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(1) 指導計画の作成に当たっては,小学校や高等学校における指導との接続に留意しながら,次の事項に配慮するものとする。

  指導計画の作成に当たっては,小・中・高等学校を通じた領域別の目標の設定という観点を踏まえ,小学校や高等学校における指導との接続に留意した上で,以下の事項に配慮することとしている。

 
 

ア 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。

 その際,具体的な課題等を設定し,生徒が外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせながら,コミュニケーションの目的や場面,状況などを意識して活動を行い,英語の音声や語彙,表現,文法の知識を五つの領域における実際のコミュニケーションにおいて活用する学習の充実を図ること。

 この事項は,外国語科の指導計画の作成に当たり,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を目指した授業改善を進めることとし,外国語科の特質に応じて,効果的な学習が展開できるように配慮すべき内容を示したものである。

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 外国語科の指導に当たっては,(1)「知識及び技能」が習得されること,(2)「思考力,判断力,表現力等」を育成すること,(3)「学びに向かう力,人間性等」を涵(かん)養することが偏りなく実現されるよう,単元など内容や時間のまとまりを見通しながら,主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うことが重要である。

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 生徒に外国語科の指導を通して「知識及び技能」や「思考力,判断力,表現力等」の育成を目指す授業改善を行うことはこれまでも多くの実践が重ねられてきている。

 そのような着実に取り組まれてきた実践を否定し,全く異なる指導方法を導入しなければならないと捉えるのではなく,生徒や学校の実態,指導の内容に応じ,「主体的な学び」,「対話的な学び」,「深い学び」の視点から授業改善を図ることが重要である。

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 主体的・対話的で深い学びは,必ずしも1単位時間の授業の中で全てが実現されるものではない。

 単元など内容や時間のまとまりの中で,
 例えば,

 主体的に学習に取り組めるよう
 学習の見通しを立てたり
 学習したことを振り返ったりして
 自身の学びや変容を自覚できる場面
 をどこに設定するか,

 対話によって
 自分の考えなどを
 広げたり深めたりする場面
 をどこに設定するか,

 学びの深まりをつくりだすために,
 生徒が考える場面と
 教師が教える場面を
 どのように組み立てるか,

 といった視点で
 授業改善を進めることが求められる。

 

 また,生徒や学校の実態に応じ,多様な学習活動を組み合わせて授業を組み立てていくことが重要であり,単元のまとまりを見通した学習を行うに当たり基礎となる知識及び技能の習得に課題が見られる場合には,それを身に付けるために,生徒の主体性を引き出すなどの工夫を重ね,確実な習得を図ることが必要である。

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 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を進めるに当たり,特に「深い学び」の視点に関して,各教科等の学びの深まりの鍵となるのが「見方・考え方」である。各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方である「見方・考え方」を,習得・活用・探究という学びの過程の中で働かせることを通じて,より質の高い深い学びにつなげることが重要である。

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 「その際」以下のことについては,主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善が,全く新たな学習活動を取り入れる趣旨ではなく,外国語科においてこれまでも行われてきた学習活動の質を向上させることを主眼とするものであることに留意しなければならない。

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 「聞くこと」では,聞く目的や場面,状況などを意識した活動とすることが大切であり,聞いたことに対して何らかの形で応じたり考えを表現したりするといったように,自然なコミュニケーションを意識した活動を考えることが必要である。

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 「話すこと」に関しては,「やり取り」と「発表」という焦点が異なる領域に分けて提示されていることに注意が必要である。

 これまでの英語の授業では,とかく「発表」形式の活動が強調されがちであったが,そういった中でここに「やり取り」という領域が追加された意義は大きい。

 それに鑑み,英語の授業でも,いかに豊かなやり取りを通して言葉の学習を促し,それを発表できるだけの力へと育てていけるかを模索していかなければならない。

 やり取りから発表へ,また時には発表からやり取りへと交互に繰り返す柔軟な指導計画の立案が求められる。

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 やり取りの際には,最初から流暢かつ正確な言葉遣いで応答ができることを求めるべきではない。

