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 友情の尊さを理解して心から信頼できる友達をもち,互いに励まし合い,高め合うとともに,異性についての理解を深め,悩みや葛藤も経験しながら人間関係を深めていくこと。

(小学校)

[友情,信頼]

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〔第1学年及び第2学年〕

 友達と仲よくし,助け合うこと。

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〔第3学年及び第4学年〕

 友達と互いに理解し,信頼し,助け合うこと。

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〔第5学年及び第6学年〕

 友達と互いに信頼し,学び合って友情を深め,異性についても理解しながら,人間関係を築いていくこと。

 
 

 真の友情は,相互に変わらない信頼があって成り立つものであり,相手に対する敬愛の念がその根底にある。

 それは,相手の人間的な成長と幸せを願い,互いに励まし合い,高め合い,協力を惜しまないという平等で対等な関係である。

 友達を「信頼」するとは,相手を疑う余地がなく,いざという時に頼ることができると信じて,全面的に依頼しようとする気持ちをもつことであり,その友達の人間性に賭けることである。

 相手の人柄に親しみを感じ,敬愛する気持ちをもち続けることである。

 分かち合い,高め合い,心からの友情や友情の尊さについて理解を深め,自分を取り囲む友達との友情をより一層大切にする態度を育てることが大切である。

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 「異性についての理解を深め」とあるのは,互いに相手のよさを認め合うということである。

 相手に対する理解を深め,信頼と敬愛の念を育み,互いを向上させるような関係を築いていかなければならない。

 独立した一個の人格としてその尊厳を重んじ,人間としての成長と幸せを願うという点において,異性間における相互の在り方は基本的に同性間におけるものと変わるところがない。

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 人間の社会は,互いに協力することによって望ましい社会生活が営まれ豊かな文化が形成されるのである。

 そこに生じる友情は,人間として互いの特徴や個性を尊重し,互いに支え,競い合い,高め合うことによって,深まるのである。

 心から信頼できる友達を求め,友達への期待も強まる時期に,友達との関係に,時には悩み,友達であるからこそ意見がぶつかることもある。

 青年前期にある中学生は,心身の成長は目覚ましいが,不安定な時期でもある。

 感情の起伏が目立ち,ともするとささいなことから感情の行き違いが生じ,せっかくの友達関係が台無しになることもあるが,これらの悩みや葛藤を乗り越えることで,真の友情は培われていくものである。

 
 

 小学校の段階では,特に高学年で互いに信頼し学び合って友情を深め,異性への正しい理解とともによりよい友達関係を築くよさについて学習している。

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 中学校の段階では,体験や学習の質が高まる中で,互いに心を許し合える友達を真剣に求めるようになる。

 入学して間もない時期には,親や教師に多くのことをゆだねてきた児童期から,自立しようとする発達の段階にある。

 それゆえ,世代の違いによるものの見方や考え方,価値観の違いを強く意識するようになり,心の底から打ち明けて話せる友達を得たいと願う気持ちが高まってくる。

 しかし,学年が上がるにつれて,時には相手に無批判に同調し,自分が傷つくことを恐れる余り,最初から一定の距離をとった関係しかもたないなど複雑な思いにとらわれる場合も出てくる。

 また,性差がはっきりとしてくる中学生の時期には,異性への関心が強くなるとともに,意識的に異性を避けたり,興味本位の情報や間違った理解から様々な問題が生じたりすることもある。

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 指導に当たっては,まず,友情は互いの信頼を基盤とする人間として最も豊かな人間関係であること,互いの個性を認め,相手への尊敬と幸せを願う思いが大切であることを理解させたい。

 友達であるからこそ,悩みや葛藤を経験し,共にそれを乗り越えることで,生涯にわたり尊敬と信頼に支えられた友情を築くことができることへの自覚が重要である。

 友情は,人間にとってその人生を豊かにするかけがえのないものである。

 友情によって喜びは何倍にもなり,悲しみや苦しみは分かち合うことができる。

 人間として互いの人格を尊敬し高め合い,悩みや葛藤を克服することで,より一層深い友情を構築していこうとする意欲や態度を育んでいくことが肝要である。

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 さらに,自分から友情を築くための共通の課題について考えを深めたり,互いの正しい理解によってより豊かな人間関係が築かれることに気付いたりするための工夫が望まれる。

 そして,自ら友情を大切にし,育てようとする態度を育てることや,信頼を基盤として成り立つ友情が人間として生きる上で,いかに尊いものであるかを実感できるよう指導を工夫する必要がある。

 異性であっても,相手のものの見方や考え方を理解するなど,友情を築き,共に成長しようとする姿勢が求められる。

 各自の異性に対する姿勢を見直すきっかけとなるよう指導することも必要である。

 相手の内面的なよさに目を向け,相手の成長を心から願って互いに励まし合い,忠告し合える信頼関係のよさを味わわせたい。

 また,友情を培うために自分はどうあればよいか,友情とは何か,などについて発達の段階に応じて意見を交換し合うなど,発展的な指導を心掛けることも重要である。

 
 
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