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(7) 道徳科の授業を公開したり,授業の実施や地域教材の開発や活用などに家庭や地域の人々,各分野の専門家等の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深め,相互の連携を図ること。

 道徳科は全教育活動を通じて行う道徳教育の要であり,その授業を公開することは,学校における道徳教育への理解と協力を家庭や地域社会から得るためにも,極めて大切である。

 実施の方法としては,通常の授業参観の形で行う方法,保護者会等の機会に合わせて行う方法,授業を参観した後に講演会や協議会を開催する方法などが考えられる。

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 また,保護者が授業参観時に一緒に授業に参加し発言をしながら生徒と意見交換をしたり,生き方について考えたりすることは,より一層の道徳教育の理解につながる。

 このような道徳科の授業の公開を学校の年間計画に位置付け,保護者だけでなく,地域の人々にも呼び掛けて,多くの人々の参観を得られるような工夫をし,積極的に公開することが望まれる。

 
 

 道徳科は家庭や地域社会との連携を進める重要な機会となる。

 その実施や教材の開発・活用などに保護者や地域の人々の参加や協力を得られるよう配慮していくことが考えられる。

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 家庭や地域の題材を資料として生かした学習,家庭や地域での話合いや取材を生かした学習,地域の人や保護者の参加を得た学習など,家庭や地域社会との連携強化を図った指導を工夫することも考えられる。

 そのため,保護者や地域の人々が参観しやすいような工夫も望まれる。

 保護者の協力を得て,上記のように,授業に生徒と同じ立場で参加してもらうことのほかに,授業前に,アンケートや生徒への手紙等の協力を得たり,事後の指導に関して依頼したりするなどの方法も考えられる。

 特に,「家族愛,家庭生活の充実」など様々な道徳的価値に関する指導に関わる授業では生かしたい方法である。

 また,保護者会などを通して教材提供の依頼を行い,共に授業をつくっていくことで協力体制を活性化することができる。

 地域の人々や社会で活躍する人々に授業の実施への協力を得ることも効果的である。

 例えば特技や専門知識を生かした話題や生徒へのメッセージを語る講師の役割として協力を得る方法がある。

 青少年団体等の関係者,福祉関係者,自然活動関係者,スポーツ関係者,伝統文化の継承者,国際理解活動の関係者,企業関係者などを授業の講師として招き,実体験に基づいて分かりやすく語ってもらう機会を設けることは効果的である。

 生徒が人間としての生き方を考え学ぶ絶好の機会となる。そのために,日頃から,ねらいに即した人々の情報を集めたリストなどを作成しておくことが有効である。

 その際,生徒が講師の話を聞くだけでなく,質問したり考えを伝えたり話し合ったりするなどの,一定の時間を確保しておく配慮が大切である。

 また,見通しのある実施のために計画に位置付けておくことも重要になる。

 地域の先人,地域に根付く伝統と文化,行事,民話や伝説,歴史,産業,自然や風土などを題材とした地域教材などを開発する場合に,地域でそれらに関することに従事する人や造詣が深い人などに協力を得ることが考えられる。

 教材の開発だけでなく,授業でそれを資料として活用する場合にも,例えば,資料を提示するときに協力を得る,話合いを深めるために解説や実演をしてもらう,生徒の質問を受けて回答してもらうなどの工夫が考えられる。

 また,地域教材を活用する際に,地域人材の協力を得ることは,授業の効果を一層高める効果が期待できる。

 道徳科の指導は,学校における教育課程の実施の一環であり,学校が責任をもって行うことが大前提ではあるが,保護者や地域の人々が生徒の豊かな心を育むことに寄与したいという思いを抱くことで,道徳科以外の道徳教育への協力も促されると同時に,家庭や地域社会において生徒の豊かな心を積極的に育もうとする意欲を高めることにもつながることが考えられる。
 
 
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