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 目標を実現するにふさわしい探究課題
 とは,

 目標の実現に向けて
 学校として設定した,
 生徒が探究的な学習に取り組む課題
 であり,

 従来「学習対象」と説明してきたもの
 に相当するが,

 その課題について探究すること
 を通して学ぶ
 という学習過程も重要であること

 を含めて明確にするために,
 今回の改訂では
 「探究課題」として示した。

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 目標を実現するにふさわしい探究課題
 については,
 本解説第3章第3節で解説したように,
 学校の実態に応じて,

 例えば,

 国際理解,情報,環境,福祉・健康
 などの
 現代的な諸課題に対応する
 横断的・総合的な課題,

 地域や学校の特色に応じた課題,

 生徒の興味・関心に基づく課題,

 職業や自己の将来に関する課題など,

 横断的・総合的な学習としての
 性格をもち,

 探究的な見方・考え方を働かせて
 学習すること
 がふさわしく,

 それらの解決を通して育成される
 資質・能力が,
 よりよく課題を解決し,
 自己の生き方を考えていくことに
 結び付いていくような,

 教育的に価値のある諸課題
 であることが求められる。

 

 探究的な見方・考え方を働かせて
 学習すること
 がふさわしい
 ということは,

 一つの決まった正しい答えが
 あるわけでなく,
 様々な教科等で学んだ見方・考え方を
 総合的に活用しながら,
 様々な角度から捉え,
 考えることができるものであること
 が求められるということである。

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 しかし,それぞれの課題はあくまでも例示であり,各学校が探究課題を設定する際の参考として示したものである。

 これらの例示を参考にしながら,各学校の総合的な学習の時間の目標や,生徒,学校,地域の実態に応じて,探究課題を設定することが求められる。

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 例示されたこれらの課題は,生徒の発達の段階において,第1の目標から導かれる以下の三つの要件を適切に実施するものとして考えられるものを示している。

(1) 探究的な見方・考え方を働かせて学習することがふさわしい課題であること

(2) その課題をめぐって展開される学習が,横断的・総合的な学習としての性格をもつこと

(3) その課題を学ぶことにより,よりよく課題を解決し,自己の生き方を考えていくことに結び付いていくような資質・能力の育成が見込めること

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 以下に,例示した課題の特質について示す。

 
 

 国際理解,情報,環境,福祉・健康などの現代的な諸課題に対応する横断的・総合的な課題とは,社会の変化に伴って切実に意識されるようになってきた現代社会の諸課題のことである。

 そのいずれもが,持続可能な社会の実現に関わる課題であり,現代社会に生きる全ての人が,これらの課題を自分のこととして考え,よりよい解決に向けて行動することが望まれている。

 また,これらの課題については正解や答えが一つに定まっているものではなく,従来の各教科等の枠組みでは必ずしも適切に扱うことができない。

 したがって,こうした課題を総合的な学習の時間の探究課題として取り上げ,その解決を通して具体的な資質・能力を育成していくことには大きな意義がある。

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 これらを参考に探究課題を設定する場合,例えば,以下のようなことが考えられる。

・ 国際理解: 地域に暮らす外国人とその人たちが大切にしている文化や価値観

・ 情報: 情報化の進展とそれに伴う日常生活や消費行動の変化

・ 環境: 地域の自然環境とそこに起きている環境問題

・ 福祉: 身の回りの高齢者とその暮らしを支援する仕組みや人々

・ 健康:  毎日の健康な生活とストレスのある社会 など

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  一方,ここに示した課題を全て取り上げる必要はない。

 地域や学校,生徒の実態に応じて,取り組みやすい課題や特に必要と考えられる課題に重点的に取り組むことも考えられる。

 また,例示以外の課題についての学習活動を行うことも考 えられる。

 例えば,以下に示すように,資源エネルギー,食,科学技術等に関わる課題も想定できる。

・ 資源エネルギー: 自分たちの消費生活と資源やエネルギーの問題

・ 安全: 安心・安全な町づくりへの地域の取組と支援する人々

・ 食: 食をめぐる問題とそれに関わる地域の農業や生産者

・ 科学技術: 科学技術の進歩と自分たちの暮らしの変化 など

 
 

 地域の人々の暮らし,伝統と文化など地域や学校の特色に応じた課題とは,町づくり,伝統文化,地域経済,防災など,各地域や各学校に固有な諸課題のことである。

 全ての地域社会には,その地域ならではのよさがあり特色がある。

 古くからの伝統や習慣が現在まで残されている地域,地域の気候や風土を生かした特産物や工芸品を製造している地域など,様々に存在している。

 これらの特色に応じた課題は,よりよい郷土の創造に関わって生じる地域ならではの課題であり,生徒が地域における自己の生き方との関わりで考え,よりよい解決に向けて地域社会で行動していくことが望まれている。

 また,これらの課題についても正解や答えが一つに定まっているものではなく,既存の各教科等の枠組みでは必ずしも適切に扱うことができない。

 したがって,こうした課題を総合的な学習の時間の探究課題として取り上げ,その解決を通して具体的な資質・能力を育成していくことには大きな意義がある。

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 これらを参考に探究課題を設定する場合,例えば,以下のようなことが考えられる。

・ 町づくり: 町づくりや地域活性化のために取り組んでいる人々や組織

・ 伝統文化: 地域の伝統や文化とその継承に力を注ぐ人々

・ 地域経済: 商店街の再生に向けて努力する人々と地域社会

・ 防災: 防災のための安全な町づくりとその取組 など

 
 

