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中学校 学習指導要領 【解説】 |
道徳編 |
第4章 指導計画の作成と内容の取扱い |
第1節 指導計画作成上の配慮事項 |
3 年間指導計画作成上の創意工夫と留意点 |
年間指導計画を活用しやすいものとし,指導の効果を高めるために,特に創意工夫し留意すべきこととして次のことが挙げられる。 |
(1) 主題の設定と配列を工夫する |
ねらいと教材で構成する主題の設定においては,特に主題に関わる道徳教育の状況,それに伴う生徒の実態などを考慮する。 また,ねらいとしては,道徳的諸価値についての理解を基に,自己を見つめ,物事を広い視野から多面的・多角的に考え,人間としての生き方について考えを深める学習のための根源的なものを押さえておく必要がある。 教材は,ねらいとの関連において生徒の心に響くものを多様に選択する。 さらに,主題の配列に当たっては,主題の性格,他の教育活動との関連,地域社会の行事,季節的変化などを十分に考慮することが望まれる。 |
(2) 計画的,発展的指導ができるように工夫する |
内容項目の全体構成及び相互の関連性や発展性を考慮して,3学年間を見通した計画的,発展的な指導が行えるように工夫する。 また,小学校における道徳科との関連,家庭や地域社会との連携を図るよう工夫することも望まれる。 |
(3) 重点的な指導ができるように工夫する |
内容項目の指導については,生徒や学校の実態に応じて重点的指導を工夫し,内容項目全体の効果的な指導が行えるよう配慮する必要がある。 その場合には,学校が重点的に指導しようとする内容項目の指導時間数を増やし,一定の期間をおいて繰り返し取り上げる,何回かに分けて指導するなどの配列を工夫したり,内容項目によっては,ねらいや教材の質的な深まりを図ったり,問題解決的な学習など多様な指導の方法を用いたりするなどの工夫が考えられる。 そのためには,研修などにより教師が内容項目を十分理解し,生徒の実態に即した指導を行う必要がある。 |
中学校 学習指導要領 【解説】 |
3 年間指導計画作成上の創意工夫と留意点 |
(4) 各教科等,体験活動等との関連的指導を工夫する |
年間にわたって位置付けた主題については,各教科等との関連を図ることで指導の効果を高められる場合は,指導の内容及び時期を配慮して年間指導計画に位置付けるなど,具体的な関連の見通しをもつことができるように工夫することも考えられる。 -------------------------------- また,生徒自らが成長を実感でき,これからの課題や目標が見付けられるよう,学校や家庭・地域社会における職場体験活動やボランティア活動,自然体験活動などの道徳性を養うための体験活動や情操を育む活動を積極的に活用したり,校長や教頭をはじめ他の教師等も積極的に参加するティーム・ティーチング,さらに,地域の人々や保護者から積極的に授業の参加協力を得たりするなど,指導者が道徳教育推進教師と連携を密にしながら,多様な指導方法や学習形態の工夫を図ることも重要である。 さらに,特別活動の特質を十分に踏まえた上で,各学校において,特別活動と道徳科のそれぞれの役割を明確にしつつ,連携を一層密にした計画的な指導を行うことが求められる。 |
(5) 複数時間の関連を図った指導を取り入れる |
道徳科においては,一つの主題を1単位時間で取り扱うことが一般的であるが,内容によっては複数の時間の関連を図った指導の工夫などを計画的に位置付けて行うことも考えられる。 例えば,一つの主題を2単位時間にわたって指導し,道徳的諸価値の理解に基づいて人間としての生き方についての学習を充実させる方法,重点的な指導を行う内容を複数の教材による指導と関連させて進める方法など,様々な方法が考えられる。 |
中学校 学習指導要領 【解説】 |
3 年間指導計画作成上の創意工夫と留意点 |
(6) 計画の弾力的な取扱いについて配慮する |
年間指導計画は,学校の教育計画として意図的,計画的に作成されたものであり,指導者の恣意による不用意な変更や修正が行われるべきではない。 変更や修正を行う場合は,生徒の道徳性を養うという観点から考えて,より大きな効果を期待できるという判断を前提として,学年などによる検討を経て校長の了解を得ることが必要である。 -------------------------------- そして,変更した理由を備考欄などに記入し,今後の検討課題にすることが大切である。 |
なお,年間指導計画の弾力的な取扱いについては,次のような場合が考えられる。 -------------------------------- ア 時期,時数の変更 生徒の実態などに即して,指導の時期,時数を変更することが考えられる。 しかし,指導者の恣意による変更や,あらかじめ年間指導計画の一部を空白にしておくことは,指導計画の在り方から考えて,避けなければならない。 -------------------------------- イ ねらいの変更 年間指導計画に予定されている主題のねらいを一部変更することも考えられる。 ねらいの変更は,年間指導計画の全体構想の上に立ち,協議を経て行うことが大切である。 -------------------------------- ウ 教材の変更 主題ごとに主に用いる教材は,ねらいを達成するために中心的な役割を担うものであり,安易に変更することは避けなければならない。 変更する場合は,そのことによって一層効果が期待できるという判断を前提とし,少なくとも同一学年の他の教師や道徳教育推進教師と話し合った上で,校長の了解を得て変更することが望ましい。 -------------------------------- エ 学習指導過程,指導方法の変更 学習指導過程や指導方法については,生徒や学級の実態などに応じて適切な方法を開発する姿勢が大切である。 しかし,基本的な学習指導過程などについての共通理解は大切なことであり,変更する場合は,それらの工夫や成果を校内研修会などで発表するなど意見の交換を積極的に行うことが望まれる。 |
(7)年間指導計画の評価と改善を計画的に行うようにする |
年間指導計画に基づく授業が一層効果的に行われるためには,授業実施の反省に基づき,上記により生じた検討課題を踏まえながら,全教師の共通理解の下に,年間指導計画の評価と改善を行うことが必要である。 そのためには,日常から実施上の課題を評価欄に記入したり,検討したりするための資料を収集することにも心掛けることが大切である。 |
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