 実際の指導の際には,いつも十分な準備をしてから発表するといった一定の型にこだわり過ぎずに,即興的なやり取りの機会を十分に確保していくことが望まれる。

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 「読むこと」や「書くこと」も,それが意味の伝達を重視している限りは,双方向の交流があるコミュニケーション活動であると言える。

 日常生活で人が経験している「読む・書く」という活動は,その意味でほぼ全てコミュニケーションとなっている。

 授業においても,未知語の意味や発音を指導したり,文構造や文法事項を説明したりすることに過度に時間を取られるのではなく,そこで伝えられる意味内容に留意し,生き生きとした言語活動を展開することが必要である。

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 「書くこと」の活動に際しては,ほかの領域と同様に,何のために書くのかという目的や,誰に対して書くのかという読み手意識がもてるように,活動の提示方法,流れ,目標などを十分に考えて行うことが必要である。

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 これら「聞くこと」,「話すこと[やり取り]」,「話すこと[発表]」,「読むこと」及び「書くこと」という五つの領域にわたる活動を,できるだけ有機的に関連させながら指導計画を考えることが重要である。

 
 

イ 学年ごとの目標を適切に定め,3学年間を通じて外国語科の目標の実現を図るようにすること。

 この配慮事項は,3学年間を通じて外国語科の目標の実現を図るため,各学校における生徒の発達の段階と実情を踏まえ,学年ごとの目標を適切に定めることの必要性を述べたものである。

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 今回の改訂では,外国語科の目標について,育成を目指す資質・能力を明確にした上で,各学校段階の学びを持続させるとともに,「外国語を使って何ができるようになるか」という観点から改善・充実を図っており,小・中・高等学校で一貫した目標を実現するため,そこに至る段階を示すものとして五つの領域別の目標を設定している。

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 学年ごとの目標を,学習指導要領を踏まえて各学校が設定する「学習到達目標」として生徒に求められる英語力を達成するための具体的な形で設定する取組は,既に各学校で行われているが,上記のとおり,今回の改訂で領域別の目標が明確に示されたことにより,その目標と関連付けられた学習到達目標とする必要がある。

 このように学習指導要領が示す目標に基づいて各学校が学習到達目標を定めることには,次のような効果があると考えられる。

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・ 生徒にどのような英語力が身に付くか,英語を用いて何ができるようになるのか,あらかじめ明らかにすることができ,そうした情報を生徒や保護者と共有することで授業のねらいが明確になるとともに,生徒への適切な指導を行うことができる。

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・ 「知識及び技能」の習得にとどまらず,それを活用してコミュニケーションが図れるよう,五つの領域にわたる総合的な資質・能力の育成を重視することが期待される。

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・ 校内でも教師によって指導方法が大きく異なることがある中で,教師間で指導に当たっての共通理解を図り,均質的な指導を行うことができる。

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・ 面接・スピーチ・エッセイ等のパフォーマンス評価などにより,「言語を用いて何ができるか」という観点から評価がなされることが期待され,更なる指導と評価の一体化とその改善につなげることができる。

 
 

ウ 実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合うなどの言語活動を行う際は,2の(1)に示す言語材料について理解したり練習したりするための指導を必要に応じて行うこと。

 また,小学校第3学年から第6学年までに扱った簡単な語句や基本的な表現などの学習内容を繰り返し指導し定着を図ること。

 この配慮事項は,今回の改訂で小学校第3学年から外国語活動,第5学年から外国語科が導入されたことを受け,前段では改訂前に「実際に言語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合うなどの活動を行うとともに(中略)言語材料について理解したり練習したりする活動を行う」と示されていたものを変更するとともに,後段を新しく示したものである。

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 言語活動は,「実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合うなど」の活動を基本とする。

 小学校の中学年の外国語活動で実践されている「自分のことや身の回りの物について,動作を交えながら,好みや要求などの自分の考えや気持ちなどを伝え合う活動」や高学年の外国語科で実践されている「日常生活に関する身近で簡単な事柄について,自分の考えや気持ちなどを伝えたり,簡単な質問をしたり質問に答えたりして伝え合う活動」などを踏まえて行うことが大切である。

