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 道徳科の指導においては,生徒一人一人がねらいに含まれる道徳的価値についての理解を基に,自己を見つめ,物事を広い視野から多面的・多角的に考え,道徳的価値や人間としての生き方についての自覚を深めることで道徳性を養うという特質を十分考慮し,それに応じた学習指導過程や指導方法を工夫することが大切である。

 生徒自らが望ましい人間としての生き方を追求し,道徳的価値についての見方や感じ方,考え方を深めていく。

 それとともに,生徒が自らのよさや成長を実感できるように工夫することが求められる。

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 道徳科の学習指導過程には,特に決められた形式はないが,一般的には以下のように,導入,展開,終末の各段階を設定することが広く行われている。

 このような指導を基本とするが,学級の実態,指導の内容や教師の指導の意図,教材の効果的な活用などに合わせて弾力的に扱うなど,各段階で多様な工夫をすることが大切である。

 
 

 主題に対する生徒の興味や関心を高め,学習への意欲を喚起して,生徒一人一人のねらいの根底にある道徳的価値や人間としての生き方についての自覚に向けて動機付けを図る段階である。

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 具体的には,本時の主題に関わる問題意識をもたせる導入,教材の内容に興味や関心をもたせる導入などが考えられる。

 ねらいを達成するための中心となる段階であり,中心的な教材によって,生徒一人一人が,ねらいの根底にある道徳的価値の理解を基に,自己を見つめ,物事を広い視野から多面的・多角的に考え,道徳的価値や人間としての生き方についての自覚を深める段階である。

 道徳的価値を生徒自らが自分のこととして捉え,道徳的価値を自分の生活の中に生かしていこうとする思いや課題が培われることが必要である。

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 具体的には,生徒の実態と教材の特質を押さえた発問などをしながら進めていく。

 そこでは,教材に描かれている道徳的価値に対する生徒一人一人の感じ方や考え方を生かし,生徒が自分との関わりで道徳的価値を理解したり,物事を多面的・多角的に考えたり,自分の問題として受け止め深く自己を見つめるなど学習が深まるように留意する。

 生徒がどのような問題意識をもち,どのようなことを中心にして人間としての生き方についての考えを深めていくのかについて主題が明瞭となった学習を心掛ける。

 また,問題解決的な学習や体験的な学習を取り入れる場合には,生徒と教師,生徒相互の対話の深まり,議論の深まりが,生徒の見方や考え方の高まりを促すことから,課題に応じた活発な対話や議論が可能になるよう工夫することが求められる。

 
 

 ねらいの根底にある道徳的価値に対する思いや考えをまとめたり,道徳的価値を実現することのよさや難しさなどを確認して,今後の発展につなげたりする段階である。

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 この段階では,学習を通して考えたことや新たに分かったことを確かめたり,学んだことを更に深く心にとどめたり,これからへの思いや課題について考えたりする学習活動などが考えられる。

 生徒一人一人が,自らの道徳的な成長や明日への課題などを実感でき確かめることができるような工夫が求められる。

 
 
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