cosnavi.jp

(3) 生徒が自ら道徳性を養う中で,自らを振り返って成長を実感したり,これからの課題や目標を見付けたりすることができるよう工夫すること。

 その際,道徳性を養うことの意義について,生徒自らが考え,理解し,主体的に学習に取り組むことができるようにすること。

 また,発達の段階を考慮し,人間としての弱さを認めながら,それを乗り越えてよりよく生きようとすることのよさについて,教師が生徒と共に考える姿勢を大切にすること。

 道徳教育の本来の使命に鑑みれば,特定の価値観を押し付けたり,主体性をもたず言われるままに行動するように指導したりすることは,道徳教育が目指す方向の対極にあるものと言わなければならない。

 むしろ,多様な価値観の,時に対立がある場合を含めて,人間としてよりよく生きるために道徳的価値に向き合い,いかに生きるべきかを自ら考え続ける姿勢こそ道徳教育が求めるものと言える。

 授業では,学習の始めに生徒自らが学びたいという課題意識や課題追究への意欲を高め,学習の見通しなどをもたせることが大切である。

 道徳科においても,それらを踏まえ,教材や生徒の生活体験などを生かしながら,一定の道徳的価値に関わる物事を多面的・多角的に捉えることができるようにする必要がある。

 さらに,理解した道徳的価値から自分の生活を振り返り,自らの成長を実感したり,これからの課題や目標を見付けたりできるようにすることが望まれる。

--------------------------------

 そのため,道徳的価値や生徒自身の生活について多様な観点から捉え直し,生徒が納得できる考えを自ら導き出す上で効果的な教材を選択したり,その教材の特質を生かすとともに,一人一人が意欲的で主体的に取り組むことができる表現活動や話合い活動を仕組んだり,学んだ道徳的価値に照らして,自らの生活や考えを見つめるための具体的な振り返り活動を工夫したりすることが必要である。

 さらに,必要に応じて,授業開始時と終了時における考えがどのように変容したのかが分かるような活動を工夫することも効果的である。

--------------------------------

 また,特定の価値観の押し付けにならないよう,道徳科における主体的かつ効果的な学び方を生徒自らが考えることができるような工夫をすることも大切である。

 そして,生徒の発達の段階に応じて,生徒自らが道徳的価値を実現するための課題や目標,道徳性を養うことのよさや意義について考えることができるような指導を工夫することも大切である。

--------------------------------

 なお,年度当初に,道徳科の年間35単位時間以上の学習全体を見通し,学年の始めの自分の有様やこれからの自らの課題や目標を捉えるための学習を行うことも効果的である。

 そして,その望ましい自分の在り方を求めて,年度途中や年度末に,それまでの学習や自分自身を適宜振り返ることで,自らの道徳的成長を実感したり,新たな課題や目標をもったりする学習を工夫することも考えられる。

 そのことによって,道徳的価値や人間としての生き方について引き続き考え続ける態度を養い,長い期間の中で,主体的で意欲的に生き方を学ぶ道徳科の学習とすることができる。

--------------------------------

 そのためにも,教師自らが生徒と共に自らの道徳性を養い,よりよく生きようという姿勢を大切にし,日々の授業の中で愛情をもった生徒への指導をすることが重要となる。

 
 

 学校教育は,関係法令及び学習指導要領に基づいて編成された教育課程を実施することが求められており,年間指導計画等に従って全ての教師が意図的,計画的に指導することが重要である。

 しかし,このことは指導内容を単に教え込むことではない。

 指導内容を生徒が自分との関わりで捉え,切実感をもって学習することで真に生徒が習得することにつながるものである。

 そのためには,生徒の主体的な学びが必要になる。学習指導においては,生徒自らが主体的に学ぶための教師の創意工夫が求められる。

--------------------------------

 道徳科の授業では,教師が特定の価値観を生徒に押し付けたり,指示どおりに主体性をもたず言われるままに行動するよう指導したりすることは,道徳教育が目指す方向の対極にあるものと言わなければならない。

 多様な価値観の,時に対立がある場合を含めて,人間としてよりよく生きるために道徳的価値に向き合い,いかに生きるべきかを自ら考え続ける姿勢こそ道徳教育が求めるものである。

--------------------------------

 そのためには,道徳科の目標や指導のねらいを明らかにして,生徒一人一人が見通しをもって主体的に考え,学ぶことができるようにする必要がある。

 また,道徳科の目標と指導内容との関係を明確にして取り組み,道徳的な内容を学ぶことの意義を理解させたり,学んだことを振り返らせたりする指導が重要である。

 その際,問題解決的な学習や体験的な学習などを取り入れ,生徒が道徳的な内容に興味・関心をもち,自分の判断や生き方と関わらせながら学習を進めていく態度を身に付けられるようにすることが重要である。

 道徳科においても,一定の道徳的価値に基づく授業を行った場合には,生徒が道徳的価値を自分との関わりで捉え,自らの将来に進んで生かそうとする姿勢をもてるような主体的な学習にすることが求められる。

--------------------------------

 中学生になると,自分の考え方や生き方を主体的に見つめ直し,人間としての生き方や在り方について考えを深め,自分自身の人生の課題や目標を見付けようとする傾向が強まる。

 そこで,道徳科の学習では,生徒自身が人生の課題や目標に向き合い,道徳的価値を視点に自らの人生を振り返り,これからの自己の生き方を主体的に判断するとともに,人間としての生き方について理解を深めることができるよう支援することが大切になる。

--------------------------------

 指導に当たっては,生活体験や教材の感想を発表するだけの活動や道徳的価値の観念的・一面的な理解に終始することなく,生徒が自らの関わりで具体的に道徳的価値を理解することが大切である。

 そのために,学んだ道徳的価値に照らして,自分の生活を振り返り,自らのよさや課題を把握できるような効果的な学習を設定することが必要である。

 
 

 中学生になると,生徒は自らの長所や短所をある程度まで自覚するようになり,自分の弱さや人間としての弱さを素直に認めて受容できるようになる。

 しかし,それをそのまま容認するのではなく,人間には自らの弱点や短所を克服して,自らの強みや長所を更に伸ばし,よりよく生きることができるたくましさやすばらしさがあることも理解できるようになる。

--------------------------------

 そこで,こうした人間として生きることに喜びを見いだし,現在の自分の弱さや限界を乗り越え,誇りある人間らしい生き方に近づくような学習が望まれる。

 こうした道徳科の学習では,教師が生徒に対して特定の価値観を教え込むのではなく,教師が生徒と共に人間の弱さを見つめ合い,考え合った上で,夢や希望などを共に語り合うような姿勢をもつことが大切になる。

 
 
→ 中学校道徳編 目次
→ 小学校道徳編 目次
→ 中学校学習指導要領(2017)目次
→ 学習指導要領ナビ
トップページ