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 中学校第1学年においては,特に,小学校における外国語活動や外国語科の内容,指導等の実態や生徒の興味・関心等を十分に踏まえるとともに,生徒が在籍していた小学校において,どのような時間割編成,指導体制によって授業が行われているかを把握することにより,中学校への円滑な接続を図ることが必要である。

 その上で,2(1)に示す言語材料について「理解したり練習したりするための指導」を必要に応じて行うことができるように指導計画を作成することが大切である。

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 また,言語材料について理解したり練習したりすることが目的となって,単に繰り返し活動を行うのではなく,生徒が言語活動の目的や言語の使用場面を意識して行うことができるように留意しなければならない。

 小学校段階で「聞くこと」,「話すこと」に加えて「読むこと」,「書くこと」を通して学んだ簡単な語句や基本的な表現などの学習内容については,言語活動において具体的な課題等を設定するなどして,意味のある文脈の中でのコミュニケーションを通して繰り返し活用し定着を図ることができるように指導を行うことが求められている。

 その際,ICT等を活用した効果的な言語活動の工夫や,生徒が自らの学習活動を振り返って次につながる「主体的な学び」ができるようにすることも重要となる。

 
 

エ 生徒が英語に触れる機会を充実するとともに,授業を実際のコミュニケーションの場面とするため,授業は英語で行うことを基本とする。

 その際,生徒の理解の程度に応じた英語を用いるようにすること。

 この配慮事項は,生徒が授業の中で「英語に触れる機会」を最大限に確保することと,授業全体を英語を使った「実際のコミュニケーションの場面」とすることとをねらいとしている。

 「授業は英語で行うことを基本とする」とは,生徒が日常生活において英語に触れる機会が非常に限られていることを踏まえ,英語による言語活動を行うことを授業の中心に据えることを意味する。

 さらに,教師が授業中に積極的に英語を使用することが,生徒の英語使用を促すことにつながり,生徒とのやり取りが豊富になる。

 言語活動においては,ウでも述べた「実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合うなど」のコミュニケーションが中心となることから,生徒が積極的に英語を使って取り組めるよう,まず教師自身がコミュニケーションの手段として英語を使う姿勢と態度を行動で示していくことが肝心である。

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 「生徒の理解の程度に応じた英語を用いるようにする」については,教師が生徒の理解度に注意を払うことなく,ただ英語を使って授業を行えばよいということではない。

 教師の英語使用に当たっては,挨拶や指示を英語で伝える教室英語を使用するだけでなく,説明や発問,課題の提示などを生徒の分かる英語で話し掛けることが必要である。

 また,発話の速度や明瞭さを調整するとともに,使う語句や文などをより平易なもので言い直したり,繰り返したり具体的な例を提示したりするなどの工夫をする必要がある。

 さらに,既習の言語材料を用いながら教科書の内容を説明したり生徒とのやり取りを行ったりすることで,教師の使用する英語は生徒にとって効果的なインプットとなる。

 「生徒の理解の程度に応じた英語を用いる」とは,このような教師の英語使用の工夫が求められることを示している。

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 特に,英語でコミュニケーションを図ることに対する苦手意識が強い生徒に対する配慮が必要な場合は,そういった生徒に英語の使用を促す際,例えば「書くこと」の指導であれば,簡単な語句や文を用いて段階的に文章を書く練習を取り入れる,日頃から自分の考えや気持ちを表現する活動を繰り返し行う,短い文でもメールで要点を伝えるなど,実際のコミュニケーションの場面の中で相手に伝える活動を行うといったことを通して,生徒の意欲を高めながら書く機会を増やす工夫をすることなどが考えられる。

 このような配慮も含め,「授業は英語で行うことを基本とする」のポイントは,前述のとおり「英語に触れる機会」と「実際のコミュニケーションの場面」であり,そうした趣旨の授業展開であれば,必要に応じて補助的に日本語を用いることも考えられる。

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 今回の改訂で「授業は英語で行うことを基本とする」という規定を導入したことには,もしこれまで日本語での文法説明や本文の和訳などに偏った授業を行っていたならば,そうした授業の在り方自体を見直し,必要な意味内容をいかに英語で伝えることができるかを考えて授業を工夫改善していかなければならないという意味が込められている。