 生徒の興味・関心に基づく課題とは,生徒がそれぞれの発達段階に応じて興味・関心を抱く課題のことである。

 例えば,将来への夢や憧れをもち挑戦しよう とすること,ものづくりなどを行い創造的で充実した生活を送ろうとすること,生命の神秘や不思議さを明らかにしたいと思うこと,などが考えられる。

 これらの課題は,一人一人の生活と深く関わっており,生徒が自己の生き方との関わりで考え,よりよい解決に向けて行動することが望まれている。

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 総合的な学習の時間は,生徒が自ら学び,自ら考える時間であり,生徒の主体的な学習態度を育成する時間である。

 また,自己の生き方を考えることができる ようにすることを目指した時間である。

 その意味からも,総合的な学習の時間において,生徒の興味・関心に基づく探究課題を取り上げ,その解決を通して具体的な資質・能力を育成していくことは重要なことである。

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 なお,生徒の興味・関心に基づく課題については,横断的・総合的な学習として,探究的な見方・考え方を働かせ,学習の質的高まりが期待できるかどうかを,教師が十分に判断する必要がある。

 たとえ生徒が興味・関心を抱いた課題であっ ても,総合的な学習の時間の目標にふさわしくない場合や十分な学習の成果が得られない場合には,適切に指導を行うことが求められる。

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 これらを参考に探究課題を設定する場合,例えば,以下のようなことが考えられる。

・ ものづくり: ものづくりの面白さや工夫と生活の発展

・ 生命: 生命現象の神秘や不思議さと,そのすばらしさ など

 
 

 職業や自己の将来に関する課題とは,義務教育の最終段階にある中学生にとって,切実かつ現実的な課題である。

 この課題について,具体的な活動体験や調査活動,仲間との真剣な話合いを通して学び合う機会をもつことは,生徒が自己の生き方を具体的,現実的なものとして考えることにつながる。

 また,このことは,自己の将来を力強く着実に切り拓いていこうとする資質・能力の育成において,極めて重要である。

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 これらを参考に探究課題を設定する場合,例えば,以下のようなことが考えら れる。

・ 職業: 職業の選択と社会への貢献

・ 勤労: 働くことの意味や働く人の夢や願い など

 
 

  なお,参考として示した四つの課題は,互いにつながり合い,関わり合っている課題であり,それぞれの学習活動の広がりと深まりによって,しばしば関連して現れてくるものである。

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 各学校において,
 横断的・総合的な課題,
 地域や学校の特色に応じた課題
 の趣旨を踏まえて
 内容を設定する場合には,

 それぞれの地域における現実の生活
 との関わりにおいて,
 各課題がどのような
 具体的な現れ方をしているか,

 また
 各課題に関わって
 人々や機関がどのように考え,
 あるいは
 どのように行動しているか,

 その実態を幅広く正確に把握する
 必要がある。

 

 その際,
 客観的な把握と同時に,
 それらが生徒にとって
 どのように映っているか,
 生徒の実感や興味・関心の観点からも
 捉えておく必要がある。

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 また,
 生徒の興味・関心に応じた課題,
 職業や自己の将来に関する課題
 の趣旨を踏まえて
 内容を設定する場合には,

 各課題に関わって
 生徒が
 何を感じ,
 どのように考え,
 あるいは
 どのように行動しているか,
 その実態を
 幅広く正確に把握する必要がある。

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 各学校においては,以上のような検討を踏まえて,何が内容として適切であるかを判断することになる。

 この時,扱いたいと考える内容はどうしても多くなりがちだが,限られた時数の中で適切に扱うことが可能な内容には,おのずと限界がある。

 各学校で定めた目標や生徒の実態等に配慮し,全体としてのバランスをとりながら,優先順位を考え取捨選択することで,質と量の双方において適切な内容を選定することになる。

 
 

 ここまで述べてきたように,
 探究課題とは,
 生徒が
 探究的に関わりを深める人・もの・こと
 を示したものであり,
 例示された四つの課題を
 更に具体化したものである。

 

 例えば,
 外国人との関わりが多い地域の実態や
 国際社会で活躍する
 グローバルな人材育成
 という学校教育目標を掲げる学校が,
 横断的・総合的な課題として
 「国際理解」を重視した場合,

 「地域に暮らす外国人と
  その人たちが大切にしている
  文化や価値観」
 のような探究課題が考えられる。

 

 このようにして,
 四つの課題を意識し,
 各学校の目標の実現にふさわしい
 探究課題
 を設定していく。

 例えば,以下のようなものなどである。

地域に暮らす外国人とその人たちが大切にしている文化や価値観
(国際理解)

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情報化の進展とそれに伴う日常生活や消費行動の変化
(情報)

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地域の自然環境とそこに起きている環境問題
(環境)

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身の回りの高齢者とその暮らしを支援する仕組みや人々
(福祉)

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毎日の健康な生活とストレスのある社会
(健康)

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自分たちの消費生活と資源やエネルギーの問題
(資源エネルギー)

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安心・安全な町づくりへの地域の取組と支援する人々
(安全)

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食をめぐる問題とそれに関わる地域の農業や生産者
(食)

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科学技術の進歩と社会生活の変化
(科学技術)

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など

町づくりや地域活性化のために取り組んでいる人々や組織
(町づくり)

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地域の伝統や文化とその継承に力を注ぐ人々
(伝統文化)

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商店街の再生に向けて努力する人々と地域社会
(地域経済)

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防災のための安全な町づくりとその取組
(防災)

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など

ものづくりの面白さや工夫と生活の発展
(ものづくり)

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生命現象の神秘や不思議さと,そのすばらしさ
(生命)

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など

職業の選択と社会への貢献
(職業)

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働くことの意味や働く人の夢や願い
(勤労)

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など

 
 
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