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 学校教育法施行規則では,教育課程編成の基本的な要素である各教科等の種類や授業時数,合科的な指導等について規定している。今回は,これらの規定について次のような改正を行った。

ア 児童が将来どのような職業に就くとしても,外国語で多様な人々とコミュニケーションを図ることができる能力は,生涯にわたる様々な場面で必要とされることが想定され,その基礎的な力を育成するために,小学校第3・4学年に「外国語活動」を,第5・6学年に「外国語科」を新設することとした。

 このため,学校教育法施行規則第50条においては,「小学校の教育課程は,国語,社会,算数,理科,生活,音楽,図画工作,家庭,体育及び外国語の各教科(中略),特別の教科である道徳,外国語活動,総合的な学習の時間並びに特別活動によつて編成するものとする。」と規定することとした。

 なお,特別の教科である道徳を位置付ける改正は,平成27年3月に行い,平成30年4月1日から施行することとなっており,今回の学校教育法施行規則の改正はそれを踏まえた上で,平成32年4月1日から施行することとなる。

イ 授業時数については,第3・4学年で新設する外国語活動に年間35単位時間,第5・6学年で新設する外国語科に年間70単位時間を充てることとし(第5・6学年の外国語活動は廃止),それに伴い各学年の年間総授業時数は,従来よりも,第3学年から第6学年で年間35単位時間増加することとした。

 
 

 学習指導要領等は,時代の変化や子供たちの状況,社会の要請等を踏まえ,これまでおおよそ10年ごとに改訂してきた。

 今回の改訂は,前述1(2)で述べた基本方針の下に行っているが,その理念を明確にし,社会で広く共有されるよう新たに前文を設け,次の事項を示した。

@ 教育基本法に規定する教育の目的や目標の明記とこれからの学校に求められること

 学習指導要領は,教育基本法に定める教育の目的や目標の達成のため,学校教育法に基づき国が定める教育課程の基準であり,いわば学校教育の「不易」として,平成18年の教育基本法の改正により明確になった教育の目的及び目標を明記した。

 また,これからの学校には,急速な社会の変化の中で,一人一人の児童が自分のよさや可能性を認識できる自己肯定感を育むなど,持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められることを明記した。

A 「社会に開かれた教育課程」の実現を目指すこと

 教育課程を通して,これからの時代に求められる教育を実現していくためには,よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有することが求められる。

 そのため,それぞれの学校において,必要な学習内容をどのように学び,どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを教育課程において明確にしながら,社会との連携及び協働によりその実現を図っていく,「社会に開かれた教育課程」の実現が重要となることを示した。

B 学習指導要領を踏まえた創意工夫に基づく教育活動の充実

 学習指導要領は,公の性質を有する学校における教育水準を全国的に確保することを目的に,教育課程の基準を大綱的に定めるものであり,
それぞれの学校は,学習指導要領を踏まえ,各学校の特色を生かして創意工夫を重ね,
長年にわたり積み重ねられてきた教育実践や学術研究の蓄積を生かし
ながら,
児童や地域の現状や課題を捉え,家庭や地域社会と協力して,教育活動の更なる充実を図っていくことが重要であることを示した。

 
 

 総則については,今回の改訂の趣旨が教育課程の編成や実施に生かされるようにする観点から,

@ 資質・能力の育成を目指す「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を進める,

A カリキュラム・マネジメントの充実,

B 児童の発達の支援,家庭や地域との連携・協働を重視する

などの改善を行った。

・ 学校教育を通して育成を目指す資質・能力を「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」に再整理し,それらがバランスよく育まれるよう改善した。

・ 言語能力,情報活用能力,問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力や,現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力を教科等横断的な視点に基づき育成されるよう改善した。

・ 資質・能力の育成を目指し,「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善が推進されるよう改善した。

・ 言語活動や体験活動,ICT等を活用した学習活動等を充実するよう改善するとともに,情報手段の基本的な操作の習得やプログラミング教育を新たに位置付けた。

・ カリキュラム・マネジメントの実践により,校内研修の充実等が図られるよう,章立てを改善した。

・ 児童の実態等を踏まえて教育の内容や時間を配分し,授業改善や必要な人的・物的資源の確保などの創意工夫を行い,組織的・計画的な教育の質的向上を図るカリキュラム・マネジメントを推進するよう改善した。

・ 児童一人一人の発達を支える視点から,学級経営や生徒指導,キャリア教育の充実について示した。

・ 障害のある児童や海外から帰国した児童,日本語の習得に困難のある児童,不登校の児童など,特別な配慮を必要とする児童への指導と教育課程の関係について示した。

・ 教育課程の実施に当たり,家庭や地域と連携・協働していくことを示した。

 
 
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