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(6) 生徒の発達の段階や特性等を考慮し,第2に示す内容との関連を踏まえつつ,情報モラルに関する指導を充実すること。

 また,例えば,科学技術の発展と生命倫理との関係や社会の持続可能な発展などの現代的課題の取扱いにも留意し,身近な社会的課題を自分との関係において考え,その解決に向けて取り組もうとする意欲や態度を育てるよう努めること。

 なお,多様な見方や考え方のできる事柄について,特定の見方や考え方に偏った指導を行うことのないようにすること。

 社会の情報化が進展する中で,生徒は,学年が上がるにつれて,次第に情報機器を日常的に用いる環境の中に入っており,学校や生徒の実態に応じた対応が学校教育の中で求められる。

 これらは,学校の教育活動全体で取り組むべきものであるが,道徳科においても同様に,情報モラルに関する指導を充実する必要がある。

 情報モラルは情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度と捉えることができる。

 内容としては,情報社会の倫理,法の理解と遵守,安全への知恵,情報セキュリティ,公共的なネットワークがあるが,道徳科においては,第2に示す内容との関連を踏まえて,特に,情報社会の倫理,法の理解と遵守といった内容を中心に取り扱うことが考えられる。

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 指導に際して具体的にどのような問題を扱うかについては各学校において検討していく必要があるが,例えば,思いやり,感謝や礼儀に関わる指導の際に,インターネット上の書き込みのすれ違いなどについて触れたり,遵法精神,公徳心に関わる指導の際に,インターネット上のルールや著作権など法やきまりに触れたりすることが考えられる。

 また,情報機器を使用する際には,使い方によっては相手を傷つけるなど,人間関係に負の影響を及ぼすこともあるため,指導上の配慮を行う必要がある。

 
 

 情報モラルに関する指導について,道徳科では,その特質を生かした指導の中での配慮が求められる。

 道徳科は道徳的価値に関わる学習を行う特質があることを踏まえた上で,指導に際しては,情報モラルに関わる題材を生かして話合いを深めたり,コンピュータによる疑似体験を授業の一部に取り入れたりするなど,創意ある多様な工夫が生み出されることが期待される。

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 具体的には,例えば,相手の顔が見えないメールと顔を合わせての会話との違いを理解しメールなどが相手に与える影響について考えるなど,インターネット等に起因する心のすれ違いなどを題材とした思いやり,感謝や礼儀に関わる指導が考えられる。

 また,インターネット上の法やきまりを守れずに引き起こされた出来事などを題材として規則の尊重に関わる授業を進めることも考えられる。

 その際,問題の根底にある他者への共感や思いやり,法やきまりのもつ意味などについて,生徒が考えを深めることができるようにすることが重要になる。

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 なお,道徳科は,道徳的価値の理解を基に自己を見つめる時間であるとの特質を踏まえ,例えば,情報機器の使い方やインターネットの操作,危機回避の方法やその際の行動の具体的な練習を行うことにその主眼をおくのではないことに留意する必要がある。

 
 

 道徳科の内容で扱う道徳的諸価値は,現代社会の様々な課題に直接関わっている。

 中学生には,こうした解決の難しい,答えの定まっていない問題や葛藤について理解を深め,多面的・多角的に考えることができる思考力が育ってきている。

 現代社会を生きる上での課題を扱う場合には,問題解決的な学習を行ったり討論を深めたりするなどの指導方法を工夫し,課題を自分との関係で捉え,その解決に向けて考え続けようとする意欲や態度を育てることが大切である。

 例えば,食育,健康教育,消費者教育,防災教育,福祉に関する教育,法教育,社会参画に関する教育,伝統文化教育,国際理解教育,キャリア教育など,学校の特色を生かして取り組んでいる教育課題については,関連する内容項目の学習を踏まえた上で,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動などにおける学習と関連付け,それらの教育課題を主題とした教材を活用するなどして,様々な道徳的価値の視点で学習を深め,生徒自身がこれらの学習を発展させたりして,人として他者と共によりよく生きる上で大切なものとは何か,自分はどのように生きていくべきかなどについて,考えを深めていくことができるような取組が求められる。

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 また,例えば,科学技術の発展に伴う生命倫理の問題や社会の持続可能な発展を巡っては,生命や人権,自己決定,自然環境保全,公正,公平,社会正義など様々な道徳的価値に関わる葛藤がある。

 このように現代的な課題には,葛藤や対立のある事象も多く,特に「相互理解,寛容」,「公正,公平,社会正義」,「国際理解,国際貢献」,「生命の尊さ」,「自然愛護」などについては,現代的な課題と関連の深い内容であると考えられ,発達の段階に応じて,これらの課題を積極的に取り上げることが求められる。

 さらに,障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)の施行を踏まえ,障害の有無などに関わらず,互いのよさを認め合って協働していく態度を育てるための工夫も求められる。

 また,主権者として社会の中で自立し,他者と連携・協働しながら,社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員の一員として主体的に担う力を養うことも重要な課題となっている。

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 その際,これらの諸課題には多様な見方や考え方があり,一面的な理解では解決できないことに気付かせ,多様な価値観の人々と協働して問題を解決していこうとする意欲を育むよう留意することが求められる。

 そのためには,例えば,複数の内容項目を関連付けて扱う指導によって,生徒の多様な考え方を引き出せるように工夫することなどが考えられる。

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 なお,これらの現代的な課題の学習では,多様な見方や考え方があることを理解させ,答えが定まっていない問題を多面的・多角的視点から考え続ける姿勢を育てることが大切である。

 安易に結論を出させたり,特定の見方や考え方に偏った指導を行ったりすることのないよう留意し,生徒が自分と異なる考えや立場についても理解を深められるよう配慮しなければならない。

 
 
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