cosnavi.jp
 自然の崇高さを知り,自然環境を大切にすることの意義を理解し,進んで自然の愛護に努めること。

(小学校)

[自然愛護]

--------------------------------

〔第1学年及び第2学年〕

 身近な自然に親しみ,動植物に優しい心で接すること。

---------------------------------

〔第3学年及び第4学年〕

 自然のすばらしさや不思議さを感じ取り,自然や動植物を大切にすること。

---------------------------------

〔第5学年及び第6学年〕

 自然の偉大さを知り,自然環境を大切にすること。

 
 

 人は,長い年月の間存続してきた自然や,人の営みがつくり出した自然の美しさに触れたり,親しんだりすることにより自らの人生を豊かにしてきた面が強い。

 「自然の崇高さを知」るとは,自然の美しさや神秘さを感性で受けとめるとともに,自然が人間の力が及ばない存在であり,時として我々に「恐れ」や「緊張」をもたらすものであるということを理性でも認識することである。

 自然との関わりを深く認識すれば,人間は様々な意味で有限なものであり,自然の中で生かされていることを自覚することができる。

--------------------------------

 「自然環境を大切にすることの意義を理解」することとは,人間は有限なものであるという自覚によって,自然の中で生かされている人間が,自然に対して謙虚に向き合うことの大切さを理解することにほかならない。

 その理解が,生命の大切さや尊さ,人間として生きることのすばらしさの自覚につながり,とかく独善的になりやすい人間の心を反省させ,生きとし生けるものに対する感謝と尊敬の心を生み出し,自然を大切にすることの意義を実感することができるのである。

--------------------------------

 「進んで自然の愛護に努める」とは,人間が自然の主となって保護し愛するということではなく,自然の生命を感じ取り,自然との心のつながりを見いだして共に生きようとする自然への積極的な対し方である。

 人の手が加わっていない自然をむやみに破壊せず,可能なかぎり維持,保全しようとする意識が高まることにより,自ら様々な環境を保全する活動に参加したり,参加ができない場合にも,その考え方に共感し,自分のできる範囲で貢献しようとしたりする態度が育まれるのである。

 
 

 小学校の段階では,自然のすばらしさや不思議さ,偉大さを知り,自然環境を大切にすることについて学んできている。

--------------------------------

 中学校の段階では,入学して間もない時期には,豊かな感受性が育ってくるとともに,様々な体験を通じて自然の美しさに癒やされる自己に気付くようにもなる。

 学年が上がるにつれて,理科などの学習や防災に関する学習を通して,自然の力のすさまじさと人間の力の限界を理解し,人間の力を超えた自然の崇高さを感性と理性の両面で捉えるようになる。

--------------------------------

 指導に当たっては,まず,例えば,すばらしい自然風景・絶景との出会いを振り返り,そこでの感動や不思議に思ったことなどの体験を生かして,人間と自然との関わりを多面的・多角的に捉え,自然を愛し,守ることといった環境の保全を通して,有限な人間の力を超えたものを謙虚に受け止める心を育てることが求められる。

--------------------------------

 さらに,高等学校段階への発展を踏まえて,自然を美の対象としてだけではなく,畏敬の対象として捉えさせることが大切である。

 その際,阪神・淡路大震災,東日本大震災などの災害の事実の理解から自然に対する人間の有限性を考えさせるなど,事実や事象の知的な理解を基にしながら,自然の中で生かされていることを謙虚に受け止める感性を高めることに留意する必要がある。

 そのことが,自然を外から制御する者となって保護するという自然への対し方ではなく,一人一人が自然との心のつながりを見いだし同行する者として生きようとする自然への対し方につながり,持続可能な開発目標(SDGs)のための教育でも求められる,現在及び未来の自然環境の課題に取り組むために必要な心を育てることになる。

 
 
→ 中学校道徳編 目次
→ 小学校道徳編 目次
→ 中学校学習指導要領(2017)目次
→ 学習指導要領ナビ
トップページ