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 礼儀の意義を理解し,時と場に応じた適切な言動をとること。

(小学校)

[礼儀]

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〔第1学年及び第2学年〕

 気持ちのよい挨拶,言葉遣い,動作などに心掛けて,明るく接すること。

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〔第3学年及び第4学年〕

 礼儀の大切さを知り,誰に対しても真心をもって接すること。

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〔第5学年及び第6学年〕

 時と場をわきまえて,礼儀正しく真心をもって接すること。

 
 

 「礼儀」は,他者に対するものであり,身に付けておくべき外に表す形であると考えられる。

 具体的には言葉遣い,態度や動作として表現される。

 社会生活の秩序を保つために守るべき行動様式であり,長い間に培われた慣習を表すものである。

 これは,人間関係や社会生活を円滑にするために創り出された優れた文化である。

 また,礼儀は,立ち居振る舞いが美しいかどうかという美的な問題として考えられてきた面もある。

 生徒は,物心がつく頃から,家族や地域の大人から挨拶を始め礼儀を教えられる。教えられ学ばれなければ,礼儀は存続していかないものである。

 さらに,礼儀は,慣習に支えられているため,文化が違えば同じではなく,合理的に説明することができないことも多いが,長い歴史を通じて培われ伝えられ,大切にされてきたものである。

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 礼儀の基本は,相手の人格を認め,相手に対して尊敬や感謝などの気持ちを具体的に示すことであり,心と形が一体となって初めてその価値が認められると考えられる。

 敬愛の気持ちを伝えるために,相互に認められる形が必要である。

 時と場に応じた適切な言動をとることで,自分と他者の間に認められてきたその社会固有のほどよい距離を保つことができるのである。

 礼儀にかなった言動が,互いを結び合わせるのであり,このことが礼儀が人間の生き方の基本にあると言われるゆえんである。

 形だけで心が伴っていないと批判され,形ができていたとしても人間尊重の精神がなければ礼は通じないとされる。

 この場合の礼という語は,他者を敬う態度や振る舞いであり,社会規範をも意味し,内面にある他者を愛する心が現れた礼節をわきまえた行為と考えられている。

 
 

 小学校の段階では,特に高学年で,習慣としている挨拶のよさや意義を自分なりに理解し,挨拶のタイミングを計りながら,時と場に応じ,自らの判断で実行できることが大切である。

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 小学校から中学校まで系統的な指導がなされる内容項目であるが,中学校の段階では,入学して間もない時期には,まだまだ受け身な姿勢から抜け出せず,自分から進んで礼儀にかなった行動ができない生徒も少なくない。

 学年が上がるにつれて,一般的な傾向として,従来のしきたりや形に反発する傾向が強くなったり,照れる気持ちやその場の状況に左右されることによって望ましい行動がとれなくなったりすることも見受けられる。誠実さの伴わない形だけの礼儀への拒否感が強くなる。

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 指導に当たっては,まず,教えられ無意識に習慣として実践してきた受け身の姿勢から,挨拶の意義などを主体的に考え理解し,例えば,時・場所・場面(TPO)に応じて,自ら挨拶をしてからお辞儀をするなど,適切な言葉や行動ができる自律した態度へ変わっていくことが求められる。

 日常生活において,時と場に応じた適切な言動を体験的に学習するとともに,形の根底に流れる礼儀の意義を深く理解できるようにすることが大切である。

 心情面を整えることによって,形として外に表すことができるようになることもある。

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 さらに,礼儀の形は時代や社会によって変わる相対的な面をもっている一方で,その精神は伝統として受け継がれるものもある。

 例えば我が国には伝統的な礼儀作法があるように,他国にもそれぞれの国に応じた礼儀作法がある。

 国際化の進展に伴い他国の人々に接する機会が多くなった今日,他国の礼儀についても理解を深め,他国の人々に気持ちよく接することができるように指導することが大切である。

 礼儀は,相手を人間として尊重する精神の現れであることを十分に理解させ,時と場に応じて主体的に適切な言動が行われることが求められている。

 
 
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