 授業を英語で行うには,英語を使って生徒とやり取りするなどのコミュニケーションを図ることが求められる。

 生徒が「実際のコミュニケーションの場面」で「実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合うなど」の言語活動を行うということは,教師と生徒の間でも英語によるコミュニケーションが当然に行われる,ということである。

 その意味で,「授業は英語で行う」とは,指導言語を単に日本語から英語に変えることで済むものと誤解してはならない。

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 平成21年改訂の高等学校学習指導要領で「授業は英語で行うことを基本とする」という規定が導入され,高等学校における指導改善が図られているが,今回の改訂で中学校でも同様の規定を盛り込むのは,小学校の外国語活動における教師や児童の豊富な英語使用の実態や,それを経験した児童の英語が使えるようになりたいという学習意欲の高さを中学校での学びに生かすためにも,このような環境づくりが重要だからである。

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 英語を母語としない教師は,日常的に英語を使用する人とは異なる英語を使うことをためらう傾向が見られることがある。

 しかし,生徒はいつもそういった人の話す英語に触れるのではなく,教師が話す英語に触れることも重要なことである。

 現代世界において様々な国や地域で使用されている英語の広まりを考えたとき,異なる英語に触れる機会をもつことは重要である。

 とりわけ,生徒が自分の英語に対して自信をもって堂々と使っていけるようになるためには,授業で触れる教師の英語使用に対する態度と行動が大きな影響力をもつ。

 だからこそ,「授業を実際のコミュニケーションの場面とする」ことを主眼として,教師の積極的な英語使用が求められるのである。

 
 

オ 言語活動で扱う題材は,生徒の興味・関心に合ったものとし,国語科や理科,音楽科など,他の教科等で学習したことを活用したり,学校行事で扱う内容と関連付けたりするなどの工夫をすること。

 この配慮事項は,言語活動の題材を取り上げるに当たっては,生徒の発達の段階や知的好奇心を踏まえ,言語活動への積極的参加を促せるものとできるよう工夫する必要があることを述べたものである。

 自分の考えや気持ちなど,実際に相手に伝えたい内容についてコミュニケーションすることにより,主体的に英語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養うことが大切である。

 そのためにも,題材には,他教科等でこれまで学んできた,あるいは現在学んでいることを積極的に活用するなど,カリキュラム・マネジメントの視点から,教科等間で学びのつながりや広がりがあるものとなるよう工夫が求められる。

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 例えば国語科との連携については,「相手の反応を踏まえながら,自分の考えが分かりやすく伝わるように表現を工夫すること」や「話題や展開を捉えながら話し合い,互いの発言を結び付けて考えをまとめること」といったことを国語科で学習し,外国語科でのスピーチやグループでの話し合い,読んだことを基にした意見交換などの活動に生かすことが考えられる。

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 理科であれば,例えば外国語科で太陽光発電に関わる題材を扱う際,理科の「エネルギーとエネルギー資源」で学んだことを背景知識として生かすことができる。

 また,音楽科との連携については,「我が国や郷土の伝統音楽及び諸外国の様々な音楽の特徴と,その特徴から生まれる音楽の多様性」について鑑賞を通して学んだことを生かすなどが考えられる。

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 さらに,学校行事との関連付けを工夫することも,教室内で学ぶことと教室外で行うこととの接点を生み,学習の意味付けと意義付けに貢献するものである。

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 なお,国語科との関連については,
 言語能力の向上の観点からの
 カリキュラム・マネジメントを
 実現できるよう,

 「提案や主張など
  自分の考えを話したり,
  それらを聞いて質問したり
  評価などを述べたりする活動」や

 「互いの考えを生かしながら
  議論や討論をする活動」,

 「詩歌や小説などを読み,
  批評したり,
  考えたことなどを伝え合ったりする
  活動」

 といった国語科での言語活動を
 想起させ,
 外国語科でのスピーチや意見交換
 などの活動に生かすなど,
 同じ種類の言語活動を通して指導する
 ことも考えられる。

