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 美しいものや気高いものに感動する心をもち,人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深めること。

(小学校)

[感動,畏敬の念]

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〔第1学年及び第2学年〕

 美しいものに触れ,すがすがしい心をもつこと。

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〔第3学年及び第4学年〕

 美しいものや気高いものに感動する心をもつこと。

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〔第5学年及び第6学年〕

 美しいものや気高いものに感動する心や人間の力を超えたものに対する畏敬の念をもつこと。

 
 

 人は,長い年月の間存続してきたり,人が育んできたりした自然の美しさや,優れた芸術作品や芸術家の技に触れることによって,自らの人生を豊かで味わい深いものにしてきた面もある。

 さらに,人間のもつ心の崇高さや偉大さに感動したり,真理を求め,自分の可能性にひたむきに挑戦する人間の姿に心を打たれたりすることがある。

 「感動」とは,物事に深く感じて心が動くことである。

 小学校低学年の内容項目においては,「すがすがしい心」と示されている。

 このような自然や芸術,人の生き方など,美しいものや気高いものに触れることによって,人は感動を味わい,人生をより豊かなものとすることができる。

 気高さは,品格のある人の生き方の中に感じ取られるものであるが,自己を犠牲にした生き方を賛美したり強いたりすることではない。

 異質なものとの出会いや非日常的な体験などの際にも,人は感動する。

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 また,「畏敬」とは,「畏れる」という意味での畏怖という面と,「敬う」という意味での尊敬,尊重という面が含まれている。

 畏れかしこまって近づけないということである。

 人間としての自己の在り方を深く探究するとき,人間は様々な意味で有限なものであり,自然の中で生かされていることを自覚することができる。

 この自覚とともに,人間の力を超えたものを素直に感じ取る心が深まり,これに対する畏敬の念が芽生えてくるであろう。

 また,この人間は有限なものであるという自覚は,生命のかけがえのなさや尊さ,人間として生きることのすばらしさの自覚につながり,とかく独善的になりやすい人間の心を反省させ,生きとし生けるものに対する感謝と尊敬の心を生み出していくものである。

 
 

 小学校の段階では,特に高学年で,文学作品,絵画や造形作品などの美術,壮大な音楽など美しいものとの関わりを通して,感動したり尊敬や畏敬の念を深めたりすることで,人間としての在り方をより深いところから見つめ直すことができるよう指導を行っている。

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 中学校の段階では,入学して間もない時期には,すばらしい自然の美や芸術,品格のある気高い人間の生き方に触れることを通して,豊かな感受性が育ってくる。

 学年が上がるにつれて,美的な情操が豊かになり,感動する心が育ち,自然や人間の力を超えたものに対して美しさや神秘さを感じ,その中で癒やされる自己に気付くようにもなる。

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 指導に当たっては,まず,例えば,体験活動等における,自然の織りなす美しい風景や優れた芸術作品等の美しいものとの出会いを振り返り,そこでの感動や畏怖の念,不思議に思ったことなどの体験を生かして,人間と自然,あるいは美しいものとの関わりを多面的・多角的に捉えさせることが大切である。

 畏敬は,非日常的な体験を通して初めて自覚されることが多い。

 例えば,小さな子供が遊びの中で昆虫の命を奪ってしまったときに感じる恐ろしさや,その子供が同時に抱く命への尊敬の気持ちなど,これまでの経験を想起させ,生命の尊さの内容と関連させながら畏敬の念について話し合わせることで,抽象的な言葉による理解ではなく,人間理解に基づいて畏敬の念について深く考えることができる。

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 さらに,心の奥深さや清らかさを描いた文学作品等の気高いものとの出会いを振り返り,有限な人間の力を超えたものを謙虚に受け止める心を育てることが求められる。

 こうした指導を通して豊かな心を育てることが,人間としての成長をより確かなものにすることにつながるのである。

 
 
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