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(1) 生徒の発達の段階や特性,地域の事情等を考慮し,多様な教材の活用に努めること。

 特に,生命の尊厳,社会参画,自然,伝統と文化,先人の伝記,スポーツ,情報化への対応等の現代的な課題などを題材とし,生徒が問題意識をもって多面的・多角的に考えたり,感動を覚えたりするような充実した教材の開発や活用を行うこと。

 教材の開発に当たっては,日常から多様なメディアや書籍,身近な出来事等に関心をもつとともに,柔軟な発想をもち,教材を広く求める姿勢が大切である。

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 具体的には,生命の尊厳,社会参画,自然,伝統と文化,先人の伝記,スポーツ,情報化への対応等の現代的な課題などを題材として,生徒が問題意識をもって多面的・多角的に考えたり,感動を覚えたりするような充実した教材の開発が求められる。

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 生命の尊厳は,生命ある全てのものをかけがえのないものとして尊重し,大切にすることであり,生徒が発達の段階に応じて生命の尊厳について,人間としての生き方と関わらせながら考えられるような教材などが想定される。

 社会参画を扱う教材には,「個」から「公」に視点を広げていく背景として「他者」への思いやりの心に触れたものなどが想定される。

 自然を題材とした教材には,自然の美しさや偉大さ,不思議さなど,感性に訴え,人間の力を超えたものを謙虚に受け止める心を育てるものなどが想定される。

 伝統と文化を題材とした教材には,その有形無形の美しさに国や郷土への誇り,愛情を感じさせるものなどが想定される。

 また,先人の伝記には,多様な生き方が織り込まれ,生きる勇気や知恵などを感じることができるとともに,人間としての弱さを吐露する姿などにも接し,生きることの魅力や意味の深さについて考えを深めるものなどが想定される。

 そして,スポーツを題材とした教材には,例えば,オリンピックやパラリンピックなどの世界を舞台にして活躍するアスリートやそれを支える人々のチャレンジ精神や力強い生き方,苦悩などに触れて道徳的価値の理解やそれに基づいた自己を見つめる学習を深めるものなどが想定される。

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 情報化への対応等の現代的な課題などの題材は,我が国が抱える課題として,発達の段階に応じ,素材として取り上げることが考えられる。

 その場合には,単に情報機器の操作や活用など,その注意点を扱うのではなく,活用するのは人間であるからこそ,例えば「節度・節制」や「自主,自律,自由と責任」など関わりのある道徳的価値について考えを深めることが大切である。

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 多様な教材の開発に当たっては,

 例えば,
 題材とする人物の選定に当たって,
 生徒の関心を重視するだけではなく,

 その人物の生き方から
 人間としての生き方を考えさせる場面を
 設定できることが重要であるなど,

 いたずらに生徒の興味を引くこと
 のみに留意するのではなく,
 道徳科の教材として具備すべき要件
 を踏まえ,

 道徳科の特質を生かした展開が
 可能となるよう,
 授業での活用を視野に入れた工夫
 が求められる。

 
 

 多様な教材が開発されることを通して,
 その生かし方も
 より創意あるものになり,
 生徒自身のその積極的な活用が
 促される。

 例えば,
 地域の人を招いて協力しながら
 学習を進める,
 実物を提示する,
 情報機器を生かして学習する,
 疑似体験活動を取り込んで学習する,

 授業の展開に中心的に位置付ける教材
 だけでなく,
 補助的な教材を組み合わせて,
 それらの多様な性格を生かし合うなど,

 様々な創意工夫が生み出される。

 そのためにも,
 開発された教材については,

 その内容や形式等の特徴を押さえて
 授業で活用したときに,
 生徒がその内容を
 どのように受け止めるか

 を予想するなどして,
 提示の工夫,
 発問の仕方の工夫等
 を併せて検討しておくこと

 が大切である。

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 活用する教材の選択に際しては,生徒の興味を引くことのみに留意するのではなく,道徳科の目標や道徳科の特質を踏まえて「この教材で何を考えさせるのか」という授業のねらいの観点から選択する必要がある。

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 道徳科においても,主たる教材として教科用図書を使用しなければならないことは言うまでもないが,道徳教育の特性に鑑みれば,各地域に根ざした郷土資料など,多様な教材を併せて活用することが重要である。

 
 
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