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中学校 学習指導要領 【解説】 |
道徳編 |
第2章 道徳教育の目標 |
第2節 道徳科の目標 |
3 自己を見つめ,物事を広い視野から多面的・多角的に考え,人間としての生き方についての考えを深める |
道徳科において,後に示されている道徳的な判断力,心情,実践意欲と態度を育てるため,ここでは,学習を進めていく上で留意すべき諸側面を明示している。 すなわち,道徳科の学習を進めるに当たっては,その特質を踏まえて,自己を見つめ,物事を広い視野から多面的・多角的に考え,人間としての生き方について考えを深める学習に意を用いる必要がある。 ただし,こうした諸側面は,道徳科における一連の学習過程として形式的・固定的に捉えられるべきものではない。 要は,道徳的価値や人間としての生き方についての自覚を深め,道徳的実践につなげていくことができるようにその学習内容や方法を構想していくことが求められる。 |
中学校 学習指導要領 【解説】 |
3 自己を見つめ,物事を広い視野から多面的・多角的に考え,人間としての生き方についての考えを深める |
(1)自己を見つめる |
道徳性の発達の出発点は,自分自身である。 中学生の頃から,様々な葛藤や経験の中で,自分を見つめ,自分の生き方を模索するようになる。 感情や衝動の赴くままに行動し,自分の弱さに自己嫌悪を感じることもあるであろうし,逆に,理想や本来の自分の姿を追い求め,大きく前進しようとすることもある。 中学生は,そのような大きく,激しい心の揺れを経験しながら,自己を確立していく大切な時期にある。 -------------------------------- 中学校段階では,小学校において育成される道徳性の基礎を踏まえ,よりよく生きる上で大切なものは何か,自分はどのように生きるべきかなどについて,時には悩み,葛藤しつつ,生徒自身が,自己を見つめることによって,徐々に自ら人間としての生き方を育んでいくことが可能となる。 したがって,様々な道徳的価値について,自分との関わりも含めて理解し,それに基づいて内省することが求められる。 その際には,真摯に自己と向き合い,自分との関わりで改めて道徳的価値を捉え,一個のかけがえのない人格としてその在り方や生き方など自己理解を深めていく必要がある。 また,自分自身が人間としてよりよく生きていく上で道徳的価値を自分なりに発展させていくことへの思いや課題に気付き,自己や社会の未来に夢や希望がもてるようにすることも大切である。 |
中学校 学習指導要領 【解説】 |
3 自己を見つめ,物事を広い視野から多面的・多角的に考え,人間としての生き方についての考えを深める |
(2)物事を広い視野から多面的・多角的に考える |
グローバル化が進展する中で,様々な文化や価値観を背景とする人々と相互に尊重し合いながら生きることや,科学技術の発達や社会・経済の変化の中で,人間の幸福と社会の発展の調和的な実現を図ることが一層重要な課題となる。 こうした課題に対応していくためには,人としての生き方や社会の在り方について,多様な価値観の存在を前提にして,他者と対話し協働しながら,物事を広い視野から多面的・多角的に考察することが求められる。 -------------------------------- この部分は, 小・中学校の段階を含めた 「主として自分自身に関すること」, 多面的・多角的に考察する学習 とりわけ,諸事象の背景にある道徳的諸価値の多面性に着目させ,それを手掛かりにして考察させて,様々な角度から総合的に考察することの大切さや,いかに生きるかについて主体的に考えることの大切さに気付かせることが肝要である。 それは,物事の本質を考え,そこに内在する道徳的諸価値を見極めようとする力にも通じるものである。 |
中学校 学習指導要領 【解説】 |
3 自己を見つめ,物事を広い視野から多面的・多角的に考え,人間としての生き方についての考えを深める |
(3)人間としての生き方についての考えを深める |
中学生の時期は,人生に関わるいろいろな問題についての関心が高くなり,人生の意味をどこに求め,いかによりよく生きるかという人間としての生き方を主体的に模索し始める時期である。 人間にとって最大の関心は,人生の意味をどこに求め,いかによりよく生きるかということにあり,道徳はこのことに直接関わるものである。 -------------------------------- そもそも人生は,誰かに任せることができるものではない。 誰かの人生ではなく一人一人が自分自身の人生として引き受けなければならない。 他者や社会,周囲の世界の中でその影響を受けつつ,自分を深く見つめ,在るべき自分の姿を描きながら生きていかなければならない。 その意味で,人間は,自らの生きる意味や自己の存在価値に関わることについては,全人格をかけて取り組むのである。 -------------------------------- また,人間としての生き方についての自覚は,人間とは何かということについての探求とともに深められるものである。 生き方についての探求は,人間とは何かという問いから始まると言ってもよい。 人間についての深い理解なしに,生き方についての深い自覚が生まれるはずはないのである。 言い換えれば,人間についての深い理解と,これを鏡として行為の主体としての自己を深く見つめることとの接点に,生き方についての深い自覚が生まれていく。 そのことが,主体的な判断に基づく適切な行為の選択や,よりよく生きていこうとする道徳的実践へつながっていくこととなる。 -------------------------------- このような視点に立って,生徒が人間としての生き方について考えを深められるように様々な指導方法の工夫をしていく必要がある。 |
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