の育成について述べている。

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 「日常的な話題」や「社会的な話題」とは,本解説第2章第1節(2)でも示したとおり,それぞれ生徒の日々の生活に関わる話題,社会で起こっている出来事や問題に関わる話題のことであり,イ及びウにおいても同様である。

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 「必要な情報や考えなどを捉えること」とは,目的や場面,状況などに応じて何を聞き取らなければならないか,あるいは読み取らなければならないのかを判断し,聞いたり読んだりして理解した情報を整理したり,吟味したり,既にもっている知識と照らし合わせて関連付けたりして,必要な情報や考えなどを理解することを意味している。

 そのため,聞いたり読んだりすることの全てを必ずしも一字一句理解しなければいけないわけではないことに留意する必要がある。

 実際の指導に当たっては,コミュニケーションの目的や場面,状況などを考えた上で,指導する内容の焦点化を図り,指導方法を工夫することが求められている。

 
 

イ 日常的な話題や社会的な話題について,英語を聞いたり読んだりして得られた情報や表現を,選択したり抽出したりするなどして活用し,話したり書いたりして事実や自分の考え,気持ちなどを表現すること。

 この指導事項では,アにおける聞いたり読んだりする受容面での英語使用を受け,それを話したり書いたりする発信面での活動へと結び付けていき,五つの領域が密接に結び付いた英語使用ができるような力を育成する必要があることを述べている。

 すなわち,統合的な言語使用の中で,聞いたり読んだりして得られた情報や表現を整理・吟味し,話したり書いたりするために活用することが重要である。

 聞いたり読んだりして得た情報のうち,どの情報を取り上げるのか,またどの表現が話したり書いたりする上で活用できるかについて考えさせることが重要であることを示している。

 
 

ウ 日常的な話題や社会的な話題について,伝える内容を整理し,英語で話したり書いたりして互いに事実や自分の考え,気持ちなどを伝え合うこと。

 この指導事項では,コミュニケーションの本義に則して,伝える内容をしっかりと考え,それを伝え合うことのできる能力の重要性について述べている。

 伝える内容が複雑になれば,考えを練り,それを整理して,相手に分かりやすい形で伝えられるよう配慮できる力を育むことが大切である。

 「伝え合う」という表現の中には,イと異なり,自分のもつ情報や考えをただ一方的に伝えるのではなく,相手が話したり書いたりした内容にも十分に注意を傾けながらやり取りをし,お互いの理解を深められるようにしていくことが重要であるという意味が含まれている。

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 「伝える内容を整理」するとは,必ずしもいつも十分な準備をした上で言語活動をすべきということを意味しているわけではない。

 メモ書きなどの補助を利用しつつ,即興で話したり書いたりする活動を行い,その過程で相手からフィードバックを受けたり,同じタスクを相手や役割を変えながら複数回繰り返しながら学びを深めていくことも重要である。

 書く際にも,推敲を重ねる中で,徐々に伝える内容を整理していくことも重要な学習過程である。

 そのため,実際の指導の際には,最初から流暢かつ正確な英語使用を求め過ぎない配慮が必要である。

 
 
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