cosnavi.jp

(7) 学校図書館の活用,他の学校との連携,公民館,図書館,博物館等の社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携,地域の教材や学習環境の積極的な活用などの工夫を行うこと。

 総合的な学習の時間における
 探究的な学習の過程では,
 様々な事象について
 調べたり探したりする学習活動
 が行われるため,
 豊富な資料や情報が必要となる。

 そこで,
 学校図書館やコンピュータ室の
 図書や資料を充実させ,
 タブレット型端末を含む
 コンピュータ等の情報機器や
 校内ネットワークシステムを
 整備・活用すること
 が望まれる。

--------------------------------

 学校図書館の
 「学習センター」,
 「情報センター」
 としての機能を充実させ,
 図書の適切な廃棄・更新に努めること
 等により,

 最新の
 図書や資料,新聞やパンフレットなどを
 各学年の学習内容に合わせて
 使いやすいように
 整理,展示したり,

 関連する
 映像教材やデジタルコンテンツを
 揃えて
 いつでも利用できるようにしたり
 しておくことによって,

 調査活動が効果的に行えるようになり,
 学習を充実させることができる。

 

 さらに,
 司書教諭,
 学校図書館司書等による
 図書館利用の指導により,
 生徒が
 情報を収集,選択,活用する能力を
 育成することができる。

 また,
 インターネットで必要なものが
 効率的に調べられるように,
 学習活動と関連するサイトを
 あらかじめ登録したページを作って,
 図書館やコンピュータ室などで
 利用できるようにしておくこと
 も望まれる。

--------------------------------

 一方で,
 それらを用いて
 探究的な学習を進める
 学習の場面や時間
 を十分確保することや,

 そのための
 多様な学習活動を
 展開できるスペース
 を確保しておくこと
 にも配慮が求められる。

--------------------------------

 また,
 総合的な学習の時間の学習活動が
 小学校や高等学校等の学習活動と
 相互に関連付けられ
 連続的・発展的に
 展開できるようにしたり,

 地域をはじめ全国の学校間で
 共通の課題を取り扱ったりするなど,
 他の学校との連携にも
 配慮する必要がある。

 例えば
 複数の中学校で
 降雨の酸性度を測定し,
 それを集積してデータベースを作る
 などのことが考えられる。

 複数の学校が連携して取り組む
 ことにより,
 広域にわたる多様なデータを
 収集することが可能になり,
 そのデータを活用して
 酸性雨の問題を
 協働的に解決していくことができる。

--------------------------------

 異なる学校を,
 直接的な交流や
 ICTを活用した遠隔交流など
 により結んで行う
 協働的な学習は,

 共に学習活動を進めるという意識や
 高め合う意識を
 生んで
 学習意欲を向上させたり,

 自分たちだけでは調べられない
 相手の地域の情報
 を得たりする
 という利点がある。

 

 また,
 多様な他者と協働し,
 異なる意見や他者の考えを
 受け入れる中で,
 多面的・多角的に
 俯瞰して捉えたり,考えたりする
 ことにもつながる。

 

 その一方,
 場合によっては
 交流が形骸化してしまう
 可能性があること
 も踏まえ,
 協働して計画を立案し,
 実効性の高い連携を考えていく
 必要がある。

--------------------------------

 地域には,

 豊かな体験活動や知識を提供する
 公民館,図書館や博物館などの
 社会教育施設等や,

 その地域の自然や社会に関する
 詳細な情報を有している
 企業や事業所,社会教育関係団体や
 非営利団体等の各種団体がある。

 

 また,
 遺跡や神社・仏閣などの文化財,
 伝統的な行事や産業なども
 地域の特色をつくっている。

 

