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 本章から第9章までにおいては,各学校で定めた目標及び内容を適切に実施していくための全体計画の作成,年間指導計画や単元計画の作成,評価の在り方,学習指導の進め方,指導体制の整備等について,その基本的な考え方やポイントを,手順や方法,具体例などを交えて解説する。

 各学校においては,本章以降を参考にして,これまでの取組を見直すとともに,具体的な改善を進めることが期待される。

 教育課程には,その学校における教育活動の計画が,全領域,全学年にわたって記される。

 指導計画とは,この教育課程の部分計画であり,例えば,第1学年の指導計画,国語科の指導計画,4月の指導計画といった具合に,教育課程を構成する特定の部分について,その教育活動の計画を必要に応じて示したものである。

 総合的な学習の時間も教育課程を構成する一部であるため,その指導計画は当然必要である。

 第3の1の(2)では,
「全体計画及び年間指導計画の作成に当たっては,学校における全教育活動との関連の下に,目標及び内容,学習活動,指導方法や指導体制,学習の評価の計画などを示すこと。」
と明確に示している。

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 この記述にあるように,総合的な学習の時間の指導計画の作成に際しては,以下の六つについて考える必要がある。

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(1) この時間を通してその実現を目指す「目標」。

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(2) 「目標を実現するにふさわしい探究課題」及び「探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力」からなる「内容」。

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(3) 「内容」との関わりにおいて実際に生徒が行う「学習活動」

 これは,実際の指導計画においては,生徒にとって意味のある課題の解決や探究的な学習活動のまとまりとしての「単元」,さらにそれらを配列し,組織した「年間指導計画」として示される。

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(4) 「学習活動」を適切に実施する際に必要とされる「指導方法」。

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(5) 「学習の評価」。

 これには,生徒の学習状況の評価,教師の学習指導の評価,(1)〜(4)の適切さを吟味する指導計画の評価が含まれる。

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(6) (1)〜(5)の計画,実施を適切に推進するための「指導体制」。

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 本章以下では,本解説第4章までを踏まえ,各学校においてどのように指導計画の作成を進めていくべきかについて,これら六つの事項に即して,より具体的,実践的に解説を加えていく。

 その際,(1),(2)については本章で,(3)については第6章で,(4)については第7章で,(5)については第8章で,(6)については第9章で主に解説する。

 
 

 第3の1の(2)では,総合的な学習の時間の指導計画のうち,学校として全体計画と年間指導計画の二つを作成する必要があること,及びその作成に当たっての要素を示している。

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 全体計画とは,指導計画のうち,学校として,この時間の教育活動の基本的な在り方を示すものである。

 具体的には,各学校において定める目標,「目標を実現するにふさわしい探究課題」及び「探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力」で構成する内容について明記するとともに,学習活動,指導方法,指導体制,学習の評価等についても,その基本的な内容や方針等を概括的・構造的に示すことが考えられる。

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 一方,年間指導計画とは,全体計画を踏まえ,その実現のために,どのような学習活動を,どのような時期に,どのように実施するか等を示すものである。

 具体的には,1年間の時間的な流れの中に単元を位置付けて示すとともに,学校における全教育活動との関連に留意する観点から,必要に応じて他教科等における学習活動も書き入れ,総合的な学習の時間における学習活動との関連を示すことなどが考えられる。

 このように,全体計画を単元として具体化し,1年間の流れの中に配列したものが年間指導計画であり,年間指導計画やそこに示された個々の単元の成立のよりどころを記したものが全体計画であり,この二つは関連し対応する関係にある。

 したがって,各学校においては,それぞれを立案するとともに,二つの計画が関連をもつように,十分配慮しながら作成に当たる必要がある。

 以上のことからも分かるように,指導計画を構成する上記六つの要素については,指導計画のどこかで示していればよく,したがって全体計画と年間指導計画の少なくとも一方において明示することで足りると考えられる。

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〈目標と内容と学習活動の関係〉

 なお,本章及び第6章で主に扱う上記(1)「目標」,(2)「内容」,(3)「学習活動(単元)」の相互の関係については,上図のように示すことができる。

 この図にあるように,各学校は,まず第1の目標を踏まえるとともに,各学校における教育目標を踏まえ,学校の総合的な学習の時間の目標を設定する。

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 次に,それらを踏まえ,内容として,「目標を実現するにふさわしい探究課題」及び「探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力」を設定する。

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 本解説第4章でも述べた通り,各学校の「目標を実現するにふさわしい探究課題」の設定に際しては,第2の3の(5)に示された三つの課題が参考になる。

 また,「探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力」の設定に際しては,第2の3の(6)に示された三つの柱,すなわち,「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」に配慮して設定する。

 その際,第2の3の(2)に示された,各学校において定める目標及び内容については,他教科等の目標及び内容との違いを留意しつつ,他教科等で育成を目指す資質・能力との関係を重視することが望まれる。

 さらに,第2の3の(7)に示す通り,「目標を実現するにふさわしい探究課題」及び「探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力」については,教科等を越えた全ての学習の基盤となる資質・能力が育まれ,活用されるものとなるように配慮することが大切である。

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 この「目標を実現するにふさわしい探究課題」及び「探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力」の二つをよりどころとして,実際に教室で日々展開される学習活動,すなわち単元が,計画,実施される。

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 なお,指導計画を作成する際には,責任者としての校長の指導ビジョンとリーダーシップの下,全教職員がそれぞれの特性と専門性を発揮しながら協力して,自律的,創造的に行うことが重要である。

 そのための校内外の体制づくり等については,本解説第9章で更に詳しく解説する。

 
 
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