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 世界の中の日本人としての自覚をもち,他国を尊重し,国際的視野に立って,世界の平和と人類の発展に寄与すること。

(小学校)

[国際理解,国際親善]

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〔第1学年及び第2学年〕

 他国の人々や文化に親しむこと。

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〔第3学年及び第4学年〕

 他国の人々や文化に親しみ,関心をもつこと。

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〔第5学年及び第6学年〕

 他国の人々や文化について理解し,日本人としての自覚をもって国際親善に努めること。

 
 

 今日,グローバル化が進展する中で,様々な文化や価値観を背景とする人々と相互に尊重し合いながら生きることや,科学技術の発展や社会・経済の変化の中で,人間の幸福と社会の発展の調和的な実現を図ることが一層重要な課題となっている。

 私たちは,地球規模の相互依存関係の中で生きており,我が国が,国際的な関わりをもつことなく孤立して存在することはできない。

 今日私たちが抱える問題,例えば環境や資源,食料や健康,危機管理などは,どれも一地域や一国内にとどまる問題ではない。

 既に,日本人が自分たちだけの幸せを追い求めることに終始することは難しくなってきているのである。

 したがって,将来の我が国を担う中学生には,日本のことだけを考えるのでなく,国際的視野に立ち,すなわち,広く世界の諸情勢に目を向けつつ,日本人としての自覚をしっかりもって国際理解に努めることが必要である。

 「他国を尊重」するとは,他の地域や国々はそれぞれの文化や伝統,歴史をもっており,地域や国々の在り方,あるいはそうした地域や国々がもっている理想等を,違いは違いとして理解し,それを尊重していくことを意味している。

 そのことを踏まえつつ,平和は,全ての国々の万人の心の内で模索すべき道徳的課題の一つであるということを理解する必要がある。

 日常生活の中で社会連帯の自覚に基づき,あらゆる時と場所において協働の場を実現していく努力こそ,平和で民主的な国家及び社会を実現する根本であり,国際的視野に立って世界の平和に貢献することにつながる。

 人間の存在や価値について理解を深め,よりよい社会が形成されるよう人類の発展に貢献する意欲を高めることが求められる。

 その際,持続可能な社会の形成という視点をもつとともに,国際協力や国際協調の面から考えることも大切である。

 ここで,「世界の中の日本人としての自覚」と示しているのは,他国の人々や文化を尊重し,国際的視野に立って,世界の平和と人類の発展に貢献し,世界の人々から信頼される人間の育成を目指しているためである。

 
 

 小学校の段階では,特に高学年において,他国の人々や文化について理解し,日本人としての自覚をもって国際親善に努めることについて学習してきている。

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 中学校の段階では,入学して間もない時期に,他教科等の学習とも相まって,これまで以上に世界の様々な国々に対しての興味・関心が高まってくる。

 学年が上がるにつれて,知識基盤社会の中では諸外国の政治・経済・文化をはじめとする様々な分野について,多くの知識・情報・技術を瞬時に手に入れることもできるようになり,世界の国々との様々な形で関わりを体験する機会も増えてくる。

 我が国の伝統や文化への深い理解はもとより,世界の人々と関わり,異文化への理解を深める機会を得たいという気持ちが大きくなる。

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 指導に当たっては,まず,他国には日本と同じように,その国の伝統に裏打ちされたよさがあることや,例えば,我が国と同様,他国にも国旗や国歌があり,相互に尊重すべきことなどを学習する中で,その国独自の伝統と文化に各国民が誇りをもっていることなどを理解させることが大切である。

 その際,伝統や文化は,人間としての共通の願いから形成されてきているという理解に立って,他国の人々や異文化に対する理解と尊敬の念が重視されなければならない。

 その上で,様々な文化のもつ多様性の尊重や価値観の異なる他者との共生などについても考えを深める必要がある。

 今後ますますグローバルな相互依存関係の中で生きていく中学生にとって,広く世界の諸情勢に目を向け,国際社会で生きる能力を身に付けることはこれまで以上に必要となる。

 そうした社会の変化に能動的に対応できるとともに,国際社会において自らの役割と責任を果たすことができる日本人となることが求められる。

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 さらに,世界の平和と人類の発展に貢献するという理想を抱き,その理想の実現に努めることが大切である。

 その理想の実現のための基本になるのは,国によってものの感じ方や考え方,生活習慣などが違っても,どの国の人々も同じ人間として尊重し合い,差別や偏見をもたずに公正,公平に接するということであり,このことは,日本人だけに求められるものではない道徳的価値である。

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 なお,宗教が社会で果たしている役割や宗教に関する寛容の態度などに関しては,教育基本法第15条の規定を踏まえた配慮を行うとともに,宗教について理解を深めることが,自ら人間としての生き方について考えを深めることになるという意義を十分考慮して指導に当たることが必要である。

 
 
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