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ア 第2章以下に示す各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱わなければならない。

 本項は,学習指導要領に示されている各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動の内容の取扱いについて示したものである。

 すなわち,学習指導要領は国が定める教育課程の基準であり,各学校において教育課程を編成,実施する際には,学習指導要領の各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動の内容に関する事項は,第2章以下に特に示している場合を除き,必ず取り扱わなければならないことを規定したものである。

 教育課程の編成に当たっては,まず学習指導要領に示している事項を十分研究することが必要である。

 学習指導要領では,各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動の目標を実現するために必要な中核的な内容を示すにとどめているので,各学校においては,配当できる授業時数を考慮しつつ,児童の心身の発達の段階や特性及び地域の実態を踏まえ,具体的な指導内容を確定し,適切に配置しなければならない。

イ 学校において特に必要がある場合には,第2章以下に示していない内容を加えて指導することができる。

 また,第2章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は,全ての児童に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において特に必要がある場合には,この事項にかかわらず加えて指導することができる。

 ただし,これらの場合には,第2章以下に示す各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動の目標や内容の趣旨を逸脱したり,児童の負担過重となったりすることのないようにしなければならない。

 本項は,前項を踏まえた上で,学校において特に必要であると認められる場合には,学習指導要領に示していない内容でも,これを加えて教育課程を編成,実施することができることを示しているものである。

 前項と本項を合わせて学習指導要領に示す内容の取扱いの基本的な原則を示しているものである。

 すなわち,学習指導要領に示している内容は,全ての児童に対して確実に指導しなければならないものであると同時に,児童の学習状況などその実態等に応じて,学習指導要領に示していない内容を加えて指導することも可能である(学習指導要領の「基準性」)。

 このように,学習指導要領の基準性が明確に示されている趣旨を踏まえ,学習指導要領に示している,全ての児童に対して指導するものとする内容の確実な定着を図り,さらに「知識及び技能」を深めたり高めたりするとともに,「思考力,判断力,表現力等」を豊かにし,学習意欲を一層高めたりすることが期待される。

 また,学習指導要領に示した各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動並びに各学年の目標や内容の趣旨を逸脱しないことが必要である。

 すなわち,学習指導要領に示している内容を児童が理解するために関連のある事柄などについての指導を行うことであって,全く関連のない事柄を脈絡無く教えることは避けなければならない。

 さらに,これらの指導によって,児童の負担が過重となったりすることのないよう,十分に留意しなければならない。

ウ 第2章以下に示す各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては,その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。
 学習指導要領の第2章以下に示す各教科等の学年別の内容に掲げる事項は,それぞれの教科等の内容を体系的に示す観点から整理して示しているものであり,その順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではない。

 したがって,各学校においては,各指導事項の関連を十分検討し,児童の発達の段階や特性及び学校や地域の実態を考慮するとともに,教科書との関連も考慮して,指導の順序やまとめ方に工夫を加え,効果的な指導ができるよう指導内容を組織し指導計画を作成することが必要である。

 
 

エ 学年の内容を2学年まとめて示した教科及び外国語活動の内容は,2学年間かけて指導する事項を示したものである。

 各学校においては,これらの事項を児童や学校,地域の実態に応じ,2学年間を見通して計画的に指導することとし,特に示す場合を除き,いずれかの学年に分けて,又はいずれの学年においても指導するものとする。

 学習指導要領では,国語,生活,音楽,図画工作,家庭,体育及び外国語の各教科,外国語活動については,学年の目標及び内容を2学年まとめて示している。

 これは,これらの教科等が具体的な活動や体験を伴うなどの特性を有していることや実施の経験からみてより弾力的な取扱いがふさわしいことなどを考慮し,学校において地域や学校及び児童の実態に応じた創意工夫を生かした指導が一層できやすくすることを意図したものである。

 したがって,各学校においては,これらの教科等の目標及び内容に示している指導事項を十分検討するとともに,児童の発達の特性及び学校や地域の実態を考慮し,2学年間を見通した適切な指導計画を作成し効果的な指導ができるようにする必要がある。

 その際,内容に示している指導事項については,音楽科における共通教材,体育科の保健に関する指導事項,生活科や家庭科における特定の指導事項などのように特に示す場合を除き,いずれかの学年に分けて指導したり,いずれの学年においても指導したりして,確実に身に付けるようにすることが大切である。

 
 

