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 郷土の伝統と文化を大切にし,社会に尽くした先人や高齢者に尊敬の念を深め,地域社会の一員としての自覚をもって郷土を愛し,進んで郷土の発展に努めること。

(小学校)

[伝統と文化の尊重,国や郷土を愛する態度]

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〔第1学年及び第2学年〕

 我が国や郷土の文化と生活に親しみ,愛着をもつこと。

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〔第3学年及び第4学年〕

 我が国や郷土の伝統と文化を大切にし,国や郷土を愛する心をもつこと。

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〔第5学年及び第6学年〕

 我が国や郷土の伝統と文化を大切にし,先人の努力を知り,国や郷土を愛する心をもつこと。

 
 

 「郷土」とは,自分の生まれ育った土地ないし地理的環境のことである。

 また,郷土とは文化的な面を含んでおり,自らがその土地で育てられてきたことに伴う精神的なつながりがある場所を示している。

 「伝統」とは,長い歴史を通じて培い,伝えてきた信仰・風習・制度・思想・学問・芸術などのことであるとともに,特にそれらの中心をなす精神的な在り方のことである。

 「文化」とは,人間が自然に手を加えて形成してきた物心両面の成果を指し,衣食住をはじめ技術・学問・芸術・道徳・宗教・政治など生活形成の様式と内容を含んでいる。

 人々は一定の地域に住み,一定の歴史と文化をもち,公共の場所を共有し,相互の連帯意識によって結ばれてきた。

 地域社会には,そこに住む人々により長い間維持されてきた習慣などの独自の行動様式や文化型式が実践されている。

 地域社会の行事に参加し,地域の人々と様々な関係をもち共同することで,地域社会の成員としての公共性を身に付けることができる。

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 今日の我が国においては,都市化が進む一方で過疎化も進んでおり,そのために郷土に対する愛着や郷土意識が希薄になっている傾向が見られる。

 しかし,生徒にとって,地域社会は家庭や学校とともに大切な生活の場である。郷土によって育まれてきた伝統と文化に触れ,体験することを通して,そのよさに気付き,郷土に対する誇りや愛着をもつとともに,郷土に対して主体的に関わろうとする心や態度も育まれる。

 また,社会に尽くした先人や高齢者などの先達のおかげで,今のこの暮らしを営むことができているのだと認識することにより,尊敬の念や感謝の気持ちを深め,今後は,自分たちの力で,地域に住む人々とともに,地域社会をよりよいものに発展させていこうとする自覚をもつことが必要になってくる。

 
 

 小学校の段階では,特に高学年で,我が国や郷土の伝統と文化を大切にし,先人の努力を知り,国や郷土を愛する心をもつことを学んできている。

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 中学校の段階では,自我の確立を強く意識するあまり,ともすれば,自分が自分だけで存在していると考えがちである。

 このような傾向を考えるとき,自分だけで存在しているのではなく,家族や社会に尽くした先人や高齢者などの先達によって自分が支えられて生きていることを自覚し,それらの人々への尊敬と感謝の気持ちを深めることは極めて大切なことである。

 郷土や地域を愛し,積極的・主体的に関わり,郷土のために自分ができることは何かを考え,郷土の発展のために自分が寄与しようという意識を高めたい。

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 指導に当たっては,まず,地域の人々との人間関係を問い直したり,地域社会の実態を把握させたりして,郷土に対する認識を深め,郷土を愛しその発展に努めるよう指導していく必要がある。

 問題意識をもち,進んで郷土の発展に努めようとする実践意欲と態度を育てることが求められる。

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 しかしながら,多くの地域で,生徒たちは地域に住む人々との触れ合いや,共に協力して何かを成し遂げるという機会が少なくなってきている状況は否めない。

 そこでさらに,地域の方に郷土の伝統文化を尊重し郷土を愛する思いを語ってもらうことや,郷土について調べたことや地域の行事への参加体験等に基づいた話合いを通して,郷土に対する認識を深め,郷土を愛しその発展に努めるよう指導していく必要がある。

 また,地域社会に尽くし,自己の人生を大切にして生きてきた先人や高齢者などの先達への尊敬と感謝の気持ちを育むよう指導の工夫に努めることも大切である。

 
 
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