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 法やきまりの意義を理解し,それらを進んで守るとともに,そのよりよい在り方について考え,自他の権利を大切にし,義務を果たして,規律ある安定した社会の実現に努めること。

(小学校)

[規則の尊重]

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〔第1学年及び第2学年〕

 約束やきまりを守り,みんなが使う物を大切にすること。

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〔第3学年及び第4学年〕

 約束や社会のきまりの意義を理解し,それらを守ること。

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〔第5学年及び第6学年〕

 法やきまりの意義を理解した上で進んでそれらを守り,自他の権利を大切にし,義務を果たすこと。

 
 

 社会があれば何らかのきまりがある。

 法(法律)は国会が定めるきまりであり,例えば,財産や家族などに関わる一般的なルールである民法,犯罪とそれに対する刑罰を定めた刑法などがある。

 人間が集まって社会が形成されると,「私」と「私」の利益がぶつかり合って集団のまとまりがなくなり,結局一人一人の願いが実現できないことがある。

 「法やきまり」は,この集団に秩序を与え,摩擦を最小限にするために,人間の知恵が生み出したものであることや,社会の秩序と規律を守ることによって,個人の自由が保障されるということを理解することは大切である。

 最も基本的な自由である身体の自由にしても,身体を維持するための衣食住にしても,それらを所有することを社会が承認していることによって支えられている。

 無法状態になれば,自由は保障されない。

 自分の欲望のままに生活することを制限するものとして法を捉え,仕方なく法に従うのは,進んで守るということではない。

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 遵法精神は,公徳心によって支えられている。

 公徳心とは,社会生活の中で守るべき正しい道としての公徳を大切にする心である。

 一人一人の日常生活の中で具体的に生かされることで,住みよい社会が実現できる。

 法やきまりについては,その遵守とともに,一人一人が当事者として関心をもつことが大切であり,適正な手続を経てこれらを変えることも含め,その在り方について考えることが必要である。

 また,他人の権利を尊重し,自分の権利を正しく主張するとは,互いの権利の主張が調和し両立できるようにすることである。

 自らに課せられた義務を果たすことが,結果として規律ある安定した社会の実現に貢献することになる。

 義務とは,ここでは人に課せられる法的拘束であり,自分の好き嫌いに関わりなくなすべきことである。

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 なお,国際的な関係においても法やきまりの遵守が求められており,「国際理解,国際貢献」にも通じるものである。

 
 

小学校の段階では,特に高学年で,法やきまりの意義や権利を大切にし,義務を果たすことの意義について学んできている。

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 中学校の段階でも,入学して間もない時期には,法やきまりに従えばそれでよいと考え,「ルールだから守る」と法やきまりを他律的に捉えている生徒が多い。

 学年が上がるにつれて,社会の中で生きているという自覚も深まり,法やきまりについてその意義を一層理解することができるようになる反面,法やきまりは自分たちを拘束するものとして反発したり,自分の権利は強く主張するものの,自分の果たさなければならない義務をなおざりにしたりする傾向も見られる。

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 指導に当たっては,まず,法やきまりは自分自身や他者の生活や権利を守るためにあり,それを遵守することの大切さについての自覚を促すことが求められる。

 自他の権利を大切にし,義務を果たすことで,互いの自由意志が尊重され,結果として規律ある安定した社会が実現することを理解した上で,社会の秩序と規律を自ら高めていこうとする意欲を育て,日々の実践に結び付ける指導が必要である。

 その際,法やきまりを守ることは,自分勝手で放縦な反発等に対してそれらを許さないという意思をもつことと表裏の関係にある。

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 さらに,
 法やきまりの他律的な捉え方を越えて,
 「尊重したいから守る」
 という自律的な捉え方
 ができるようになるため,

 遵法精神には,

 「自分を裏切らない」
 という自尊心と,

 目の前の相手の心情
 に思いを巡らせ,
 外見からはうかがい知れない
 人の心情
 を想像できる思いやりの心

 が関わっていること
 に気付かせる指導が求められる。

 また,
 高等学校段階への発展を踏まえて,

 自分たちを拘束すると感じる
 法やきまりが
 自分たちを守るだけではなく,
 自分たちの社会を
 安定的なものにしていること
 を考えさせ,
 よりよいものに変えていこうとするなど 積極的に法やきまりに関わろうとする
 意欲や態度
 を育てるとともに,

 権利と義務の関係について,
 例えば
 法的に強制力のない義務
 を果たすことが
 理性的な人間としての生き方
 につながること
 を考えさせるなど,
 公徳心に関わる道徳性
 を意識した指導の工夫
 が必要である。

 これらのことを踏まえて,
 自分たちが
 社会の構成員の一人であること
 の意識をもちながら,
 「私」を大切にする心と
 「公」を大切にする心の関係
 について
 考えを深めさせること
 が望まれる。

 
 
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