オ 学校において2以上の学年の児童で編制する学級について特に必要がある場合には,各教科及び道徳科の目標の達成に支障のない範囲内で,各教科及び道徳科の目標及び内容について学年別の順序によらないことができる。

 複式学級の場合においても,児童の学年に応じた教育課程を編成することが必要である。

 しかし,複式学級が2以上の学年の児童で学級を編制する関係上,各教科及び道徳科の学年別の目標や内容をそのまま学年の順序で指導できない場合があることも考慮して,指導形態や指導方法の工夫をできやすくする観点から,本項において「学校において2以上の学年の児童で編制する学級について特に必要がある場合には,各教科及び道徳科の目標の達成に支障のない範囲内で,各教科及び道徳科の目標及び内容について学年別の順序によらないことができる。」こととしている。

 なお,外国語活動については,第3学年及び第4学年の2学年まとめて目標及び内容を示し,学年別の順序については定めていないため本項では規定していない。また,特別活動については,今回の改訂に当たり,目標及び内容を学年別には定めないこととしたため本項では規定していない。

 学年別の順序によらないことができるのは,複式学級において「特に必要がある場合」で,「各教科及び道徳科の目標の達成に支障のない範囲内」に限られていることに留意する必要がある。

 
 

カ 道徳科を要として学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の内容は,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容とし,その実施に当たっては,第6に示す道徳教育に関する配慮事項を踏まえるものとする。

ア 内容の位置付け

 道徳教育の内容は,「第3章特別の教科道徳」の「第2内容」に示すとおりである。

 これらの内容項目は,児童の発達の段階や児童を取り巻く状況等を考慮して,小学校の6年間に児童が自己の生き方を考え,よりよく「生きる力」を育む上で重要と考えられる道徳的価値を含む内容を平易に表現したものである。

 これらの内容項目は,教師と児童が人間としてのよりよい生き方を求め,共に考え,共に語り合い,その実行に努めるための共通の課題である。

 また,学校の教育活動全体の中で,様々な場や機会を捉え,多様な方法によって進められる学習を通して,児童自らが調和的な道徳性を養うためのものでもある。

 学校における道徳教育は,道徳科を要として全教育活動において,児童一人一人の道徳性を養うものである。

 したがって,これらの内容項目は,児童自らが成長を実感でき,これからの課題や目標を見付けられるような工夫の下に,道徳科はもとより,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動で行われる道徳教育において,それぞれの特質に応じて適切に指導されなければならない。

 なお,それぞれの内容項目は指導に当たり取り扱う内容であって,目標とする姿を表すものではない。

 したがって,児童に対して一方的に内容項目を教え込むような指導は適切ではない。

 指導に当たっては,内容項目に含まれる道徳的価値について一般的な意味を理解させるだけではなく,発達の段階を踏まえつつ,その意義などについて自己との関わりや社会的な背景なども含め多面的・多角的な視点から考えさせることにより,児童の道徳的な判断力や心情,主体的に道徳的な実践を行う意欲と態度を育むよう努める必要がある。

 このことを通じ,児童が自らの生活の中で出会う様々な場面において,人間としてよりよく生きようとする立場から,主体的な判断に基づき適切な実践を行うことができるようになることが重要である。

 したがって,各内容項目について児童の実態を基に把握し直し,指導上の課題を児童の視点に立って具体的に捉えるなど,児童自身が道徳的価値の自覚を深め発展させていくことができるよう,実態に基づく課題に即した指導をしていくことが大切である。

イ 内容項目の重点的な取扱い

 道徳科を要として学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育を,全教職員が共通理解して一体となって推進するためには,学校として育てようとする児童の姿を明らかにしなければならない。

 その上で,校長の方針に基づいて,学校の道徳教育の目標を設定して指導することが大切である。

 その際,学校の道徳教育の目標に基づいて指導すべき内容を検討することになるが,道徳科においても,その目標を踏まえ,重点的に指導する内容項目を設定し,計画的,発展的に指導できるようにすることが必要である。

 また,各教科等においても,それぞれの特質に応じて,関連する道徳的価値に関する内容項目や学校としての重点的に指導する内容項目を考慮し,意図的,計画的に取り上げるようにすることが求められる。

 そのようにして,学校の教育活動全体を通じ,学校としての道徳教育で重点的に取り扱う内容やその生かし方の特色が明確になった指導を行うよう心掛けることが大切である。

 なお,内容項目の取扱いについては,「第3章特別の教科道徳」の「第2内容」において詳しく示している。

 
 
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