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 自律の精神を重んじ,自主的に考え,判断し,誠実に実行してその結果に責任をもつこと。

(小学校)

[善悪の判断,自律,自由と責任]

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〔第1学年及び第2学年〕

 よいことと悪いこととの区別をし,よいと思うことを進んで行うこと。

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〔第3学年及び第4学年〕

 正しいと判断したことは,自信をもって行うこと。

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〔第5学年及び第6学年〕

 自由を大切にし,自律的に判断し,責任のある行動をすること。

(小学校)

[正直,誠実]

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〔第1学年及び第2学年〕

 うそをついたりごまかしをしたりしないで,素直に伸び伸びと生活すること。

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〔第3学年及び第4学年〕

 過ちは素直に改め,正直に明るい心で生活すること。

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〔第5学年及び第6学年〕

 誠実に,明るい心で生活すること。

 
 

 「自律の精神を重んじ」るとは,他からの制御や命令を待つことなく,自分の内に自ら規律を作り,それに従って行動しようとする気持ちを大切にすることである。

 「自主的に考え,判断」するとは,他人の保護や干渉にとらわれずに,善悪に関わる物事などについて幾つかの選択肢の中から自分で最終的に決めることである。

 自律は,自分の内部に自ら規律を作ることに焦点があり,自主は,外部に対し自分の力で決定することに焦点がある。

 したがって,自主と自律は一体的に考えられることが多いのである。

 「誠実に実行」するとは,すがすがしい明るい心で,私利私欲を交えずに真心を込めて具体的な行為として行うことである。

 誠実は,自己を確立するための主徳であると言われ,Aの視点の内容項目だけでなく,他の視点の多くの内容項目にも関わる価値である。

 「その結果に責任をもつ」とは,ある行為により生じた自分が負うべき義務を良心的に忠実に果たすことである。

 責任とは,ある人の行為がある事態に対して原因となっているとされる場合,生じた結果に対して応答し,対処することである。

 したがって,行為者にその行為をする自由があることを前提としている。

 自由とは自らに由よることであり,自らの意志や判断で行動することである。

 自由な意志や判断に基づいた行動には責任が求められる。

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 自ら考え,判断し,実行し,自己の行為の結果に責任をもつことが道徳の基本である。

 したがって,深く考えずに多数派に付和雷同したり,責任を他人に転嫁したりするのではなく,自らの規範意識を高め,自らを律することができなければならない。

 どのような小さな行為でも,自分で考え,自分の意志で決定したものであるとの自覚に至れば,人間はその行為に対して責任をもつようになる。

 そこに,道徳的自覚に支えられた自律的な生き方が生まれ,自らの責任によって生きる自信が育ち,一個の人間としての誇りがもてるようになるのである。

 
 

 小学校の段階では,特に高学年で自由と自分勝手との違いや,自由な考えや行動のもつ意味及びその大切さを実感できるように指導している。

 また,誠実については,自分自身に対してだけでなく,外に向けても誠実さを発揮するように指導している。

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 中学校の段階では,入学して間もない時期には,周囲を気にして他人の言動に左右されてしまうことも少なくない。

 学年が上がるにつれて,自我に目覚め,自主的に考え,行動することができるようになる。

 自由を求める傾向が強くなり,社会通念としての規範や今までの自分の価値観を捉え直そうとする時期でもある。

 しかし,一方では,自由の意味を履き違えて,社会の規範を顧みない生活を送ったり,また,自分自身の行為が自分や他者にどのような結果をもたらすかということを深く考えないまま,無責任な言動をとったりすることもある。

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 指導に当たっては,小学校における指導内容を更に発展させ,より高次の自立心や自律性を高め,規律ある生活をしようとする心を育てることが必要である。

 中学校ではまず,自己の気高さに気付かせ,何が正しく,何が誤りであるかを自ら判断して望ましい行動をとれるようにすることが大切である。

 日常のどのような小さな行為においても,自ら考え,判断し,自分の自由な意志に基づいて決定し,それに対して責任をもたなければならないことを実感させる必要がある。

 そうした経験を通し,失敗も含めて自己の責任において結果を受け止めることができるようになる。

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 さらに,悪を悪としてはっきり捉え,それを毅(き)然として退け善を行おうとする良心の大切さに気付くようにしなければならない。

 良心に基づくよい行為とは,自分にとっても他者にとってもよい行為である。

 この意味で,善悪判断の基準となる多面的なものの見方や考え方を身に付けることの重要性に気付き,自分の行為の動機の純粋さにとどまらず,その行為が及ぼす結果についても深く考えられるようにすることが必要である。

 自由を放縦と誤解してはならず,自らを律し,自分や社会に対して常に誠実でなければならないことを自覚し,人間としての誇りをもった,責任ある行動がとれるように指導することが大切である。

 
 
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