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中学校 学習指導要領 【解説】 |
道徳編 |
第3章 道徳科の内容 |
第2節 内容項目の指導の観点 |
A 主として自分自身に関すること |
5 真理の探究,創造 |
中学校 学習指導要領 【本文】 |
真実を大切にし,真理を探究して新しいものを生み出そうと努めること。 |
(小学校) [真理の探究] -------------------------------- 〔第5学年及び第6学年〕 真理を大切にし,物事を探究しようとする心をもつこと。 |
中学校 学習指導要領 【解説】 |
5 真理の探究,創造 |
(1) 内容項目の概要 |
人間としての生き方を求め,自己の人生を切り拓(ひら)いていくためには,物事の真の意味を知ることが求められる。 「真実」とは,うそや偽りのない本当の姿のことである。真実は,人間としての生き方について考えるときにも用いられる。 「真理」とは,全ての人が認める普遍的で妥当性のある法則や事実,正しい在り方などのことである。 ここでは,偏った狭い独善的な見方や考え方にとらわれることなく,うそや偽りのない本当の姿を大切にし,いかなる力をもってしても否定できない普遍的な真理を探究することが求められる。 とかく人は,思い込みが強く偏見や先入観にとらわれて,事物の真の姿に気付かずに過ごしている場合も少なくない。 しかし,歴史を見れば,人々が真実や真理を求め続ける努力が新たな発見や創造につながり,社会の進歩や発展を支えてきたことが分かる。 -------------------------------- 創造とは,新しいものを生み出そうとすることである。 模倣によってではなく,独自の考えに基づいて物事を創り出そうという強い気持ちがなければできない。 新しいものを生み出そうとするには,まず解の有無から模索しなければならないこともある。 また,解が複数あり得たり,一つの解への道筋が幾つもあり得たりと粘り強く考え続けることが求められる。 新しいものの創造は無から突然生まれるものではなく,好奇心を寄せ,疑問や分からないことにこだわり続け,物事の真の姿を探り見極めようと格闘し続ける探究の中で育まれてきた。 また,これまでにないものを思い浮かべる能力である想像力を働かせることも大切である。 時には開放的で,従来の思考の筋道から離れる柔軟性をもつことが求められる。 例えば,自分の得意な領域を定め,必ずやり遂げることができるという気持ちをもち続け,結果として創造的な仕事を成し遂げた先人たちも多く存在する。 -------------------------------- 今日の社会は,学術研究や科学技術の発展に支えられている。 新しいものを生み出すことは,容易にできることではない。 しかし,中学校生活の中で工夫することの大切さに気付かせることが,自由な発想を育み新しい考えや方法を生み出そうとすることにつながり,ひいては積極的に新しい分野を切り開いていこうという意欲を引き出すことになる。 この探究の精神は,よりよく生きたいと願う自分自身の未来を創るとともに,よりよい社会を創る原動力となる。 |
中学校 学習指導要領 【解説】 |
5 真理の探究,創造 |
(2) 指導の要点 |
小学校の段階では,高学年で,真理を求める態度を大切にし,物事の本質を見極めようとする知的な活動を通して興味や関心を刺激し,探究する意欲を喚起させる指導を行っている。 -------------------------------- 中学校の段階では,人間としての生き方や社会の仕組みなどについての関心が高まってきて,うそや偽りを憎み,真実を求め,真理を探究しようとする思いが一層強くなる。 また,入学して間もない時期には,新たな分野を学び始めることで,新しい知識や技能を獲得することへの好奇心や興味・関心・意欲も高まっている。 しかし,学年が上がるにつれて,学習の成果が出ないことで努力を諦めてしまったり,性急に結論を求める余り,一面的な見方になって「これしかない」と思い込んでしまったり,他の見方や意見を受け入れられなくなってしまったりすることがある。 また,流行やうわさ,メディアからの情報に敏感な余り,真実を確かめようとしないで簡単に信じてしまうこともある。 -------------------------------- 指導に当たっては,まず,生徒自身の学習体験を振り返りながら,分からないことを謙虚に受け止めて探究し続け,真理や真実を求めつつ,好奇心をもって意欲的に学び,工夫して新しいものを創造していこうとする積極的な態度を育てることが重要である。 一般的に,科学的な真実や真理は個々の具体的な自然現象や社会現象の背景にあるものであり,何もないところから突然生まれるものではない。 したがって,真実や真理の探究には,広い視野に立って多面的・多角的に見ようとする開かれた心や,結論を鵜呑(うの)みにせずに論理的・批判的に考える姿勢が必要であることに気付かせ,疑問や問いを探究し続けることが新たな見方や考え方の発見や創造につながり,自分の生涯を豊かにすることにつながることを自覚できるようにすることが必要である。 -------------------------------- さらに,真実や真理を探究して社会の発展や学問,科学技術に貢献した人々の生き方に学ぶとともに,それらの人々の探究心を支えたものについて考え,生徒が自らの生き方に生かすことができるよう工夫することが重要である。 また,高等学校段階への発展を踏まえて,葛藤や論争のある問題を道徳的な視点で取り上げ,よりよい解決を目指して協働で探究することを通して,生徒がアイディアを出し合って,よりよい見方や考え方を主体的・協働的に創っていく学習活動を実践し,創意工夫して新しい見方や考え方を生み出すことを生徒が身近なこととして体験できるようにすることが大切である。 |
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