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 優れた伝統の継承と新しい文化の創造に貢献するとともに,日本人としての自覚をもって国を愛し,国家及び社会の形成者として,その発展に努めること。

(小学校)

[伝統と文化の尊重,国や郷土を愛する態度]

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〔第1学年及び第2学年〕

 我が国や郷土の文化と生活に親しみ,愛着をもつこと。

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〔第3学年及び第4学年〕

 我が国や郷土の伝統と文化を大切にし,国や郷土を愛する心をもつこと。

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〔第5学年及び第6学年〕

 我が国や郷土の伝統と文化を大切にし,先人の努力を知り,国や郷土を愛する心をもつこと。

 
 

 地域社会や郷土を前提としつつ,主権という観点を踏まえた歴史的,文化的な共同体として国家や国は存在する。

 そして前内容項目の地域社会に尽くした先人や高齢者などの先達に尊敬と感謝の念を深める心は,国家という視点で考えれば,優れた伝統の継承,新しい文化の創造,国を愛し,国家及び社会の形成者として,その発展に努める心につながっていく。

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 この内容項目は,学習指導要領第1章総則の第1の2の(2)に示された「個性豊かな文化の創造」や「主体性のある日本人の育成」と密接な関係にある。

 「伝統の継承」とは,我が国の長い歴史を通じて培われ,受け継がれてきた風俗,慣習,芸術などを大切にし,それらを次代に引き継いでいくことを意味する。

 「新しい文化の創造」とは,これまで培われた伝統や文化を踏まえ,更に発展させ,時には他の文化も取り入れながら個性豊かな新しい文化を生み出すことを意味する。

 そのためには,古いものを改めていくことも大切であるが,先人の残した有形無形の文化遺産の中に優れたものを見いだし,それを生み出した精神に学び,継承し発展させていくことが必要である。

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 また,国際社会と向き合うことが求められている我が国の一員としての自覚をもって生きていくには,鋭い国際感覚をもち広い視野に立ちながらも,自己がよって立つ基盤にしっかりと根を下ろしていることが必要である。

 「国を愛し」とは,歴史的・文化的な共同体としての我が国を愛し,国家及び社会の形成者として,その発展を願い,それに寄与しようとすることであり,そのような態度は心と一体として養われるものであるという趣旨である。

 我が国の伝統と文化に対する関心や理解を深め,それを尊重し,継承・発展させる態度を育成するとともに,それらを育んできた我が国への親しみや愛着の情を深め,そこにしっかりと根を下ろし,他国と日本との関わりについて考え,日本人としての自覚をもって,新しい文化の創造と社会の発展に貢献し得る能力や態度が養われる必要がある。

 国家の発展に努めることは,国民全体の幸福と国としてのよりよい在り方を願ってその増進に向けて努力することにほかならない。

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 なお,内容項目に規定している「国」や「国家」とは,政府や内閣などの統治機構を意味するものではなく,歴史的に形成されてきた国民,国土,伝統,文化などからなる,歴史的・文化的な共同体としての国を意味しているものである。

 
 

 小学校の段階では,特に高学年において,我が国や郷土の伝統と文化を大切にし,先人の努力を知り,国や郷土を愛する心をもつことについて学習してきている。

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 中学校の段階では,入学して間もない時期には,日本の国土や歴史に対する理解が深まり,伝統と文化に対しても一層関心をもつようになる。

 学年が上がるにつれて,我が国固有の優れた伝統と文化などの価値を継承し新たな文化を創造していこうとする態度,国を愛する心と国家の発展に寄与しようとする態度を育成することが大切となる。

 なお,
ここで言う「国を愛する心」とは,
教育基本法において,
教育の目標として,
「伝統と文化を尊重し,
 それらをはぐくんできた
 我が国や郷土を愛する」態度
(第2条第5号)を養う
と定めているのと同様の趣旨であり,
我が国や郷土を愛する「態度」と「心」は,
教育の過程を通じて,
一体として養われるものである。

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 指導に当たっては,まず,我が国の発展に尽くし優れた伝統と文化を育んできた先人たちの努力とその精神をたどり,そのよさを理解して継承するとともに,新たな文化を創造してその発展に寄与していく責務があることを自覚し,国家及び社会の形成者として,そのことに努めていこうとする意欲と態度を育てる必要がある。

 そのためには,人間が既にそうした伝統や文化の中に身を置いて生きており,また身をもってそれらを理解する働きを通して先人たちと対話し,新たな伝統や文化を形成してきたことを踏まえる必要がある。

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 さらに,次の内容項目の「国際理解,国際貢献」との関わりをも踏まえて,国際社会と向き合うことが求められている我が国の一員としての自覚に関する内容や,国際社会との関わりについて考えを深めることも求められる。

 グローバル化や情報通信技術などが進展すればするほど,日本人としての自覚をもつことが大切になってくる。

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 なお,その際,国を愛することは,偏狭で排他的な自国賛美ではなく,国際社会と向き合うことが求められている我が国の一員としての自覚と責任をもって,国際貢献に努めようとする態度につながっている点に留意する必要がある。

 そのためにも,国を愛することと,次の内容項目の「国際理解,国際貢献」とは切り離せない関係にあることに配慮した指導が大切である。

 
 
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