 この時間が
 豊かな学習活動として
 展開されるためには,

 学習の必然性に配慮しつつ,
 こういった施設等の利用を促進し,
 地域に特有な知識や情報と
 適切に出会わせる工夫
 が求められる。

--------------------------------

 その際,
 見学などで施設を訪れること
 だけでなく,
 施設の担当者に学校に来てもらうこと
 も方法の一つである。

 実際に来られないときには,
 手紙や電話,メールや
 テレビ会議システム
 などを使って,
 情報を提供してもらったり,
 生徒の質問に答えてもらったりする
 ことも有効である。

 また,
 生徒が主体的に取り組む中で,
 一定の責任をもって
 継続的に施設等にかかわる活動
 に発展することも考えられる。

--------------------------------

 その一方で,
 社会教育施設等を無計画に訪れる
 などして,
 先方の業務に支障を来すこと
 などのないように
 配慮しなければならない。

 積極的に活用することと,
 無計画に利用することは異なる。

 

 また,
 外部人材の活用の際に,
 講話内容を任せきりにしてしまう
 ことによって,

 自分で学び取る余地が残らないほど
 詳細に教えてもらったり,
 内容が高度で
 生徒に理解できなかったりする
 場合もある。

 また,
 特定のものの見方や
 個人の考え方だけが
 強調されることも考えられる。

 学習のねらいについて,
 事前に十分な打合せをしておくこと
 が必要であり,
 外部人材に依存し過ぎること
 のないようにすべきである。

--------------------------------

 地域と学校の連携・協働の下,
 地域の住民が協力して
 未来を担う子供たちの成長を
 支えるとともに,

 地域を創造する活動も
 推進されている。

 

 また,
 地域の住民と生徒が
 地域の課題に向き合い,

 多様な経験や技術をもつ
 地域の人材・企業等
 の協力を得ながら,

 課題解決に向けて協働する活動
 を推進している地域もある。

 

 こうした
 地域のもつ教育力を活用することは,
 この時間の目標をよりよく実現する
 ことにつながるだけでなく,
 更に次のような教育的効果をもたらす。

 一つは,
 学習活動を地域の中で行ったり,
 その成果を
 保護者も含めた地域の人々に
 公開することにより,

 生徒が
 社会の一員であることを自覚したり,
 生徒の学習意欲が向上したりする
 ことになる。

 

 次には,
 学習活動を通して,
 生徒が
 地域の人々と親密になったり,
 地域の教育機関の利用に慣れたり,
 地域の自然や文化財等に
 関心をもったり,
 地域の伝統行事等に参加したりする
 ようになり,

 生徒が
 地域への愛着を高め,
 豊かな生活を送ることにつながる。

 さらには,
 郷土を創る次世代の人材育成や
 持続可能な地域社会の形成
 にもつながるものと考えられる。

--------------------------------

 なお,
 地域の人々の協力や
 地域の教材,学習環境
 の活用などに当たっては,

 総合的な学習の時間の学習に
 協力可能な人材や施設など
 に関するリスト(人材・施設バンク)
 を作成したり,

 地域の有識者との協議の場など
 を設けたりする工夫
 も考えられる。

 

 また,
 地域によっては,
 この時間のために
 コーディネーターなどの交渉窓口が
 設置されている場合もある。

 平成29年3月の
 社会教育法の一部改正により,
 学校と地域の連携・協働
 (地域学校協働活動)
 を推進するため,
 コーディネーター役となる
 地域学校協働活動推進員を
 置くことができることが
 明記された。

 このような制度を
 積極的に活用することが,
 充実した総合的な学習の時間の実現
 につながる。

 また,
 平成20年6月の
 社会教育法の一部改正により,

 学校が
 社会教育関係団体等の関係者の協力
 を得て
 教育活動を行う場合には,

 社会教育主事がその求めに応じて
 助言を行うことができることとする
 ことについても,
 地域の実情に応じて活用を図る
 ことが考えられる。

 
 
→ 中学校
総合的な学習の時間編
目次
→ 小学校
総合的な学習の時間編
目次
→ 中学校学習指導要領(2017)目次
→ 学習指導要領ナビ
トップページ