多様な指導方法を活用することは,極めて大切である。
問題解決的な学習とは,生徒が学習主題として何らかの問題を自覚し,その解決法についても主体的・能動的に取り組み,考えていくことにより学んでいく学習方法である。
道徳科における問題解決的な学習とは,生徒一人一人が生きる上で出会う様々な道徳上の問題や課題を多面的・多角的に考え,主体的に判断し実行し,よりよく生きていくための資質・能力を養う学習である。
そうした問題や課題は,多くの場合,道徳的な判断や心情,意欲に誤りがあったり,複数の道徳的価値が衝突したりするために生じるものである。
指導方法は,ねらいに即して,目標である道徳性を養うことに資するものでなければならない。
特に中学校では,問題解決的な学習を通して,生徒が人間としてよりよく生きていくために,道徳的諸価値についての理解を基に,自己を見つめ,人間としての生き方について深く考え,適切な行為を主体的に選択し,行為することができる実践意欲と態度を育てるよう指導することが大切である。
日常生活での問題を道徳上の問題として把握したり,自己の生き方に関する課題に積極的に向き合い,自分の力で考え,よりよいと判断して,行為しようとする意欲を培ったりすることができる。
--------------------------------
問題解決的な学習は,生徒の学習意欲を喚起するとともに,生徒一人一人が生きる上で出会う様々な問題や課題を主体的に解決し,よりよく生きていくための資質・能力を養うことができる。
生徒が問題意識をもって学習に臨み,ねらいとする道徳的価値を追求し,多様な感じ方や考え方によって学ぶことができるようにするためには,指導方法の工夫が大切である。
--------------------------------
例えば,主題に対する生徒の興味や関心を高める導入の工夫,他者の考えと比べ自分の考えを深める展開の工夫,主題を自分との関わりで捉え自己を見つめ直し,発展させていくことへの希望がもてるような終末の工夫などがある。
--------------------------------
また,問題解決的な学習では,教師と生徒,生徒相互の話合いが十分に行われることが大切であり,教師の発問の仕方の工夫などが重要である。
さらに,話合いでは学習形態を工夫することもでき,一斉による学習だけでなく,ペアや少人数グループなどでの学習も有効である。
ただし,この場合,議論する場面を設定すること,ペアや少人数グループなどでの学習を導入することが目的化してしまうことがないよう,ねらいに即して,取り入れられる手法が適切か否かをしっかり吟味する必要がある。
--------------------------------
道徳科において問題解決的な学習を取り入れた場合には,その課題を自分との関わりや人間としての生き方との関わりで見つめたときに,自分にはどのようなよさがあるのか,どのような改善すべきことがあるのかなど,生徒一人一人が道徳上の課題に対する答えを導き出すことが大切である。
そのためにも,授業では自分の気持ちや考えを発表するだけでなく,時間を確保してじっくりと自己を見つめ直して書くことなども有効であり,指導方法の工夫は不可欠である。
--------------------------------
現代的な課題を道徳科の授業で取り上げる際には,問題解決的な学習を活用することができる。 |