 
 

カ 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。

 障害者の権利に関する条約に掲げられたインクルーシブ教育システムの構築を目指し,生徒の自立と社会参加を一層推進していくためには,通常の学級,通級による指導,特別支援学級,特別支援学校において,生徒の十分な学びを確保し,一人一人の生徒の障害の状態や発達の段階に応じた指導や支援を一層充実させていく必要がある。

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 通常の学級においても,発達障害を含む障害のある生徒が在籍している可能性があることを前提に,全ての教科等において,一人一人の教育的ニーズに応じたきめ細かな指導や支援ができるよう,障害種別の指導の工夫のみならず,各教科等の学びの過程において考えられる困難さに対する指導の工夫の意図,手立てを明確にすることが重要である。

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 これを踏まえ,今回の改訂では,障害のある生徒などの指導に当たっては,個々の生徒によって,見えにくさ,聞こえにくさ,道具の操作の困難さ,移動上の制約,健康面や安全面での制約,発音のしにくさ,心理的な不安定,人間関係形成の困難さ,読み書きや計算等の困難さ,注意の集中を持続することが苦手であることなど,学習活動を行う場合に生じる困難さが異なることに留意し,個々の生徒の困難さに応じた指導内容や指導方法を工夫することを,各教科等において示している。

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 その際,外国語科の目標や内容の趣旨,学習活動のねらいを踏まえ,学習内容の変更や学習活動の代替を安易に行うことがないよう留意するとともに,生徒の学習負担や心理面にも配慮する必要がある。

 例えば,外国語科における配慮として,次のようなものが考えられる。

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・英語の語には,発音と綴りの関係に必ずしも規則性があるとは限らないものが多く,明確な規則にこだわって強い不安や抵抗感を抱いてしまう生徒の場合,語を書いたり発音したりすることをねらう活動では,その場で発音することを求めず,ねらいに沿って安心して取り組めるようにしたり,似た規則の語を選んで扱うことで,安心して発音できるようにしたりするなどの配慮をする。

 なお,学校においては,こうした点を踏まえ,個別の指導計画を作成し,必要な配慮を記載し,他教科等の担任と共有したり,翌年度の担任等に引き継いだりすることが必要である。
 
 

キ 指導計画の作成や授業の実施に当たっては,ネイティブ・スピーカーや英語が堪能な地域人材などの協力を得る等,指導体制の充実を図るとともに,指導方法の工夫を行うこと。

 この配慮事項は,指導体制の充実や指導方法の工夫として,年間指導計画や単元の指導計画を作成したり,授業を実施したりするに当たり,生徒が生きた外国語に触れる機会を一層充実するため,教員やALT等として,積極的に「ネイティブ・スピーカーや英語が堪能な地域人材などの協力を得る」ことを示したものである。

 生徒がネイティブ・スピーカーや英語が堪能な地域人材などとのコミュニケーションを通して,標準的な英語音声に接し,正確な発音を習得したり,英語で情報や自分の考えを述べたりするとともに,相手の発話を聞いて理解するための機会が日常的に確保されることが重要である。

 そうした人材としては,ALTのほかに,地域に住む外国人,外国からの訪問者や留学生,外国生活の経験者,海外の事情に詳しい人など幅広い人々が考えられ,これらの人々の協力を得ることが,「生徒が英語に触れる機会を充実」し,「授業を実際のコミュニケーションの場面とする」ことに資する。

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 また,「社会に開かれた教育課程」の理念の下,生徒の学習の質の向上を図るためには,学校,家庭,地域社会が連携し,それぞれが本来もつ教育機能を発揮することにより,3者が連携・協働して生徒たちを育んでいくことの必要性も述べている。

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 そのためには,各学校においては,今後一層,家庭や地域の人々と教育活動の方向性を共有化し,具体的な役割や責任を明確にしていくことが大切となる。

 また,教育委員会としても,校区を越えて地域人材を確保し,各学校において効果的に活用が図れるよう体制整備を進めるなど,学校を支援するシステム構築に努める必要がある。

 
 
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